表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/104

10 カルチャーショックって、海外に行ったことない私には無縁だと思っていました。

誤字報告ありがとうございます!

 次の日の朝、部屋の前でクレスさんに挨拶をして、一緒に朝食を食べに行く。


 「おはよう。チカ。」

 「おはようございます。クレスさん、昨日はありがとうございました。」

 「……いや、まぁ、うん。」


 あれ?なんか歯切れが悪い?


 「チカ、昨日みたいに一人で動くのは、あまり良く無い。出来れば連れがいるのだとわかるように、食器が並んでいる状態で待っていてくれ。俺も注意してから行けば良かったんだけどな……。」


 なるほど。クレスさんが席を離れている間に、一人で動いていたから……私一人なんだと思われたのか……。


 「すみません、全然気付かなくて……。これからは気をつけます。」

 「……ああ。」


 もしかして、これって……常識だったのかな?私、常識ない人認定されたかな!?流石のマリー師匠も宿屋の食堂マナーは言ってなかったよ!……もう今更だもんね、次からは気を付けよう。

 ……結局昨日のおっさん達はどうなったんだろうね。一瞬だけ外が騒がしくなった気もするんだけれど、分からずじまいだ。……分からない方が、平和だよね!



 朝食を終えて、服を買いに向かう。クレスさんもこの街に詳しいってわけではないけれど、お店に並ぶ服の材質を見て、どの店が良いかアドバイスをくれた。


 一番動きやすそうな服を選んで、スカートからズボンスタイルに変更だ。

 見た目だけは、駆け出し冒険者に変身した!

 その他に、タオルや下着なんかを数枚買って、私の買い物は終わった。


 ちょっと早く終わったので、クレスさんとの待ち合わせ場所で待ちながら、見た目冒険者っぽくなった私は、中身も少し変化してないかな?と、ステータスを見てみることにした。


 「ステータス。」



  広瀬 千華   23歳   【冒険者 G】

           レベル22

 HP 1540

 MP 330

 力 25

 体力 70

 知能 31

 精神 15

 敏捷 18


  スキル

 【料理 1】







 【コンビニ経営】



 ……あ、脱無職!やったーー!最低ランクだけれど、ちゃんと職に就いたよ!


 っていうか……レベルめっちゃ上がったーーー!すごい!五歳児卒業した!!あれかな?ヤギの魔物を倒したから?魔道具のおかげだったんだけど、私が倒したことになるんだね!ありがとうございます!師匠!


 でも、待って……知能……上がった……?え、前はキリのいいところだったよね……?確か30……。

 1か……?たった1しか上がらなかったかーーーー!?レベルは20もあがったのにいいぃぃぃ!



 「……大丈夫か?」


 はっ!知能の低さに悶絶していたら、クレスさんが来ていた。……お恥ずかしい……。


 「ダイジョブデス。」


 ……知能ってどうやったら上がるんだろうね。勉強?




 「クエェェェ!」

 「グリちゃーーーん!」


 再びグリちゃんに乗って、高速で移動ですよ!乗る前まではこんなに気分が上がっているのにね。乗ったらもう叫ぶのをこらえる苦行ですよ!あぁ……グリちゃんモッフモフ可愛い……。


 この先はもう国を出るところまで突っ走る事になるそうだ。国の大きさがちょっと分からないんだけれど、首都のある位置が国の中央なので、南端までは大体三日かかるそう。そこから国境を越えて、どの国にも属さない巨大な渓谷が、東、西、南へと分かれているらしい。


 馬車が通る道ではなく、一切補装されていない場所をグリちゃんは走る。揺れるー揺れるー!あああああー!


