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第13話 怪しいダークエルフ

 あれから何処か寂しそうなアーシェ様やクロネとラフールと暫く会話をした。


 その際、改めて今回の件に対するお礼やこれからの事などを話したりもした。

 

 光の人の伝説はこの世界では常識レベルで語られているらしく。

 アダムが俺に光の人の伝説を知っている前提で話をしていたのも、アダムが俺の事をこの世界の住人と思っているのならば、当然の対応で有るらしいこともわかった。


 光の人が払うといわれている影の正体については、今はその内容はアーシェ様達にもわからないという。

 現在この大陸の平和を脅かすドラクル一族は、その影には含まれないのではないかと言うことだ。


 確かにドラクル一族は全員が大きな力を持ち、残虐非道でどこか得体の知れない怪しさを持ってはいるが、今までの歴史の中でもそういった一族や国家がなかった訳ではないらしい。

 その際に光の人が現れることも無かったため、俺達光の人は別の危機に警戒する必要があるのかも知れないとの事だった。


 しかしその危機も今は何を指すのか不明であるため、取り敢えず俺達光の人はその危機が解るまでの間は、アーシェ様のシュミネ家が治めるジュリーク領に滞在する許可を貰った。


 また、ナーパ王国のみならずこの大陸の各地で、光の人の来訪の報せが飛び交っているという。

 光の人はナーパ王国の城門前にいた俺達だけでは無いということだ。

 ナーパ王国の王都の中でも、沢山の光の人が確認されていたらしい。


 つまりこの船に乗っているのは、プレイヤーのほんの一部と言うわけだ。


 その事をプレイヤーの中でも話がわかりそうな、アダムあたりにでも伝えておく必要があるだろう。

 俺はアーシェ様との関係やシュミネ家とのこれからの計画等をアダムに引き継いで、ダークエルフとの約束を果たしたのち、速やかにこのジャックというキャラクターを引退するつもりだ。


 確かにアーシェ様との関係を失うのは寂しいし、これからのジャックのストーリーも気にはなるが、このまま俺がドラクル一族の一員であるという秘密を抱えながら、このジャックというキャラクターでプレイを続けることは、豆腐メンタルである俺には出来ない。


 乱闘メンバーの話では、キャラクタークリエイトをやり直すことは出来ないと言っていたが、ログインアカウントを変えるなり、課金するなりの方法で、キャラクタークリエイトをやり直す方法はあるだろう。

 何も真面目に非課金でプレイを続ける必要はないのだ。

 俺の小遣いは毎月二万円。二万円あれば何でも出来るはずだ。

 中学の時の小遣い、週に500円とは訳が違う。月に二万円! この筆舌に尽くしがたい万能感は何だろう!

 うまい棒だと何本分になるのか。計算するのも面倒臭いくらい手に入る。


 まあ、今はそれよりも…。


 俺は自分の前方を歩くダークエルフの背中を見つめる。ダークエルフがアーシェ様達と俺のいた部屋の中に勝手に入ってきたかと思えば、アダムが探しているからついてこい。とだけ言って部屋を出て歩き出したのだ。


 そう! いくら優しいとはいえ、貴族であるアーシェ様の部屋の扉の鍵を勝手に開錠して開け放ち、勝手に部屋の中に入ってきたのである。

 アーシェ様達3人は、突然の出来事にギョッとした顔で俺とダークエルフを交互に見つめていたが、俺は苦笑いを返し謝り倒すので精一杯だった。

 アーシェ様との初対面の時にはあんなに礼儀正しかったのに、一体どうしてしまったのだろうか。

 

 その後、俺も部屋を出て行ったダークエルフについて行く為に、一言断ってからすぐに部屋を飛び出した。

 アーシェ様達に対しては後ろめたさ満点だ。やはりジャックとしてこのゲームを続ける事は出来ないな…。

 俺が乱闘メンバーが話していたキャラリンクシステムとか言うのに当たっていて、ジャック・サイコ・ドラクルの中にリンクしていないとも限らないのだ。


 キャラリンクシステムに当たれば、そのキャラクターの記憶や経験、思想や思考がプレイヤーにもリンクされて、性格や考え方も変わると言っていたが、俺にその気配はない。


 この世界の記憶など無いし、何かを経験した覚えもなければ、特別な力を持っている感覚もない。マイナス面ばかりが多い気がする。


 しかしダークエルフが実際にジャックと旅をしていたのであれば、俺はやはりポッとでのキャラクターではなく、ジャック・サイコ・ドラクルにリンクしている可能性が高いだろう。

