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ABCD殺人事件  作者: 真山砂糖
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26/36

26 SDカード

SDカードですか。

 私は再度、デービス教授に電話をしてみたが、繋がらなかった。

「係長、デービス教授、繋がりません」

「おう、そうか」

 京子は真中さんに電話していた。

「係長ー、めぐみもデービス教授の居場所を知らないって言ってますー」

 係長も飯島さんと大竹助手に電話して尋ねていたが、デービス教授の行方はわからないということだった。京子は引き続き千葉教授と増田助手にも尋ねたが、彼らもわからないと返答した。私はシュルツさんにも電話してみたが、繋がらなかった。


 刑事課は静まり返っていた。そこへ、高木先輩から連絡が入った。

「おう、高木か。おう、おう、おう。本当かよ」

 係長はメモを取り始めた。

「おう、おう、わかった。そっちはお前が向かってくれ、頼むぞ」

「どうでした、係長」

「おう、日の本通販で、例のデジタルカメラはたった二台しか売れてないらしい」

「そりゃー、そうですよー、スマホにカメラ機能があるんだから、デジカメはあんまり売れないでしょー」

「おう、磯田、まあ聞けよ。買った人物だが、一人は、繁華街のすぐ近くの◯◯一丁目の江頭という男だ。今、高木に向かってもらってる。で、もう一人は、大竹ただおだ」

「え!」

「マジでー!」

「ああ、住所も一致してる。間違いない」 

「ということは、大竹助手が、ラボの監視カメラのSDカードを入れ替えた? ってこと……」

「おう、そうかもな。香崎、磯田、二人で大竹ただおの所まで行ってくれ」

「はい」

「はーい」

 私と京子は急いで大竹助手の家へ向かった。


 10分ほどで到着し、大竹助手のアパートで話を聞くことになった。小さなテーブルに着いて、さっそく話を進めた。

「確かに、そのデジカメ買いましたけど、SDカードなんて、他のいろんな製品にも使われてますよね」

「ええ、ですが、実験室の監視カメラに入っていたSDカードは、日の本通販で販売されているデジタルカメラにしか付属していない型番なのです」

「でも、デジタルカメラなんて、全国でたくさん売れてるだろうし」

「いえ、そのカメラが売れたのは、たった二台だけなんです」

「……え、いや、でも、もう一台のほうを買った人が、そうですね、例えば、ラボに忍び込んだ可能性もあるといえば、ありますよね」

 大竹助手は襟足を指でくるくると触りながら言った。

「なんかー、屁理屈言ってませんかー」

「いえ、僕は可能性の話をしているんです」

「フィフティーフィフティーなんですけどー。でー、元々監視カメラに入ってたSDカードはどこにあるんですかー」

「いや、大学のパソコンとか実験装置とかにもSDカードとかUSBメモリをたくさん使っているので……どの装置にどれを使ってるかは、ちょっと、あれですね、わからないですね」

 大竹助手は不自然に話した。そこへ、係長から電話がきた。私は少し席から離れて音量を下げて電話を取った。

「おう、香崎か。詳しい事情は話せないが、大竹ただおを県警まで引っ張ってくれないか。頼んだぞ」

 係長は低いテンションで私にそう伝えた。振り返ると、大竹助手と京子がこちらを気にしながら話していた。私はどうしようかと考えながら席についた。

「大竹さん……」

 どういうふうに話そうかと思って言葉に詰まってしまった。

「……大竹さん、今の状況では、どうしてもあなたに疑いがかかってしまいます。私たちが帰ってしまえば、あなたが証拠を隠滅する機会を持つことになりますので、家宅捜索令状が出るまで、私たちはここに待機せざるを得ない状況になります。なので、どうでしょうか、県警まで来ていただくわけにはいきませんか?」

「……」

「犯人の次の標的は、あなたかもしれません。県警に来れば安全です」

「……」

 大竹助手は急に恐怖にかられたような表情になった。

「……はい、行きます!」

 大竹助手は少し迷って、熱意を持って答えた。

「え?」

 私は素で反応した。大竹助手は必ず断るだろうと思っていたのだが、県警に行く気満々で返答したのだ。

「あ、はい、えーと、では、さっそく行きましょうか」

 大竹助手はスマホと財布だけを持ってすぐに部屋から出た。私たちは車に乗り込んだ。


SDカード、大竹が入れ替えたのでしょうかね?

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