第一話 決断
「あ、あの!離してください!私は特に用事は無いので」
私は振りほどそうとするがメルクの力が強く振りほどけない。
「私には分かります」
?
「私は今は王を探しており黒の国の王は先日亡くなりましてね。
ここは王がよく来ていた場所なんですよね」
メルクはそう答える。
この人悪い人じゃないのかも。
「あの、私に言ってどうするつもりなんですか?」
私は聞く。
「貴方には黒の国の王となってもらい魔物の王として我と来てもらいます」
?!
「はあー?!私が王様?!無理無理!バカじゃないの!」
私はメルクに向かって言う。
「見た感じあなたは魔法が得意ではありませんか」
?!なんで分かるの?
「なんで」
私は言う。
「私には貴方の中に眠る増大な魔力を感じます。
それも漆黒の闇のように」
メルクは言う。
「私は闇の仲間になんてなりたくない、私は光なの!
私は!悪にはならない!」
「しかし、貴方の奥深くに憎悪みたいな力を感じますが?」
?!
「私の事探らないでよ!・・・・」
「私達黒の国では確かに魔物に支配されていると通っていますがそれは真っ赤な嘘でございます。
魔物と人間は共同して暮らしています」
?!
え?
「嘘?でも、記事には」
「それは、悪い情報屋に流されましたね。
黒の国では平和が続いていますし、争いもほとんどありません」
メルクは言う。
「・・・・ごめんなさい、変なこと言っちゃって」
私は謝る。
「いいえ構いません、それで王になってくれますか?」
メルクが言う。
「少し考えさせて、また明日に言うからここでいい?」
私はメルクに提案する。
「構いません、いい返事を期待していますよ」
そう言いメルクは木に飛び乗り何処かへと行った。
私が王様?・・・・・・父さん私。
夜
私は家へと帰る。
「おかえりなさい、どこに行っていたの?」
母が私に聞いてきた。
「ごめんなさい、少し森で散歩してて」
私は嘘を言う。
「そう、何かあったなら言いなさい」
母はそう答える。
「お母さん!」
私は母を呼ぶ。
「何?」
母は振り返る。
「もしさ、私がこの家を出たらどうするの?」
私は母に向かって言う。
すると母は椅子に座り
「別に何も思わないわよ、あんたももう大人なもんだしいつまでも私が子供扱いするのも良くないと思ってね。
どこかへ行くのかい?」
母が聞く。
私はコクリと頷く。
「そうかい、私はあんたがどこへ行こうとこの家で待っているさ。
好きな時に帰ってくればいい、それだけでいいからさ」
母の言葉に涙が溢れる。
「どうしたんだい?涙なんて流すんじゃないよ、女が泣いていいときは本当に大切な者を失ったときさ」
母はそう答え寝室へと向かった。
ありがとう、お母さん。
そして翌朝を迎えた。
迷いの森
「返事は決まりましたか?」
メルクが姿を現す。
「ええ、決まったわ」
私は言う。
「では」
「私は王になるわ、貴方の黒の国に案内して」
私はそう答える。
「分かりました、では王よ、空は飛べますか?」
「空?!空なんて飛べるわけ無いじゃん!」
私は突然の言葉に驚く。
「では、飛行の力を授けましょう。
はあ!!!」
私の手に触れるメルクは力を流し込んだ。
?!
「では浮いてみてください」
「分かった」
私は浮けっと思い込むと体が浮き始める。
?!う、浮いた!?
「ではフライと言うと空を自由に飛べますよ」
メルクは余裕そうに浮いている。
「分かった、やってみる。
・・・・フライ!」