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78 女は度胸?私の場合、あまり考えていないだけな気がします。その方が勢いが出ますからね!

遅くなりました……。


恋愛のタグさんが、起き上がって準備運動を始めた様です。


誤字報告ありがとうございます!

 さぁ、頑張ってご飯を作りましょう!


 調味料は、旅の荷物と一緒にショルダーバッグに入れていたから大丈夫。


 ……ただ、キッチンに並ぶ食材が、魚と木の実しかなかった。あ、あと大量のオリーブの実。

 絶対、渓谷で採れたもの&大好物だよね……。これだけじゃぁ無理です!なんて、言っていいのか……。うーん、言えない!



 どうしよっか食材……あ、アールさんにお願いすればいいんだ!


 私はスキルを発動して、アールさんにメッセージを送った。


 「アールさん、食材を買わせてくださいなーっと!」

 『レシピじゃないアルか?あの地獄は終わったアルか……助かったアル……。というか、無事だったアルネ。』

 「はい!クレスさんとマディラさんが来てくれて、助けてもらいました!もう大丈夫です!ご心配おかけしました。あ、その書いたレシピも下さい!」

 『凄く値段をふっかけたいアル……。でもそれは商人としてダメアルね……。はぁ……。』


 そんなやり取りの後、無事に野菜と書いておいてもらったレシピを買えた。


 私のスキルで食材が送られてくる様子を見ていたお姉さんが興味深そうに折り畳みコンテナの中を覗いてくる。


 「ほぅ。これがチカのスキルかえ?」

 「はい。商品を買う事が出来るんです。この折りコンを持っている人に欲しいものとお金を払えば、どんな場所からでも送ってくれるので便利なんですよ。」

 「ふむ。……今はこれがお金かえ?」

 「はい。」


 お姉さんは私がアールさんに送ったお金の一部を見て考えていた。

 手数料も含めて送った瞬間、家の方からチャリン、と音がした。


 「あぁ。なるほどのぉ……。」

 「ん?」


 お姉さんがニヤリと笑って、ついておいで……と言って踵を返した。

 私が黙ってついて行くと……。


 家具が何もない小部屋に、お金が積まれていた。

 つい最近まで見ていたような、お金の山とは比べ物にならないほど小さな塊。スライム君くらいの大きさだ。


 「最近、急にお金が積まれるようになっての。」

 「へぇ……。え、積まれるって、お姉さんが何か取引して集めたとかじゃなくてですか?」

 「うむ。我は何もしておらん。勝手に増えてゆくのだ。その謎がやっとわかった。」

 「えっ!解決したんですか。」

 「うむ。犯人はチカ、そなたであったわ。」

 「えぇー!?」


 私、犯人になりました。


 「ほっほっほ。そなたのスキルはお金を消費するのであろう?」

 「はい。そうですね。」


 お店を守るバーリアー的なものとか、土地代とか色々引かれているよね。


 「その代価が、ここに送られてきているようだ。」

 「代価……あぁー!手数料!どこに行くのかなって、何度か疑問に思っていました。ここに来てたんだー。」


 謎が解決した。

 私のスキルは魔力を使わない。スキルの力自体は精霊さん達が動いてくれていたみたいで、その代価は何故かお金。精霊さん達には使えないお金は……精霊を統べる者、神獣様の元へ運ばれていたらしい。


 「これはチカにやろう。」

 「えっ!良いんですか!?」


 スキルの代価が返ってきちゃうんじゃぁ……私のスキル、代償何も無くなっちゃうよ!良いの!?


 「その代わり、ここにお金を受け取りに来た日は今日の様に料理を作ってもらおう。一緒に食そうではないか。」

 「あ、はい。」


 お金を払うよりも……プレッシャーのかかる代償になった気がするよ……。




 食材も手に入った。帝国で見て教わった事、よしのちゃんのノートにあったレシピの写しもある。


 せっかくだから、いろんなものを作ってみたいよね。とりあえず、お米を炊いて……。魚を捌いて……やっぱりまだ綺麗には捌けないや……。でも教えてもらっておいて良かった!魚を出されてもどうにも出来ないところだったよ。


 魚はムニエルと、フライと……脂っこいな。野菜をめいっぱい使ったサラダも作ろう。あと、お肉を使った料理は……野菜の肉巻きにしようかな!うんうん。




 「出来ましたよー。」

 「おぉ!楽しみやのぉ。」


 四人でテーブルを囲み、夕ご飯だ。朝ごはんとお昼ご飯は移動しながら携帯食料をかじっただけなので、ちゃんとしたご飯を食べられるのが嬉しい。


 私はマイお箸。エンジュ共和国の木材加工の職人さんに数セット作ってもらったんだよねー。

 クレスさんはナイフとフォーク。リヴァイアサンなお姉さんとペドリット君には両方渡した。


 お箸の持ち方、使い方を伝えていざ実食!


 「……ほぅ。ほぅほぅ。」

 「むぐむぐむぐむぐ……。」


 何故か納得する様な声を出しながら食べるお姉さん。ひたすら可愛く咀嚼するペドリット君。

 二人とも結局フォークで食べている。さすがにお箸は難易度高いよね。でも、私がお箸で食べるのを見て、そのうち持てる様に練習するって言っていた。かっこいいし、便利だよね!お箸!


