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38 子供の頃は当たり前のよう触れたんですけどね……。

最後の最後に、想像するとちょっとキモい表現があります。あまり深く考えないことをオススメします。


 ちょっとおセンチちゃんになってしまった次の日。


 昨日は似ている景色にちょっと動揺してしまったけれど、気を取り直してコッメを守る作戦を考えなければ……!

 そんな風に気合を入れ直して、まずは朝ごはんを作る。


 依頼を出していたとはいえ、いきなり二十人の団体が村に来たのだ。少しでも村の負担を減らすために、出来ることは自分たちでやらないとね。


 村の人たちは良くも悪くも、とーーーーってものんびりした性格のようだ。コッメの危機だというのに、そんなに焦った感じは無い。


 「いづもは、いくつかの田んぼを犠牲に退治出来ているからー、だいじょぶだー。」

 「んだんだ。なーにもそげな大人数でこなぐともー。平気だべー。」

 「まぁー、せっがぐ来たんだー。ゆっくりしてけー。」


 村に到着して早々、こんな感じで歓迎?された。


 あと気になったのは口調。アールさんと同じなんだと思っていたけれど、村の人たちは普通……ちょっとクセがあるけれど、何となく聞いていて和むんだよねぇ。アールさんってなんであんなエセ中国人っぽくなっちゃったんだろうね……。謎だー。


 持ってきていたパンがダメになっちゃうといけないから、朝はサンドウィッチにした。村の人から頂いた野菜をふんだんに使わせてもらった。もちろん、お肉もマシマシでね。外で汗をかいている人に野菜だけなんて、酷だものね。



 戦闘ができる人たちは、早朝から訓練をしていた。近いうちに魔物と戦うことになるから、俗に言う……仕上げ、的な?


 飛び散る汗が陽の光を浴びてキラキラと輝いている。なんだろう……このムキムキ達の熱苦しい感じ……。


 「フンッ!」

 「ハッ!」

 「良いねぇ!切れてるよ!」

 「筋肉による陰影と光輝く筋肉の山頂……その頂に立ちたい!」

 「うおおおおおおおぉぉぉ!」

 「僧帽筋が叫んでいるーーーーー!」


 ……叫ばないよ。筋肉が叫んでいたらそれはホラーだよ。

 いつからここはマッスル達の巣窟になってしまったんだ。みんなして白い歯を見せ、スマイルで筋肉を見せ合いっこしている。仕上げってそっちなのかな?仕上がっているのかな?


 いや……気にしたらきっと負けだ。見ちゃいけないんだ。うん。見なかったことにしなければならない。


 筋肉が熱を発している場所の隅っこに、スライム君達がいた。……スライム君と不吉そうな人形さん達の決めポーズに、筋肉ポーズが追加されている!?ダメだ!そっちに行っちゃダメなんだよぉーーーーー!


 暫くして、クレスさんが指示を出し、筋肉ポーズは視界から消えた。

 ……みんな必死にクレスさんの攻撃を受けたり避けたりする練習をしている。すごい!さっきとは打って変わって、みんなの表情が真剣だ。練習とは思えないほど、気迫に満ちている!


 ……大丈夫かなぁ?なんだか顔色が悪い人が多い気がするよ?

 適当なところでご飯の声かけをしておこうかな。うん。



 朝ごはんを食べ終えて、私は色々と情報収集する事にした。

 村の人の話では、羽付きモモキングは数を増やすのに専念しているそう。動き出すまでには、まだ時間がかかるとの事だ。

 羽付きモモキングが動けない今のうちに、討っちゃえば?との発言もあった。けれど、急にキングがいなくなると、集まっている羽付きモモ達はまとまりが無くなり、被害があちらこちらに出てしまうのだそうだ。まとまっていてくれた方が討伐しやすいから、今は叩くべきでは無いんだって。簡単には行かないんだね。


 どうしたら効率よく退治出来るのか……そのためにも、もっと魔物の詳しい事を知りたくて、近くの冒険者ギルドに行くことにした。一番近い冒険者ギルドは、この村から馬車で一時間程度の所にある町にあるそうだ。


 「クレス。ちょっと冒険者ギルドまで行ってきます。」

 「一人で行くのか?」

 「はい。あ、スライム君達が一緒です。あと、私のほかに乗合馬車に乗る予定の方が数人います。」

 「……俺は訓練を見なければいけない。気をつけてな。」

 「はい。行ってきます。クレスも訓練頑張ってください。」

 「ああ。」


 クレスさん、いつもより悩んでいた気がするな。何か心配な事でもあったのかな?


