アイヌ人とブリヤード人の渡来
アフリカを出た人類は、30,000年前にはシベリアにも到達し、そのあとも人々は獲物を追って移動し、当時大陸やサハリンと陸続きであった北海道に到達した。北海道に人が住み始めたのは、25,000年以上前であると言われる。25,000~12,000年前の旧石器時代の遺跡からは、黒曜石で作られた石器が見つかっており、人々は狩猟を中心とした生活を送っていたものと考えられている。
アイヌ人について
旧石器時代に北方から最初に移動してきたのは、アイヌ人であったものと考えられる。北海道から東北にかけては、今でもアイヌ語地名が多く残っており、アイヌ人が北日本列島の広い範囲に住んでいたことを示している。
北海道の縄文遺跡からは、墳墓から漆製品や土器などが見つかっている。縄文時代後期の著保内野遺跡(函館市)からは、日本最大の土偶が出土している。この土神像は、アイヌ人が作ったものと考えられる。
また2万年前には、バイカル湖周辺で発生した細石人文化が、大陸と陸続きであった北海道を経由して日本列島に流入した。
ブリヤード人について
国立歴史民俗博物館の篠田謙一氏の研究報告には、遺伝子DNAデータバンクに登録されている日本で発掘された縄文人29体のうち、ブリヤート人と同じ塩基性配列のものが17体あり、その配列はバイカル湖付近に暮らすブリヤート人に一致したと書かれている。
また松本秀雄氏は、東・東南アジアのモンゴロイドの約20,000人の血清試料を採取し、アイヌ人や琉球人を含む日本人は北方系Gm遺伝子の保有率が高いことや、北方Gm遺伝子はバイカル湖地域が起源と考えられるとの推論を導き出した。
これらのことから、旧石器時代にアイヌ人の次にバイカル湖地域から日本に移住して来たのは、ブリヤート人であったものと考えられる。
北海道産の黒曜石の石器がカラフト北部や、アムール川流域、バイカル湖岸から発掘されていることからも、ブリヤード人が日本列島とバイカル湖との間を行き来していた可能は大きいと考えられる。