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48 学生の頃、手持ち花火で素早く模様を描いて、それを写真に撮ると綺麗に模様が見えるっていうのが流行ったのですが、最近の携帯のカメラでも出来るんですかね?

サブタイトルの長さよ……。


誤字報告ありがとうございます!

バーリアーは、一章にも使っていまして、わざと伸ばしをいれています。

 どうしてこう……魔物さんと目の合う率が高いのかしら……はぁ。


 羽付きモモキングと思われる大きさのモモンガさんと絶賛見つめ合っております。ええ。


 とりあえず……木の蓋のような窓はそっ閉じしましょう。


 「ねぇちゃん……。」

 「言うな……少年。言うと悲しくなるから……。」

 「えええぇぇ……。」


 モモキングさんがもう一度吠えて、壁に大粒の雨がぶつかってきたような音が聞こえて来た。多分、家の壁ではなく、スキルのバーリアーな部分にぶつかっているんでしょう。


 子供達にはこのまま女性達と一緒に家にいてもらって、私は羽付きモモ達が突撃してきた方向とは逆にあるドアから外に出た。



 「うえぇ……。」



 バーリアーの壁一面に張り付く羽付きモモ……。きもいわー……。モモンガって可愛いと思っていたけれど、これはダメだわー。


 そっと目を逸らして、魔道具を向ける。


 「燃えよーー。」


 マリー師匠がくれた魔道具は、確かリゲル砲発射!が発動の合言葉だったよね。今回は燃えよ!が合言葉だ。あまり気合いのはいった掛け声にならなかったのは、目の前の光景のせい……。


 魔道具から手持ち花火の特大バージョンのような火が噴いた。火はバーリアーを貫通して、羽付きモモ達に当たっていく。


 「おぉー!」


 羽付きモモ達は慌ててバーリアーから離れていくが、そんなことよりも……。


 「気絶しない魔道具!すごい!こんな風になるんだー!」


 攻撃用魔道具で初めて気絶しなかった事に感動した!

 細い筒から不思議なほどの威力で火が出る。手持ち花火なんて目じゃ無いくらい長い時間。


 「これで手持ち花火作ったら楽しそうかも……。」


 誰か作ってくれないかな……?


 ちょっと現実逃避をしていると、腰にずっと引っ付いていたスライム君に横っ腹を突かれてしまった。はい、すみません。


 「このまま人が来るまで耐えるしか無いよね。魔道具がある限り頑張りましょうか!」


 一つで数分火が出るならば、人が来るまでなんてあっという間だよね!



 一本目が終わりかけてきた。次の用意をしようと、片手に終わりかけの魔道具を持って、もう片方の手で新しい魔道具を持つ。両手花火とかやったなぁ……と、子供の頃の出来事を思い出していると、後ろの方から人が来るのが見えた。

 良かった!やっぱりそんなに時間はかからなかったね!


 ちょっとホッとしたその瞬間。


 ドンッという、音と衝撃がスキルのバーリアーを襲った。


 「えっ?」


 火の魔道具で羽付きモモ達は近づいてはいない。羽付きモモキングは、こちらを睨みながらも攻撃を仕掛ける様子はなかった。


 じゃぁ、今の衝撃はどこから?



 「チカッ!」

 「クレス!」


 わからないまま、クレスさんと冒険者のみんなが駆けつけてくれて、事なきを得た。


 っていうかね、クレスさん一人いたら羽付きモモ達なんてあっという間だったのかもって思ったよ。

 火の魔法で一瞬で羽付きモモ達が消えていったよ?でもあれだね、お肉も一緒に炭になっちゃって、村の人たちは残念そうな顔をしていたね……。


 モモキングには、数人の冒険者さんで囲っていく。そういえば、マディラさん達は帰ってきたのかな?周りを見ている間に、羽付きモモ達を粗方片付けたクレスさんが近くに来ていた。


 「スキルを使ったのか?」

 「あ、はい。でもわからないように出来たと思います。今解除しますね。」


 小声で聞かれて、小声で返事を返した。もう大丈夫だし、スキルは解除しておかないとね。


 「スキル【コンビニ経営】。この店舗を解体する。」


 画面が私の前に出てくる。


 警備時間が短かった為、払い戻しを致します。

 土地代を所有者に払いました。



 うん。土地代が発生するのって初めてかも。土地の所有者がいる場所でお店を出すと、発生するのかな?私は布のお財布袋を出して、チリンと音が鳴るのを聞いてから中身を確認した。


 ……あれ!?思った以上に少なくなってる!払い戻しが発生してこれなの!?



