101 特別編①
本日より「特別編」です、
傘花先生には感謝しかありません・・・。
-101 特別編①・誘われた署長の前に-
宴へと向かう途中でとある人物の事を思い出した渚は、その人も誘ってみようかと『念話』を飛ばしてみた。
渚(念話)「林田ちゃん、今大丈夫かい?」
そう、拉麵屋のおか・・・、いやお姉さんが誘ったのはネフェテルサ王国警察署の署長を務める林田 希だった。元の世界にいた頃からの良き友人をどうしても誘いたくなったらしい、そう言えば署長本人自体も暫く出て来てなかったから粋な事をしてくれるじゃないかと俺は個人的に思っていた(※ここからは「林田」ではなく「希」と表記します)。
渚「あんたまさか、私の可愛い林田ちゃんの事を忘れていたんじゃないだろうね。」
いやいや・・・、決してそんな事はない・・・、ですよ・・・(口笛)。ほらほら、ご友人がお待ちかねじゃないんですか?
渚「そう言えば返事が無いね、(念話)林田ちゃん?私の事をシカトするつもりかい?」
希(念話)「そんな訳無いじゃないですか、以前から渚さんにはお世話になりっぱなしだというのに返事しないなんて罰当たりな事出来ないですよ。」
渚(念話)「じゃあ今の今まで何をしていたって言うのさ、まさか私に言えない秘密でもあるんじゃないのかい?」
希(念話)「何を仰っているんですか、ただただ仕事の帰り支度をしていただけですよ。」
渚(念話)「ほう・・・、その「帰り支度」とやらには「ポテチを食べる」っていう作業も含まれているのかい?」
実は数分前から希の行動を『察知』していた渚は、飲食禁止になっている署内のロッカールームでこそこそとつまみ食いをしている事を指摘した。こんなのが署長で良いのだろうか。
渚「馬鹿な事言わないでくれるかい、林田ちゃんがいるからこの国は安全になっているんじゃないか。」
何か・・・、すんません・・・。
確かにパルライやエラノダ、そしてデカルトといった3国の王がいるからこの世界には何も起こる事無く平和が続いているが、警察署員達が「縁の下の力持ち」として安全を守っていると言っても過言では無い。
希(念話)「それで渚さん、今日はどうされたんです?」
渚(念話)「そうだそうだ・・・。」
おそらくだが、希に聞かれるまで用件を忘れていたであろうと推測できるのは俺だけだろうか。
渚「もう・・・、あんたが茶々入れて来るからだろう?全く話が進まないじゃないか。」
だからさっきから謝っているじゃないですか、許して下さいよ・・・。ほら、機嫌治してちゃんと用件を言わなきゃ。
渚「はいはい。(念話)実はね・・・、光の誕生日祝いのパーティーがあるからあんたも来ないかという誘いなんだ。酒もいっぱい出るはずだから一緒に呑もうじゃないか。」
希(念話)「良いですね、じゃあ荷物を置いたら向かいますね。」
渚(念話)「良かったら奥さんも誘っておくれよ、真希子が会いたがっていたからさ。」
希(念話)「分かりました、お任せください。」
希がルンルンしながら家までの道を歩いていると、道沿いのベンチにスーツ姿の男性が1人で座っていた。
希「この辺では見かけない顔だな、新たな転生者か?」
不器用な人物なのだろうか、表情はずっと強張っていた。俗に言う「コワモテ」というやつだろうか、ただ問題はそこでは無い。
希「ずっと頭を抱えているけど、何かあったのかな・・・。」
頭痛がするのか、男性は頭を抱えたままピクリとも動かなかった。少し心配になった希は男性に近付いて声を掛けた。
希「あの・・・、すみません・・・。大丈夫ですか?」
男性「いや・・・、何も覚えていなくて・・・。」
嫌な予感がする・・・。