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2 文字化けしてますよ?このスキル…っていうか日本語だよね?

 美麗さんが聖女だとわかった途端、私のことなんて最初からいなかったような反応をした王様たち。

 勝手に喚んで、説明もなくドナドナされて、必要ないってわかると知らねって対応。


 私はもう、そりゃーイライラですよ。外は日が沈みかけ、空はオレンジ色。相変わらず状況がよく分からないし、今からどうこう出来るような感じでもない……。結局イライラしたまま、案内された部屋でウロウロしているだけしか出来なかった。


 仕方なく案内した感じのメイド服の女性……きっとメイドさんなんでしょう。メイドさんの方を向きます。一番気になるところを聞いてみよう。


 「私は帰してもらえるのでしょうか?」

 「申し訳ございません。私には何もわからないのです。」


 メイドさんも困り顔。私もきっと困り顔。どうすんだー、これ。



 コンコン



 メイドさんと二人で困り顔にらめっこをしていると、ドアがノックされる。メイドさんが出て、誰が来たかを確認すると、その人物を部屋に通した。私に確認とかないんだね、メイドさんや……。


 「あ。」


 イケメン顔の騎士さん風イケメンだ。……イケメン騎士さんと呼ぼう。

 イケメン騎士さんはこれまた困り顔で挨拶をしてくれた。


 「突然の訪問、失礼します。この度は我が国の王子が多大なる御迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。」


 そう言うと土下座をするイケメン騎士さん。この世界にも土下座があるんだ。私もメイドさんもビックリ。何も言えないでいると、さらにイケメン騎士さんは続ける。


 「私が至らないばかりに、召喚を止められず、巻き込んでしまいました。本当に申し訳ございません。」

 「あの、あなたが悪いのかどうかも私にはわからないのです。説明して頂けますか?」

 「はい。」


 やっとこさ立ち上がってもらい、テーブルに向かい合って座る。メイドさんは紅茶を入れてくれた後、部屋の端っこに移動した。紅茶を飲みながら、何が起こったのかをイケメン騎士さんに説明してもらった。




 やっぱり、私は聖女召喚に巻き込まれて異世界にやってきてしまったようだ。そして聖女はさっきの鈴谷 美麗さん。私は完全なとばっちりである。しかし……。


 「帰してくれるんですよね?」

 「……申し訳ありません。帰還方法は確立しておらず、今すぐ帰る事は出来ないんです……。」


 まじっすか……。帰れないのか……今すぐ帰れないって言っているけれど、この顔は時間が解決してくれるって感じではなさそう。つまり……。


 「帰れない……。」


 ちょっとだけ想いを馳せる。日本……。毎日朝早くから夜遅くまで働いて、一人暮らしだから、くたびれて帰っても誰もお帰りなんて言ってくれず……。毎日コンビニ弁当を食べながら、お風呂入って寝るだけの生活……。あれ?日本の生活……良かったよね?あれ?充実っていうか社畜していた記憶しかないのはなんでかな?

 むしろ社畜から解放されて喜んでも良い気がしてきたぞ。


 ……まぁ、母さんとか父さんの顔を思い浮かべちゃうと本当に泣きそうになるから、深く考えるのはやめておこうかな。


 「すみません……。帰す事も出来ないのに召喚なんてするべきではない、と散々反対していたのですが、目を離した隙に儀式を行うとは……。」


 小さな声で、あのクズ王子……って聞こえてるよー。メイドさんは離れているから聞こえないでしょうけど、私にはしっかり聞こえてるよー!

 ふと顔を上げるイケメン騎士さん。顔がさっきよりも真剣になったように感じる。私も思わず真剣な顔で見返す。


 「それでですね、重ね重ね申し訳無いのですが、貴方は出来るだけ早くこの城から出た方が良いと思うのです 。」

 「勝手に喚んでおいて、早く出て行けと……。」

 「はい……。王子たちが、貴方を消しに来るかもしれない。召喚したのは聖女一人だけ、であった方が都合が良いでしょうから。間違えてもう一人召喚しちゃいましたなんて、外聞が良く無いですからね。」