 退店作業を完了致しました。



 ……本当にこの金額なの?ほとんど半分なんだけど……。


 画面が勝手に消えていった。お財布を見て放心状態の私に、クレスさんが控えめに声をかけてくれる。


 「大丈夫か?チカ。」

 「……ふぁい。」

 「……ダメそうだな。とりあえずここから少し離れておけ。」

 「……ふぁい。」


 なんだかクレスさんが失礼な言い方をしていたような気もするけれど、それどころじゃなかった。なんでこんなに減っているの?

 そのまま、近くに来ていた女性達に引きずられて、安全な位置まで移動した。


 少し落ち着いたので、お財布をしまって、考える。


 うん。どう考えても、あのよくわからない衝撃のせいだよね。あれ、なんだったんだろう?お金を半分も消費する攻撃。もし、スキルを使ってなかったら……どうなっていたんだろうか。


 「こわっ……。」

 「あぁ、チカ君。無事だったのだね。」

 「あ、はい。なんとか。」


 いつものように、いつの間にか近くにいたコランさん。目は弧を描いたままで、眉だけ困ったって感じの形だ。心配してくれたのだろうか?何にしても、顔の筋肉器用だなー。


 「こちらもだいぶ落ち着いて来たようだね。少し話をしても良いかな?仮説なのだが、今回の事を誰かに話しておきたいのだよ。」

 「はぁ。」


 鼻息荒く、コランさんは意気揚々と話し始めた。私が引き気味に返事した事など、多分気付いていないね。


 「まず一つ目。羽付きモモはコッメの葉よりも、この白いコッメの実の方が好物である。さらに言うならば、調理した方のコッメには目がないと言った状態だった。」

 「ふむふむ。」

 「二つ目。恐らく、夕飯のために調理した際のコッメの匂いによって、誘発されるような形で夜に移動を開始したと思われる。羽付きモモは夜行性でもないのに動いた、となると……かなり強い誘引性があるだろう。」

 「……。」

 「そして、三つ目。風が強かっただろう?それによって罠用に調理していたコッメの匂いが流れてしまったのだと思うのだよ。本来はこの村に影響のない距離にいた群れにまで……。つまり……。」

 「……つまり。」

 「この白い状態のコッメの実は、使い方を間違えれば恐ろしいものになるかもしれないのだよ。羽付きモモは草を好むが、基本は雑食。草がなければ……人も食べるのだから。」


 コランさんはそこまで言うと、満足したのか頷きながらどこかへ行ってしまった。


 私は何も言っていないのだけれど、本人は誰かに言うだけで満足だったのだろうか。仮説だと言いながら、その口調は自信に満ちたものだった。


 なんで、この村の精米方法が廃れたのか……。それがさっきの自信ありげな仮説によって説明されたような気がした。


 コッメを炊いた匂いで、羽付きモモ達が大量に襲って来ちゃったのではないだろうか。それで匂いの出にくい籾殻付きのまま食すようになった……。


 もしかして、もしかしなくても……。

 白米にしない方が良かったのかな。


 子供達が危ない目にあったのは、精米したコッメのせいだったのか……。



 罠を作って田んぼを守れたと思っていた。子供達も怪我をさせずに済んだ。

 依頼をこなせたと思っていたら、自分のせいで危険にさせていただなんて……。


 「これは……私の……せい?」


 どうしよう……ちゃんと言わないと。

 とにかくアールさんを探そうと、辺りを見回していたら、なんだか不満げな声が聞こえて来た。


 「もうー!君たち遊びすぎ!っていうか、邪魔しすぎでしょー!本当ならもっと早く仕留められたのにー!」

 「悪かったわよ……ちょっとふざけすぎたわ。」


 語尾を伸ばすせいで怒っているのかふざけているのかよくわからない感じになってしまっている。

 なんとなく、謝る声は誠意のこもっていない感じに聞こえた。


 「マディラさん。マータさん、ビータさんも。お帰りなさい。」

 「あー、チカちゃん!ただいまー!アイちゃんいる?もうー!僕はアイちゃんに八つ当たりしないと気が済まないよー!……ん?どうしたの?チカちゃん。」


 いつものふざけた感じのマディラさんに何も返せないでいると、普段と違うと感じたのか、マディラさんが心配してくれた。


 「あの……アールさんに話を……クレスにも……。」

 「……うん。わかったよ。ちょっと待っててね。今探してくるよ。」


 二コリと微笑まれて、軽く頭を撫でられて……。人気のない家の隅にあった切り株に座らされる。なんだか、子供のような扱いだ。


 いつもの伸びた口調ではなくなったマディラさんは、あっという間に見えなくなってしまった。

ちょっと頼りになるマディラお兄さんを書きたかった!

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