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4 長閑な風景が続くんだと思っていましたよ!

 誤字報告ありがとうございます!

 助かります!

 無事に王都を出発した乗合馬車。スキルについて読みたい気もするけれど、乗合馬車はギューギュー。こんなたくさんの人に、私の変顔劇場を見せるわけにはいかないからね!もう少し我慢。


 それにしてもギューギューだなー。立って乗っている人もいるし、馬車から体がはみ出て、必死にしがみついている人もいる。そこまでして、朝一番の馬車に乗りたいんだね。


 馬車を引く馬は、普通の馬じゃない。私の知っている地球の馬も大きいと思っていたけれど、この馬車を引く馬はそんなの比じゃない。二倍はある。脚の本数も二倍ある。びっくりして二度見したからね、間違いない。力もきっと二倍はあるね!

 出発する前に馬を観察させてもらった。なんでもこの馬さんは魔物なんだそうだ。普通の馬もいるけれど、魔物の馬の方が力が強いんだそうな。とってもつぶらな目をしていて、大きくてびっくりしたけれど、

その瞳にキュンとしてしまった。


 王都から出て三十分くらい走ると、ゆっくりと止まった。一番近い村に到着したそうだ。数人が馬車から降りる。それを見て、やっとわかった。乗合馬車って、日本での通勤ラッシュ時の電車と一緒なんだ。そう思った途端になんだかよくわからない気持ちになった。

 世界が違っても満員の乗り物に乗る自分。同じような感じなのに、違う世界にいるのだと突きつけられるような感覚。あぁ、似ているけれど私の知らない世界なんだよなぁって胸がモヤモヤした。



 馬車はそれからも何回か停車して、どんどん人は少なくなっていった。

 次は村ではなくて、街に着く。そこで一泊してから、更に王都から離れた土地に向かう馬車に乗る予定だ。マリーさんがそれが一番効率的だと教えてくれた。


 エチケット袋は不要だったよ!女の意地とか発動しないで済んで良かった!

 行き先の景色を見ると、さっきまで停車していた村とは違う、壁に囲まれた建造物が小さく見えてきた。



 もう少しだなーと思った直後、急停止したのか、イスから飛び出すくらいの衝撃が来た。実際私はイスから飛んで目の前の壁に顔からぶつかった。


 「いひゃい……。」

 「魔物だ!!!」


 まもの。……魔物!?慌てて飛び起きて、自分が見ていたのと違う窓を見ると、目が合ってしまった。


 その目は獲物としてこちらを捉えている。目が言っている。そんな気がするくらいの殺気のようなものが、この世界初心者の私でもわかった。


 大きな熊。馬の二倍も驚いたけれど、この熊は私の知る熊の四倍はあるんじゃないだろうか。距離は二十メートルくらい離れているが、熊ってめっちゃ足が速いんじゃなかったっけ……。


 「全員馬車から出ないように!」


 御者さんがそう叫ぶと、ガチャン!と音がした。なんの音だろう……?



 ヒヒヒィーーーーン!!!


 大きな鳴き声と共に、大きな馬が熊に向かって突進していく。さっきまで馬車を引いていた馬が。


 とんでもないスピードで突っ込み、熊を弾き飛ばす。……まじか。

 熊の方が大きかったのに、呆気なく飛んでいく。飛んでいく姿はぬいぐるみのような……哀愁が漂っていた気がする。

 更に馬は飛んだ熊の後を追い、落ちたところを踏みつけまくっている。……こ、怖い。


 最初に見た、つぶらな目は、狩る者の目に変貌している。何あれめっちゃ怖い!熊の殺気なんて冗談だったんじゃないのかと思うほどの狂気を感じる!!あれがさっきまでこの馬車を引いてたの!?


 「皆さん、すみませんが食事が済むまで少しお待ちくださいね。」


 御者さんがニコニコ笑顔で私たちに向かって謝る。


 「食事……。」

 「あや、お客さん知らなかったんですね。魔物の馬は肉食なんですよ。今日は朝から餌が来てくれて、あいつもご機嫌です。今日の餌代も浮くし、よかったよかった。」


 御者さんの言葉に思わず呟くと、肉食なのだと教えてくれた。馬が……肉食。

 周りの乗客も熊の魔物が倒されて安心したのか、くつろぎだしている。強いなこの世界の人。




 馬さんの食事風景はちょっと視界に入れられなかったから、前に見える壁を見ていたら、そこから何人かの人がこちらに向かって来ているのが見えた。


 街から巡回の兵士さんが来て、状況の確認をしていた。全員無事と聞いてホッとしている。

 馬さんは食事に満足したのか、穏やかな顔で戻ってきた。その穏やかな顔すらも、もう怖いわ!

 兵士さんは馬の食事後に残った魔物の素材を回収に行くのだそう。お疲れ様です……!


 街の外に出るときは、必ず冒険者か護衛を雇うように言われていたのを思い出した。なぜ、この乗合馬車にはそういう人がいないのに走っているのか……。この馬さんのおかげなんだろうなと気付いてしまって、若干ショックだった。



 街に入り、兵士さんに道を聞く。マリーさんに、まずは冒険者ギルドで登録をするように言われている。身分証の発行をしないと、国境を越えることが出来ないらしい。


 冒険者ギルドってやっぱり荒くれどもがいるのかなー。入ったらいきなりギロって睨まれるのかなー!

 ワクワクしながら扉を開けると、目の前は茶色だった。っていうか壁だった。壁?顔を上げると人の顔があった。目の前は服だったか。


 「あぁ、すまない。」

 「あ、いえ、こちらこそ。」


 なんだろう……初めて見る冒険者さんは、思っていたよりも優しそうな人だった。もっと厳ついのを想像していたのに。

 濃紺の髪は黒かと思うほどで、短く切っていて清潔感のある感じ。キリッとした眉に似合わず目元はちょっとタレ目がちで、これが優しそうな雰囲気の原因かな、と勝手に推測する。かなりしっかりした肩幅と、体格の大きさは見事だと思った。この世界に来て、二人目のイケメンに遭遇した。

 あと、余談だが、声の深みが良い……。


 思わずじっと顔を見てしまったが、首を傾げられて、ハッとした。こんなにジロジロ見たら失礼だよね。扉から下がって謝った。


 「すみません。」

 「いや。」


 冒険者さんは扉を出て、一度ギルドの扉を閉めた。私は中に入りたいんだけど……。そう思って扉の方を見る。


 「あんた、大丈夫か?随分顔色が悪いが……。」

 「へ?……大丈夫です。お気遣いありがとうございます……?」


 思わず疑問形で答えてしまった。私、見知らぬ人に心配されるほどの顔をしているのかな?お城を出る前にマリーさんが少し化粧直ししてくれたし、とっても綺麗にしてくれたんだけど……。もう時間も経っているし、崩れちゃったかな?


 「大丈夫ならいいんだが。早く休んだ方がいいぞ。」

 「はい。」


 私が返事をすると、満足したのか一度頷いて去っていった。とりあえず登録をしてもらって、安い宿屋を教えてもらったら早く休もう。この世界に来てから一睡も出来ていないからね。私だって早く休みたい。



 冒険者ギルドでの登録はあっという間に終わって、宿屋を紹介してもらった。ギルドのお姉さんにも心配されてしまった。

 宿屋に入って自分の顔を鏡で見て、納得した。本当に生者かと疑うほど、ひどい顔色をしていた。

 メイクを落としたらいつもの顔だった。



 化粧品が合っていなかったのかな?それとも……マリーさん……?

 マリアンヌにかかれば、時間差で変化する化粧なんてお手の物。

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