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ABCD殺人事件  作者: 真山砂糖
9/36

9 バイクで検証

バイクを使って、大学から事件現場の雑居ビルまで1時間で行けるんでしょうか?

 昼食を取り終えてから、私たちは検証をすることになった。大学から事件現場のビルまで原付バイクで片道30分以内で移動可能かどうかについて。みんなで大学の入り口まで行き、ワゴン車から原付バイクを降ろした。じゃんけんで負けた嶋村先輩がやる気なさそうにバイクにまたがった。

「おう、嶋村、昼間だから交通量は少ない。けど、事故るなよ」

「嶋村さん、俺、幽霊だけじゃなくて、バイク乗るのとかも怖いんですよ。じゃんけん、勝って良かった」

 高木先輩が嶋村先輩に本音で言った。

「高木、今度飯奢れよ」

「うっす」

「よし、ゴー!」

 係長が合図して、嶋村先輩を乗せたバイクは走って行った。

「あのー、係長ー」

「何だ、磯田」

「みんなで来る必要あったんですかー」

「そうだな、なかったかもしれんな」

「そんなー」

「ま、とりあえず、俺は、真中さんに挨拶しておくかなっと」

 ネクタイを締め直しながら、係長はニヤケ顔だった。

「係長ー、今の所、めぐみに訊くことなんてないですよねー。それって職権乱用ですよー」

「あ、そうか。じゃ、フラウ・シュルツに、先日のことを謝りに行こうかな」

「係長ー、課長に報告しますよー」

「冗談だよ、冗談。ほら、嶋村を追うぞ」

 私たちは車で嶋村先輩の後を追うことにした。


 嶋村先輩のすぐ後に、私たちも事件現場に到着した。みんなすぐに時計を確認した。

「42分か」

「道が空いてる昼間でも40分超えるんですね」

「おう、じゃあ、往復1時間は無理だな」

「とても殺したりする余裕はありませんね」

「じゃあ、飯島ときこによる他殺の線はなしですね」

「そうだな。おう、嶋村、一応、大学まで戻る時間も計るぞ」

「マジですか」

 嶋村先輩は嫌そうにバイクに乗った。


 国際インターナショナル大学の正門へ到着した。

「47分か」

「往復で1時間以内って、絶対に無理じゃーん」

「係長、飯島ときこさんの線は確実に消えましたね」

「おう、そうだな」

 私たちは原付バイクをワゴン車の後ろに乗せた。ちょうどそこへ、真中さんが通りかかった。

「こんにちは」

「あ、めぐみー。偶然ー」

「偶然じゃない。これは、何か運命めいたものを感じるな」

「係長ー、黙って下さーい」

「係長、ラボで聞き込みをしたいのですが、よろしいでしょうか?」

「小春ー、私も行くー」

「おう、じゃあ、俺も行こうか」

「あ、それじゃあ、紅茶入れますね」

 真中さんは手に持っているスーパーの袋を少し持ち上げながら、少し嬉しそうに言った。

「係長ー、私と小春で十分ですよー」

「あ、あの、紅茶、たくさんあるから……」

「いいのよー、めぐみー、係長はコーヒー派なのよー」

「係長、香崎と磯田に任せておいて、俺らは戻りましょう」

 高木先輩が言った。

「……仕方ないな……」

 係長は目の奥に怒りをにじませながら渋々先輩たちと車に乗り込んでいった。

「じゃあー、行こう、めぐみー」

 真中さんは少し残念そうだった。

 私と京子は、ラボの人間関係のことをもっと詳しく尋ねるために、千葉ラボとデービスラボへ向かった。しかし、大した情報を得ることはできなかった。


はい、1時間では無理でした。

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