 日が落ちるまでひたすら走り抜け、門は閉まっているので、街を囲む壁の近くで野営をする。

 街の周辺には魔物を寄せ付けない為の結界が張ってあるので、街の門が閉まる時間に間に合わず、入れなかったら、街の近くで野営をするのが安全なのだそうだ。マリー師匠が教えてくれた知識だ。


 初めての野営だー!キャンプみたいな感じかな?石を組んだり、寝る為のテントを張ったりするのかな?とか思っていた私は、すっかり忘れていましたよ。ええ。



 ここは異世界でしたよ。



 何あれ?地面に布みたいなのを敷いたと思ったら、そこから火が出てきたよ?薪とか要らないんだね。

 魔道具の筒と同じ形状の物から何か出たと思ったら、テントが勝手に組み上がって出てきたよ?頑張って組んだりしないんだね……。


 凄いなー。これなら野営も楽ラクだね!


 「どうかしたか?」

 「いえ……何でもないっス。」

 「クエー?」


 カルチャーショックが半端ないよ!とりあえず何かお手伝いをしよう。


 「お手伝い出来ることはありますか?」

 「ああ。じゃぁこれから晩飯を作るから、手伝ってくれるか?」


 私はクレスさんの言う通りにして、スープを作る。具材を混ぜるだけで簡単だ。

 そのスープとパンという簡単な夕飯を二人で食べる。

 グリちゃんにもご飯をあげると、クレスさんはグリちゃんの体を丁寧に梳かしてあげていた。グリちゃんにはまだ数日頑張って貰わないといけない。私もグリちゃんの羽をマッサージした。羽は使っていないんだけど、グリちゃんが気持ちよさそうだから、いっか!



 

 そんな感じで三日、予定通りにこの国の最南端の街に着いた。



 「ここがギベオン王国の最南端の街だ。この街を抜けて国境の門を出れば、カルセドニーの渓谷。どの国にも属さない、商人泣かせの魔物の巣窟だ。」

 「魔物がいっぱい出るんですか?」

 「ああ。だが、冒険者も結構通るから、みんなで協力して倒したりするんだ。」

 「へぇー。」


 魔物がかなり出てくるなら、国境を越えて商売するのも大変なのかもしれないなー。



 「ここで野営をして、明日街に入り、国境を越えよう。」

 「はい。」

 「あーれー?そこにいるのはー、アイちゃんじゃーん?」


 突然、空から声が降ってきた。この周辺に他に人はいないから、その声が私たちに向かっていると言うのはわかる。私は上を向いた。


 白い馬が空を飛んでいる。羽をバッサバッサとはためかせ、馬が空を飛んでいた。この世界にはいろんな馬がいるんだなー。

 馬さんの上に人が乗っている。夕日に照らされて、顔がはっきりと見えない。何となく、視線が私に向かっているように感じる。

 でも、私アイちゃんって人じゃないよ?……アイちゃん……。アイ……ドクレスさん?


 私の横を何かが勢いよく通り過ぎた。え?羽のある馬さんがサッと移動して何かを避けたっぽい?速すぎて、何が起こったのかよくわからないんだけど?


 「いきなり攻撃とかー、ひどいじゃーん!アイちゃーん!」

 「お前が出ると、ロクなことがない。さっさとどっかいけ!」

 「出るってー動物扱い?ひーどーいー!」


 クレスさんが攻撃したの?でも、敵って感じではないような雰囲気。クレスさんを見ると、渋ーい顔をしていた。


 「お知り合いですか?」

 「いや、知らない奴だ。」


 ほんとかなー?


 「お知り合いっていうかー、ちょーお友だちだよー!」


 振り返れば、羽のある馬さんは地上に降りていた。馬から降りた自称ちょーお友達さんは笑顔でこちらに歩いてくる。


 「はじめましてだね、こげ茶の髪のお嬢さん。僕はマディラ。よろしくねー。」


 マディラと名乗った人は、オレンジに近い赤色の髪をした、人懐っこそうな顔の細身のイケメンだった。


 イケメンだー!またイケメンだよー!……ただ、ずっと渋い顔をしたクレスさんを見ると……よろしくしない方が良いのかな?

 大体ですが、東京から長崎までくらいが、グリちゃんが走った距離です。一日七時間、時速六十キロで走った感じです。すごいな!グリちゃん!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