 「やっぱり、美味いな。」

 「えへへ。ありがとうございます。」


 料理のレベルはまだ3のままだ。でも、レパートリーが増えて、新しい味があるから美味しく感じてもらえているんだと思う。もっと精進しないとねー!


 それにしても、カルセドニー渓谷で獲れたお魚達、めっちゃ美味しい。身がぷりっぷりで、程よく脂も乗っている。フライにしたのにしっとりとした身は口の中でホロホロと解けて、フライのサクッとした食感と合わさって口の中を幸せにしてくれる。


 今度、よしのちゃんが書いておいてくれたレシピ集の、ソースを作ってみよう。絶対フライに合うよね!


 食べている間はあまり会話が無かった。みんな食べる事に夢中だったね。食べ終わった後の美味しかった、の一言がとても嬉しかった。


 「これが料理……確かに、美味であった。精霊どもが自慢するのも頷ける。」

 「あはは……。ありがとうございます。」

 「また次が楽しみよの。今日は泊まって行くであろう?ゆるりとしてゆくが良い。」


 次の機会も、泊まることも、確定です!本当にありがとうございました!


 泊まるなら、明日の朝はフレンチトーストでも作ろうかな?

 夕飯、朝ごはん付きの一泊二日状態だね!ただし、料理は作る側だけれど。


 お姉さんに案内されて、お風呂場に来た。


 「す、すごい……浴槽がある!」

 「ほっほっほ。なんでも人はこれにお湯を張って浸かるという話をどこぞの精霊から聞いての。作ってみた。」

 「作った……。」


 お姉さんに教えた精霊さん、グッジョブ!そして簡単そうに作っちゃうお姉さん、凄い!

 浴槽に浸かる人なんて、お貴族様とかお金持ちさんしかいない。めっちゃ高い宿屋とかにあるそうだけれど、私は一度もそんなお宿に泊まったことはない。一般の人は基本お湯に手拭いの様な布を浸して拭うだけ……。頭もタライを使って洗うだけだ。

 つまり……お湯にゆったり浸かるの凄い久々!嬉しいーー!


 あ、デュモルツ帝国で体を磨かれた時は、メイドさん達に固定されていたから全然寛げなかったからノーカウントね!



 私は体を洗うついでに、人形さんも洗ってみた。スライム君も一緒に洗おうと思ったんだけれど、クレスさんが洗ってくれるそうなのでお任せした。クレスさんは何かスライム君に言っていたけれど、聞こえなかった。何をお話していたのかな?


 着物の様な服は脱がせて、人と同じ様に肩まで浸かる……。一人と三体でふぅー……と息を吐いてリラックス……。

 あぁーこれこれ……。やっぱりお風呂って良いよね!生き返るわー!いや、生きているけれども!



 お風呂を満喫し、マリーさんから貰ったドライヤーで髪を乾かしてダイニングに戻ると、お姉さんとペドリット君がソファーに座っていた。

 ペドリット君はお姉さんの膝に頭を乗せて、スースーと寝息を立てている。


 「可愛い……。」

 「ほっほっほ。」


 ペドリット君の頭を優しく撫でながら、お姉さんは顔だけこちらを向いた。


 「チカ。今日の料理、誠に美味であった。」

 「喜んで頂けたなら良かったです。」

 「うむ。それでのぉ、褒美を用意した故、外に行ってみると良い。」

 「外……ですか?」


 もう日も落ちて、外は真っ暗なはずだ。そんな中外に出ろと……?


 「うむ。前にチカを拾った場所に行ってみると良い。結界があるから害のあるものは寄り付かん。我もこの子が寝ておる故行けぬ。安心して行くが良いぞ。」

 「はぁ。」

 「あぁ、その精霊の器達はここに置いて行くが良い。緑のスライムもしっかり捕まえてある。」

 「はい……。」


 褒美ってなんだろう……?人形さん達がいなくなって、腰の辺りがすごく軽くなったよ。


 外に出て、初めてお姉さんと会った時の川縁へと向かった。


 周りには蛍の様な緑っぽい光がフワフワと飛んで、足元や行く道を照らしてくれる。

 ……足元を照らせるほどの光って、蛍じゃ無理だよねぇ……。なんの光なんだろう。わからないけれど、とても綺麗だ。

 上を見上げれば、星が瞬いている。満点の星は、星座なんて思い浮かばないほどの圧巻の密集具合だ。



 川縁には、初めてお姉さんに会った時、お姉さんが持っていたバケツがひっくり返して置いてあった。……二つ、並んで。


 その一つには大柄の男性が座っていて、川の方を向いている。


 ……こ、これが……褒美……だと!?



 ま、まぁ確かに……シチュエーションは完璧だよね……。綺麗な空間、夜空を見上げながら二人きりで話せるね、うん。


 お姉さんの意を汲むならば……ここで女を見せろって事だよね。


 だいぶ強制的なご褒美ですね!


 ……。



 ええ!ええ!覚悟を決めますよ!


 千華、行きます!!



 私は川縁で待つ男性の元へ足を踏み出した。

たくさんのブックマーク、高評価、ありがとうございます!

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