応募規定を守らないコンテスト応募は、『無駄』どころか『マイナス』です!
先日、公式企画『秋の歴史2023』が終わりました。
参加作品数は173。これまでの公式企画に比べると少ないながら、なかなか唸らせるような傑作もあり、自分としては充分楽しむことが出来ました。
自分も1作は投稿したものの、忙しくて他の方の作品はあまり読めていません。
少し時間が出来たのでいくつか読んでみようかと思ったんですが、期間中ずっとユーザホーム画面の一番上に表示されていた公式サイトへのバナーが無くなってました。
(ページを何度か再読み込みすると表示されるようですが──)
しかたがないので、トップページの小説検索で『秋の歴史2023』と検索してみると、なぜか50作ほど多くリストアップされたのです。
よくよく見てみると、『歴史』ジャンルとも指定テーマの『食事』ともまったく関係のない作品がちらほらと混じっています。
しかもそういった作品の多くは、企業主催の各種コンテストの応募用タグを片っ端からつけまくっているのです。
これ、実は以前から気にはなっていました。
各種コンテストには、ジャンルを限定したものや、『短編のみ』などの条件がついたものもあるのですが、そういった規定などお構いなしに闇雲に応募しまくる人が少なくないのです。
ですが──。
それをやっている方や、やろうと思っている方にはっきり言います。
これは絶対にやるべきではありません。
それは、『主催者側に迷惑だから』とかいう優等生ぶった理由からだけではありません。
むしろ、あなた自身が損をする可能性が非常に高いからです。
まあ、お気持ちはよーくわかります。
作品に応募タグをつけるのなんてワンクリックで済みますし、そんなわずかな手間で少しでも出版社の目に止まる可能性が増えるなら、ということでしょう?
(でも、賞に関係ない公式企画のタグまで付けているってことは、本当に何も考えずにやってる人もいるのかな?)
でもね、社会人目線から言わせていただければ、そのごくわずかなメリット以上にデメリットの方がはるかに大きいと思いますよ。
仮に、あなたの作品がそのコンテストの規定内に収まっていたとしましょう。
しかし、選考の当落線上にあった時、『片っ端から応募しまくっている作品』と『そのコンテストに絞って応募してきた作品』のどちらが選ばれるでしょうか?
いえ、むしろ初めから『節操なく応募しまくっている作品』というマイナスのレッテルを貼られた上で審査にかけられる可能性の方が高いでしょう。
審査する側はプロです。その人が真摯に応募してきているのかどうか、その姿勢は必ず見抜かれます。
就職活動の経験がある方にならお分かりのはずです。面接で『どこでもいいから片っ端から応募してます』なんて、絶対に言いませんよね。
嘘でも『御社が大本命で、他はまだ受けていません』くらいのことは言うでしょ?
ここでちょっと、反論が来そうなポイントを潰しておきます。
『そんな、応募作ひとつひとつの詳細をチェックするとか、わざわざしないんじゃないの?』
──残念ながら逆です。
『小説家になろう』という共通のフォーマットで応募を受け付けているということは、検索にちょっと条件を付けるだけで、容易に応募作品群のふるい分けが出来てしまうということなんですよ。
ほとんどのコンテストが、応募規定で入賞時の出版優先権を主張しています。
でも、ほぼ同じ時期に発表があるコンテストで同時受賞なんてことになってしまったら、両社間でのトラブルは不可癖ですよね。
ならば、『あのコンテストと同時に応募している作品は優先度を下げる』などという判断が下されることは、充分あり得ることだと思いますよ。
まあ、あなたの作品が『他社と争奪戦をしてでも絶対に売りたい!』と思わせられるほどの出来なら、話は別ですけど。
いいですか。各種コンテストはお遊びではありません。主催する出版社にとっては真剣極まりないビジネスの一部なんです。
利益率の決して高くない出版業界では、売れない作品を何作も出してしまっては社の浮沈に関わるのです。
だからこそ、各社は絶対に売れると信じたジャンルに特化したコンテストを主催したりして、売れる作品が書ける作者を必死で探しているんです。
それなのに、応募規定などお構いなしにコンテストに片っ端から応募するということは──『自分は規定を読むつもりすらない』『規定を守るつもりがない』いいかげんな人間だと公言するに等しいんです。
出版社だって、『新しい作者の書籍を販売する』という賭けを行うにあたって、そのパートナーに『ルールを軽視する』ような人を選びたくはないはずです。
せっかくの作品が、主催者側の心証を害することで正当に評価されないなんて、あまりにもったいないじゃないですか。
その作品は、あなたが心血を注いで書き上げた玉稿なんです。どうか、その作品にふさわしい場で真っ当に勝負させてあげてください。
コンテストに応募するなら、せめてその応募規定ぐらいは確認して、規定に外れていないことを確認した上で応募しましょう。
その手間すら惜しむということは、主催する出版社に失礼なだけでなく、あなたの信用や作品の価値をも貶めかねない行為だということは覚えておいてください。
異論、反論は拒みませんが、議論のマナーは守って下さい。
誹謗中傷やただの罵倒にはお付き合いしません。