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40 アイキャンフラーイ!って言葉、昔よく聞いた気がします。

 マータさん、ビータさんの意見を聞いて、コランさんにも来てもらう事になった。


 「最終的には依頼主に許可を得る必要があるけれどもねぇ。」

 「そうですね。アールさんに聞いてみます!」


 帰りの乗合馬車の中でも、コランさんは相変わらずの笑顔を貼り付けたままだった。暇があればスライム君について質問されまくった。羽付きモモについて、とっても有力な情報をくれたコランさんには感謝しかないので、答えられるものは答えたよ!虫じゃないっていう事が、どれほど私の心を救っただろう……。ほんと、感謝感激雨嵐!


 

 村に戻って、入り口に立ったあたりから、ドン!ドガン!と音がする事に気付いた。


 「なんの音でしょう?」

 「あれ、見てごらんなさいな。」


 マータさんが指差すのは、斜め上方向。その指差す先には、人が飛んでいた。

 綺麗な放物線を描き、頭を下にして落ちていく……。とても自分から飛んだようには見えない。恐らく、誰かに飛ばされているのでしょう……。毎回、人が飛ぶ直前にドン!ドゴォ!と音が聞こえてくるのがわかった。


 「楽しそうねぇ。」


 ビータさんがニッコリと微笑みながら呟いている。楽しい……のだろうか……。着地が安全だったら、楽しいのかも……?


 「私も人を飛ばせるくらいの力が欲しいわぁ。」


 飛ばす方でしたか……。マータさんもビータさんもドSな性格なようです。


 人が飛んでいる現場に向かう。次第に、声も聞こえてきた。


 「その程度の連携で俺を倒せると思っているのか?もっと本気で来い!」


 クレスさんが声を張り上げている。気迫が凄い……気がする。私にはよく分からないけれど、今のクレスさんには近づいちゃいけないってわかる。何というか……体から湯気のような物がユラユラと立ち上っているように見える……。

 そして、周りを囲う筋肉冒険者さん達。連携をしてクレスさんを攻めているっぽいんだけれど、簡単に各個撃破されて、飛んでいく。あぁ、飛んでいくー。


 「今日はこのくらいにしよう。」


 そう言って、クレスさんから出ていた近付き難い雰囲気が消えていった。筋肉冒険者さん達は、あきらかにホッとした顔をしていた。


 私が声をかける前に、こちらを向いたクレスさんは、目尻の少し下がった、いつもの穏やかな顔だ。


 「おかえり、チカ。」

 「ただいま戻りました!クレスもお疲れ様です。」

 「ああ。」


 クレスさんがこちらに近付くにつれて、隣にいたコランさんが下がって行く。ん?どうしたのかな?


 「コランさん?」

 「凄まじいな……。ちょっと怖いくらいだよ……。」

 「チカ。そちらは?」


 クレスさんにコランさんを紹介する。魔物について研究しているコランさんは、冒険者としても活動しているからきっと助けになってくれる。


 「……そうか。」

 「ははは……よろしく頼むよ。」


 ちょっと考える仕草をするクレスさんと、乾いた笑い声で握手を求めるコランさん。クレスさんは渋々と言った感じで応じていた。


 「じゃぁ、ちょっとアールさんに許可を貰ってきますね!」

 「ああ。」


 コランさんを連れて、アールさんの元へ行く。マータさんとビータさんはクレスさんに訓練をつけてもらうそうで、ここで別れた。二人ともとてもウキウキしていた。



 「あのクレスとかいう人物とチカは、どのような関係なのかな?」

 「そうですねぇ。友人、でしょうか?」

 「友人……ねぇ。私にはそうは見えなかったけれど……そうか。」

 「とっても優しくて、でも強くて、良い人なんですよー。」

 「なるほど……強さは……。」


 道中クレスさんとの関係を聞かれて、考えながら答えたら、コランさんは納得したような事を言った後ブツブツと何かを呟いていた。




 アールさんは村の人と何かを話しているところだった。


 話の区切りの良いところでコランさんについて聞くと、快諾してもらえた。


 「協力者は多いに越した事ないアルヨ!」

 「良かったー!では改めて、よろしくお願いしますね!コランさん!」

 「ええ。よろしくお願いします。」


 こちらの話が落ち着いたところで、アールさんにはお願いをされた。


 「そうそう、チカ。これをお願いするアルヨー。」

 「あ、そうですね!村の人にも食べていただかないと、ですもんね!スライム君ー。」


 ポヨーン!


