52 たまに、力が足りなくて、蹴って折りたたんでいた事もあります。会社内にドゴォ!って音が響くんですよね。
やっとスキルの正しい?使い方が出来ます!
「スキル、『コンビニ経営』、『詳細設定』。」
スキルを発動するときはだいたい緊急時で、小声でしか言っていなかった。こんなに普通にスキルを発動するのってすっごく珍しい気がする。……バーリアー!にしか利用してなかったもんねー。
スキルを声に出すと、画面が出て来た。発動と同時に設定も指定したので、簡易設定、詳細設定の選択部分は省略された状態だ。
『詳細設定』
・価格設定
・仕入設定
・営業時間設定
・警備設定
・警備員設定
・従業員設定
・従業員昇格設定
・BL設定
今回使うのは、仕入設定。
んーと……仕入先をアールさんにして……。発動は常時っと。形状は、折りコンで。
私も搬入先として登録して、発動はスキルに合わせて。形状は同じく折りコン!
設定完了しました。配送手数料は一律20%になります。
高い……!消費税だって8%だったのに!
仕方ないか……機能的には便利すぎるくらいだものね……。設定画面を消して、足元を見ると、見慣れた長方形の箱が二つ出現していた。
仕事で使われていた物と瓜二つ。私の想像通りのサイズ。仕入れた商品がいつも入っていた、折りたたみコンテナ。片方の折りコンの蓋の色は全然違うんだけどね!青と赤のストライプ。こんな色の折りコンあったらびっくりだよ!
「出来ました!仕入ボックス〜〜〜です!」
私の発言に合わせて、横で戦隊モノのポーズをとるスライム君と不吉そうな人形さん。べ、別に仕込んだりなんかしてないよ!タイミングバッチリすぎて、後でご飯ちょっといつもより多めに盛ってあげようかなとか思うけど、別に仕込んだりなんかしてないよ!
「初めて見る材質の箱ネ……しかもいきなり出てきたネ。」
「派手な色だな……。」
「おそらく、私のアールさんのイメージの色になってしまったんだと思います。私の方の箱は普通の物ですよ!」
そう言って私の分の箱を指差す。濃い緑の蓋の折りコンは、私にとっては見慣れた物だ。
「ワタシのイメージって服の色アルネ……。」
「普通は緑なんだな。」
「はい。見た目はとにかく……。肝心なのは使い方ですよ!見ていてくださいね。」
そう言って、折りコンの蓋を開ける。真ん中に切れ目が入っていて、噛み合うように蓋が閉じているので、それを左右に開いた。
「私が、この中に注文を記入します。」
開いた瞬間に、スキルの画面のような透き通ったキーボードが出てきた。懐かしいな……キーボード……。みんなには見えていないみたいだから、さっさと打ってしまいましょう。キーボードの文字列は日本にある物と同じなのに、打ち込むとこちらの世界の文字に変換されて表示されていった。不思議だなぁ……。
「鮭 一匹。っと。すると、アールさんの箱の方に注文が行きます。蓋を開けてみてください。」
「行きますって言ってもどう行くアルか……。ワォ!!」
ワォって驚くんだね……アールさん。しかもエセ中国人っぽい発音で。
アールさんの折りコンには、蓋の内側にボードが張り付いていた。そのボード部分に私がさっき打ち込んだ文字が書いてある。
「シャケ 一匹。って書いてあるアルよ。鮭っていうのは?」
「先程話した、身がピンクの魚です。何か名前があった方がわかりやすいでしょう?」
「なるほどアル。シャケはあれアルネ。」
「それで、アールさんの方の箱に、注文された魚を入れると……あ、鮭昨日食べちゃったんだった。」
「……。」
鮭が欲しすぎて何も考えずに鮭って打っちゃったよ……。取り消して、コッメ 一袋。とした。
大体、一袋五キロくらいの大きさだ。
「コッメに変わったアル。」
私がキーボードを打つと文字がまた書き換えられていくのを、アールさんは不思議そうに見つめていた。
「それで、アールさんの箱の方に注文の品を入れると……。」
コッメを入れた瞬間に、半透明になった。アールさんはビックリしすぎて、すごい勢いで後ろに下がってしまった。
「アールさん。アールさんのコッメ一袋の金額はいくらですか?」
「……銀貨二枚アル。」
「銀貨二枚ですね。箱に向かって値段を言うと、私の方に金額が表示されます。」
ビックリしているアールさんに代わって、私が言うと、私の折りコンのキーボード部分に金額が表示された。もちろん手数料分が上乗せされて、銀貨二枚と銅貨四十枚と表示されている。
「で、私が箱に表示された金額を入れると……。」
「消えたアル!……!お、お金が出てきたアル!!」
半透明になっていたコッメが完全に消えて、お金がアールさんの折りコンの方に現れた。
「私の方の箱に、コッメが来ます。こんな感じで、箱を通して遠距離でも品物を買うことが出来るんです。ただし、とっても手数料が高いので、お魚とかお肉とか、傷みやすい物に限りたいですが……。」
遠距離でも一瞬で商品を運んでくれる……。毎日輸送を頑張ってくれているトラック運転手さんみたいだよね。ちょっとスペックが高くなりすぎているけれど!