 必要ないとわかった途端、いなかったかのような扱いを受けた身としては、その言葉はとても納得できる気がする……。このままいると、消されるかもしれない、と。


 「逃げるにあたり、まずはこの国の基本的な知識をそこのメイドからお聞きください。それからこれを……。」


 そう言って取り出したのは、小さな革袋。テーブルに置いた時チャリ、と音がした。


 「この国のお金です。使い易いよう、ある程度崩してあります。持って行ってください。」

 「……ありがとうございます。」

 「本当に申し訳ない……。どうか、生きて下さい。」


 これは遠慮していられない。ありがたく頂いておこう。そして殺される前に逃げなければ。

 話が済むと、イケメン騎士さんは音もなく優雅に立ち上がり、メイドに金貨を握らせて、何事か呟いている。メイドが一度頷くと、イケメン騎士さんは部屋から静かに出て行った。


 「では、この国で生きていく上での基本的な事を、ご説明させて頂きます。出来る限り早く終わらせますので。」

 「はい。お願いします。」


 この世界で生きていく上での常識を教えてもらった。お金の価値、各国の特徴、国の地図を見て地理を軽く。文字は日本語ではないのに何故か読めた。言葉も日本語じゃないのに理解出来ているし、喋れているもんね。


 「後は、魔物が世界には蔓延っています。外を歩かれるときは必ず誰か護衛を雇うか、冒険者を雇って下さい。」

 「ま、魔物?」


 魔物がいるのか……。いよいよ異世界っぽいなー。私は運動とかからっきしだし、一般人だし、魔物を倒したりは出来なさそうだ。


 「あ、後はステータスの説明を。」

 「さっき聖女さんが出していたやつですね。」


 そう言って、ステータスを出そうとする。すると、メイドさんが慌てて止めてきた。


 「待ってください。あれは他人にも見えるように出す方法です。他人に見えないように出す方法が一般的です。」


 なんと、じゃぁあの時は……。


 「……わざとあの方法で出させていたの?」

 「……おそらく、嘘がつけないように、この先も確認出来るように……でしょうね。」


 やっぱりここの王族怪しいぞ……?あの時、ステータスというか、個人情報なのにみんなに見えるなんておかしいと思ったのだ。最初にあの方法だと言われたら、今後も何の疑いもなくあの方法でステータスを出すだろう。

 美麗さんは聖女とやらだから、丁重に扱ってくれると思っていたけれど……注意くらいはしておいた方が良いかな……?きっと逃げたりも出来ないだろう。聖女ー聖女ーってずいぶん特別扱いっぽかったし……。

 ……でも、私が注意してもきっと聞かないだろうな。なんせ、さっきまで言い争っていた相手だし。私自身もあまりあの子と話したくない。なんて言ったって……ねぇ。

 あとでイケメン騎士さんにお願いしておこうかな。


 「自分だけが見えるステータスを出すときはこうです。手のひらを上にして前に出し、『ステータス』と言ってください。」

 「オープン、とつけるとみんなに見えちゃうんですね。わかりました。ステータス。」


 さて、私のステータスはどんなかな。聖女じゃない、ただの一般人だから、期待はしないけど。



  広瀬 千華   23歳   【無職】

           レベル2

 HP 140

 MP 20

 力 12

 体力 70

 知能 30

 精神 10

 敏捷 10


  スキル

 【料理 1】







 【コンビニ経営】

 



 「……。」

 「どうでした?」


 うん。無職……。無職になっちゃったかー。この世界にハローワークあるかな……。

 レベル2って……一般人レベルなのかな?知能数も一般人レベルであって欲しいなー。一般レベルよりも低いのは嫌だなー。知能低くて無職とか……悲しみしかない!

 あと、とても気になるスキルが見えている気がする。そこだけ何故か下のほーーーーうにあって……この世界の文字じゃない。


 「レベル2って普通?」

 「この世界に来たばかりでしたら、それでもおかしくはありません。一応五歳児と同じくらいのレベルですね。」

 「五歳……。」

 「普通に生活していますと、レベル10くらいまでは、成人までに上がりますよ。」

 「そうなんだ……。」


 知能数聞くの怖くなってきた!これはもう気にしない方向で行こう。うん。

 それから、このスキルについても聞きたいな。


 「スキルって?」

 「スキルがあるのですね。そこはレベルのあるものですと、スキル名の横に数字が出てきます。レベルのないものはそのまま名前だけが出てきます。色々と種類がありますが、そのスキルの部分を指で押すと内容が読めますよ。」


 なるほど。料理のスキルを押してみた。


 【料理 1】

 料理が出来る。簡単なもののみ。



 こんな感じなんだ。もう一つのスキルは……一人の時に確認しようかな。




 なんで、スキル【コンビニ経営】だけ日本語表記なんですかねぇ……。気になるぅ!!

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