 「さぁ、スライム君、頼みますよー!」


 スライム君の頭上から籾殻の付いたコッメを落とす。

 スライム君の体に吸い込まれて、口のような部分から精米されたコッメが飛び出して行く。


 「ヒェェェ。コッメがまっじろになってくだよー。」

 「こりゃぁ、たまげだなー。」


 村の人が驚いて見ている。

 見た目は凄まじいけれど、スライム君が精米してくれたコッメはすごいんだよー。

 洗ってみてわかったんだけれど、ほとんど水が汚れないのだ!つまり、無洗米みたいになっているんだよね。スライム君の精米技術は多分この世界一だよ!


 そして、一番驚いていたのはコランさん。

 恍惚とした表情でスライム君を見つめ、息づかいがやばい……。絶対変態さんだよぉ……これ。


 「はぁ、はぁ……素晴らしい……素晴らしいぃぃ!スライムがこのような高等技術を使えるとは……!なんということか、早く、早く調べたいいいいぃぃぃぃ!!」

 「ひぃ……。」


 今にもスライム君を触りそうに手をワキワキさせている。


 「チカ君!ぜひともこのスライム君を私に……私に解剖させてくれぇ!」

 「ぜーーーーったいダメですーーーー!!」


 解剖とか恐ろしいこと言わないーーー!


 コランさんを何とか押さえつけて、スライム君を守り切った。危ないったらないよ!やっぱり連れてくるべきじゃなかったかな……。



 スライム君を守り切った私は、コッメを炊いて村の人に食べてもらった。これが本当のコッメの味よー!


 「ごれは……!」

 「なんてごったぁ。こりゃぁたまげたよぉ。」


 みんな美味い美味いと食べてくれた。うんうん!お気に召したようで良かったよ!


 アールさんがみんなに作り方を教えていく。私があまり出ていくと怪しまれるからね。みんなコッメの新しい炊き方、食べ方をすんなりと受け入れてくれた。


 「こーんなに美味しい食べ方があっただなんでなぁ……。こりゃぁ今日の夕飯から楽しみだでぇ!」


 みんなが食べる分のコッメも、スライム君に精米してもらった。

 ただ、このままの精米方法では、私がいなくなったら誰も食べられなくなっちゃうんだよね……。


 木で出来た臼の構造……わからないんだよなぁ……。臼の上にある棒をグリグリとしたら、籾殻が取れていくって事しかわからない。良く構造もわからない私が考えるままに作ったら、粉々の米粉が出来そうな気がする……。あ、米粉は米粉で嬉しいような!……じゃなくて!精米精米……うーん……。


 「チカ、どうしたネ?」

 「アールさん。コッメの精米方法の件なのですが……。」

 「それなら、後で話に来るアルヨ。この後はすぐに夕飯作り始めるアル。」


 アールさんは私に近づいて小声で付け足した。


 「今日会ったばかりの人にあまり聞かせるべきでは無いアル。後でクレスの旦那も連れて来るアルヨ。」

 「……はい。」


 そうだった。今はコランさんがいるんだったね。精米について考えすぎて忘れてたよ。っていうか、コランさんって変態になる時以外は、影が薄いんだよねぇ……。


 後でクレスさんとお伺いする事にして、コランさんを連れて冒険者のみんなが寝泊りしている借り家へと戻った。


 さて、夕飯は何にしようかな。

モンハンの大剣持ちさんや、ハンマー持ちの人に打ち上げられるの楽しいですよね!

クエストクリアした後に、良く飛ばしてもらいました。アイキャンフラーイ!

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