そのスペック分、手数料に取られているんだね……。本当にこのスキル、どこにそのお金持っていっているんだろうね!?
もちろん、便利だから使うよ!ただ相手にもスキルを見せないといけないから、相手は選ぶけどね。
「ど、どこにいても届くアルか……?」
「はい。ただし、私が注文した物しか送れませんですけどね。あ、あと、オススメの商品があったら、さっき文字が出て来たところに指で文字を書くと私の方にもメッセージを送れますよ。そんな感じで連絡を下さいね。」
「……凄すぎて腰が抜けそうアル。ちょっと怖いくらいアル。」
私からしたら、人形さんが動いて、髪の毛を食べて、時折目をカッってやってこっちを凝視して、ご飯を食べるっていうのも十分腰が抜けそうに驚きだけどね!
思案顔のクレスさんは、顎に手を当てている。
「これは、そうそう人には言えないだろうな。」
「はい。なので、契約をしたアールさんにお願いしたいんです。コッメやショーユは当分の間、普通に買いますので、生モノなどの傷みやすい品物はこれで買わせてください。もちろん、アールさんの予定の合う時で構いませんから。」
「……わかったアル。」
「よろしくお願いしますね。」
私のお店計画には、このスキルは欠かせない。いずれ仕入はこのスキルに頼り切りになると思う。お魚はもちろんだけれど、お店は街から離れた場所に建てようと思っているのだから。
私の事を言うことができない、という契約をしたアールさんならば安全だろう。
あ、そうだ。
「あと、これ、折りたためるんですよ。」
そう。これは折りコン。折りたたみコンテナなのだ!
長方形の短い方の側面の板を叩いて内側に折ると、長い方も折り畳まれる仕組みだ。これで高さが五分の一位になる。
……しかし、ここは異世界。そしてこの折りコンはスキルなんですよ!
畳むと、ぐんぐん小さくなってスマートフォンくらいの大きさにまで縮む……。説明書で読んでいたけれど、見るのは初めて。凄いなぁ。スマホサイズの折りコン可愛いんだけど!小さい状態で組み立てると、元のサイズに戻るという仕組みだ。
「普段はこの状態で持ち運びが出来ます。」
そう言いながら、私は自分のショルダーバッグに折りコンをしまって見せた。私はスキルの発動に合わせて出現する仕様に設定したので、しまう必要はないんだけれど。
「便利アル。魔道具とは比較にならないアルよ。」
お褒めの言葉を頂いた!……ちょっと顔が呆れているように見えたけどね!
こうして、無事に仕入設定を完了出来た。
次は、ミーソを見に行かないとね!まっててミーソ今会いに行くよーーーー!
消費税20%な感じをイメージしていただけたら良いかと思います。
ヤバイですよね……消費税20%……老後の生活を確実に、快適に、過ごせるなら良いですけど。
今日はどうぶつの森の発売日!やりたくてうずうずします!でも小説を書く方を優先するんだ……!
誘惑に負けないように頑張ります!