 ……私の場合、乗合馬車にいい思い出があまり無いんだけれど、全部で二時間程度の移動だし、さすがに今回は大丈夫でしょう!


 「いざとなったら、スライム君を投げて気を逸らして、その間に逃げよう。うん。」

 「!?」


 そんな冗談を言って、スライム君に頬を引っ張られながら乗合馬車を待っていると、マータさんとビータさんがやってきた。


 「チカちゃん町に行くんでしょう?」

 「あ、はい。」

 「私たちも行くわ。」

 「あれ?訓練は良いんです?」

 「あれは、朝ふざけていたバカな男達が対象だから良いのよ。それに私たちはいつでも動けるように気をつけているもの。」

 「そうだったんですね……。」


 お仕置き的なものなのでしょう。南無三!筋肉男達よ!


 「お二人が一緒なら安心です!」

 「そうそう。安心しなさいな。ほんと、心配性な人が多いわねぇ。ふふふ。」


 ちょっと意味深っぽい笑い方をされた気もするけれど、見えないくらい素早いお二人が一緒なら何も心配いらないね!



 馬車で到着した町は、アールさんの故郷の村よりも規模が大きく、人がいっぱいいた。


 聞く感じ、やっぱり言葉にはクセがある。この国の人はみんなクセがあるのかな?


 「冒険者ギルドに行ってきます。マータさんとビータさんも御用があるんですよね?」

 「ええ。私たちもギルドに用があるのよ。」

 「そうだったんですね!では一緒に行きましょう!」


 知り合いが一緒にいてくれるって、とても安心だ!良かったー!

 ギルドに一歩踏み入れたらおっさん達にギロリとひと睨みされる……なんてものを想像していたから、実はちょっと不安だったんだ。



 ドアを開けると、カランコロンと音が鳴る。


 いっせいに見られるのは、想像と変わらないんだけれど、目つきの悪いおっさんみたいなのは、全然いなかった。

 みんな優しい眼差しだ。大丈夫なのかな……私が言うのもなんだけど、冒険者って殺伐とした依頼が多いんじゃないのかな?そんな猫を可愛がるような目で……あ、猫さんいたわ。獣人さんだけど。


 「あら、なんだか歓迎されているのかしら?」

 「うふふ。でも、あんまりジロジロ見ていると……掻っ切りたくなっちゃうわ。」


 色気のある目でそんな恐ろしい事言わなくても……。でも効果は抜群のようで、みんな視線を逸らした。


 「さぁ、用事を済ませてしまいましょう。」

 「あ、はい!」


 獣人姉妹は、私の用事が終わるまで付き合ってくれるようで、一緒に受付に来てくれた。


 受付の人に言って魔物図鑑をお借りする。


 「えーっと……羽付きモモ、羽付きモモ……っと。あった。」




 羽付きモモ

 大きさは拳大。雑食だが、コッメが大好物。一匹ではそこまで脅威では無いが、群れで草を食べると、物の数秒で畑一面を食べ尽くす。

 更に羽付きモモキングがいる場合、群の数が数倍に膨れ上がる為、脅威も増す。

 気に入った草を発見すると、低空で一直線に飛んで行く。一度飛び立つと曲がることが出来ないようで、一度着地をして方向転換しているのをよく見る。ただし、羽付きモモキングはその限りでは無い。

 草を主に食べるが、食べる草がなくなると何でも食べる。




 なるほど……。やっぱりコッメが大好きなんだね。それと、一度飛ぶと曲がることは出来ないのかー。これって何か役に立つかな。


 それにしても、群れで襲いかかって、数秒で畑が食べ尽くされちゃうって……。

 そこまで思って、思い出した。


 そんな話どこかで聞いたことあったじゃないか……。


 イナゴの大群……。


 日本ではその現象はもう起こらないって聞いたことあるけれど、中国とかではかなり悩まされた災害のようなものだったって……。もしかして……もしかすると、羽付きモモってイナゴなの……?じゃぁ羽付きモモキングって……。


 「うっ……。」

 「どうしたの?チカ。大丈夫?」


 大きいのを想像しちゃった……。ダメだ私には絶対倒せない……。見ることもしたくないぃぃぃぃ!!


 あまりの想像に気持ち悪くなって、しばらく冒険者ギルドで休ませてもらう事になった。


なんで大人になると触れなくなるんですかねぇ。


イナゴの大群って、中国とかで災害級の被害を出していたそうです。中国ではイナゴっていうか、トノサマバッタだったそうです。参考Wikipedia様


殺虫剤がある世の中でよかった……。書くために調べましたが……調べなきゃよかった……。

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