 

 うーん。真実を確かめる方法がない以上。考えても無駄だな。


 肝心のダークエルフはアダムが現れてからずっと、何処かぼーっとしていて何を考えているのかが解らない。

 歩きながら何度も躓いたり、壁にぶつかって頭を下げて謝罪したりなんかもしている。

 奴隷紋があるから俺からはあまり離れられないと言った割には、船に乗ってからは何処にいるのかも解らない状態だった。


 本当に奴隷紋にそんな効果があるのだろうか。こいつはやはり何もかもが怪しい。


 ダークエルフの話だけを信じていいものか判断がつかない。俺がどういうキャラクターなのか、もっとハッキリとした情報がほしい。


 しかしこいつは俺とはあまり話さないし、話したとしても本当の事を教えてくれるのかも怪しい。俺が求める真実を知らない可能性だってあるのだ。


 もしかすると、こいつは船に乗せるべきじゃなかったのかもしれない。

 ナーパ王国で奴隷解放の儀式をやりたかったのだが、何しろ街に入ることが出来なかったのだ。仕方がなかったとはいえやはり心配だ。


 こいつは本当にジャックと旅をしていたのか? そういえばナーパ王国で誰かと待ち合わせをしていたと言っていたはずだが相手はどうなったのだろう。何も言わずにジュリーク領へ行ってしまっても良かったのだろうか?

 もしや相手はドラクルの人間ではないよな? それともあれは作り話? こいつとはちゃんと話さないといけないような気がする。


「なあ…」

 俺がダークエルフに向かって話しかけようとした丁度その時、ダークエルフが扉の前で立ち止まり、その中から異様な姿の化け物。

 もとい、天使アダムが、その体に張りついた顔面に満面の笑みを浮かべて、部屋の中から飛び出してきた。


青薔薇の騎士(ブルーローズナイト)様! お待ちしておりました。どうぞ中へ。」

 アダムはそう言って、部屋の中へと手を伸ばす。


 俺はダークエルフへの言葉を飲み込んで、アダムに向き直り笑顔で応えて部屋の中へと入る。


 部屋の中は会議室になっているらしく、長い木のテーブルと11脚の椅子が置かれてあった。

 軍艦の会議室らしく、壁に一枚の地図だけで他には装飾等は何も無い殺風景な部屋だ。


 俺が部屋を見回すと、部屋の入り口、ドアの周りに何人かが跪いていた。

 良く見るとそいつらは乱闘メンバーで有ることがわかる。

 乱闘メンバーは俺の後にダークエルフが入室して、アダムが扉を閉じるのを待ってから顔を上げた。


「青薔薇の騎士様。お待ちしておりました」

 爆発美青年のエリシオスが告げると、乱闘メンバー達が揃って俺に対して視線を向ける。


 それに続いて、乱闘メンバーの隣に同じように跪いたアダムが声をあげる。

「改めて、我ら光の人を助けていただきありがとうございます。ジュリーク領のアーシェ様よりお聞きしました。青薔薇の騎士様が、我ら光の人の命を救うために動いてくれていた事を。青薔薇の騎士様がいなければ、我ら光の人の亜人達が殺されていたであろう事を。私達は亜人では無いため殺されることは無かったかも知れない。とはいえ、同胞達を救ってくれたことに心より感謝いたします」


 アダムの跪き方の異様さにも驚くが、アダムが自分を亜人に含めていない事にも驚く。

 お前が一番危なくね?有無を言わさず斬り殺されそうなんだけど。


 ああ、そうか。アダムは天使なんだし、その前に人でもないのか。


 俺が納得して頷いたのをどう捉えたのか、アダムも満足そうに頷いてから言葉を続ける。


「お礼と言ってはなんですが。私達8人は青薔薇の騎士様を守る親衛隊を結成いたしました。私達は【青薔薇の騎士の盾ブルーローズナイトガーディアンズ】と名乗ります。これからは私達を、貴方の手足としてお使いください」


「え?」

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