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新星間戦記CIVILIZATION  作者: RYUJIN
プロローグ
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少年期2

 惑星リソラ衛星軌道・・・・。




 激しい艦隊戦を繰り広げている戦場から離れた衛星軌道上で、数隻の艦船が漂っていた。

 尤も、隠密作戦を行うために作られたその艦船は自身の持つステルス性能で捕捉も視認も困難な状況であるがーーーーー。


 その数隻のステルス艦船から数十機の、まるで人間のようなシルエットをした機体が飛び出した。


「エンジェル1よりエンジェル4、応答せよ」


 その人型機体のうち1機が、隣を漂う・・・味方とみられる機体へ通信を行った。


「ああよく聞こえるし見えているよ。しかしこうして見ると・・・やはりリソラは美しいね」


 長期化した大戦により、両勢力とも多くの男性軍人が戦死し続けているこの時代・・・。

 軍においても、そして政府の重役においてもその男女比は大きく変化した。


 今となっては両勢力とも前線で活躍する軍人のほとんどは若い女性が占めているという例に倣い、

 数十機のこれら人型機体のパイロットはほとんどが十代、二十代の女性であった。



「長きに渡る均衡状態が続くこのリソラ戦線・・・・私たちが変えないといけない」

 この機体のコクピットは球状の空間になっており、その球状部分すべてが外部を見るためのスクリーンになっている。


 そのスクリーンとは別に空中に投影されたウィンドウに映る、「エンジェル1」と呼ばれる戦友はそう言いながら顔を曇らせた。


「本当にこんな少ない機体でリソラを制圧できるのだろうか」


「・・・軍艦に乗って戦うにせよ、スレイブ・アーマーに乗って戦うにせよ無謀な戦場に向かうのに変わりはないさ・・」


「どうやら首都リノアにある士官学校には有能な士官候補がたくさんいるらしい」


「そして艦隊戦により消耗している防衛基地共々奇襲を行うというわけか・・」


 彼女らが乗っている機体は、スレイブ・アーマーと呼ばれるおよそ全高20メートル程の二足歩行機動兵器である。


 革命軍の主力量産機体であり「ラピスⅢ」と呼ばれる機体は、革命軍のメインカラーである深紅に塗られていた。

 物量による艦隊戦が主になるこの時代において、その役割は対艦奇襲や極地における白兵戦が主である。


 その名前の通り、人型である機体の操縦はマスター・スレイブ方式という、

 操縦者の体の動きをトレースしつつ、思考データを血液中のナノマシンを経由して伝達することにより複雑な動作を可能にしている。


 人間と同じ様な動きは自分の体の動きをトレースして行い、飛行のような生身の人間ではできない動作を思考制御で行う複合的な仕組みである。

 球体状のコクピット内部で宙に固定された人型の操縦ユニットに操縦者が埋め込まれるような形になって操縦するのだ。

「全機もなく作戦行動を開始する。目標はリノア基地および士官学校施設・・・大気圏突入姿勢を取れ」


「「「了解!」」」



 その通信と同時に数十機のSA(スレイブ・アーマー)がブースターを点火して惑星リソラ大気圏への突入を開始した。


 大気圏突入による断熱圧縮熱でプラズマ化した機体周囲の大気が赤く輝くが、近代兵器のほとんどに採用されいているハイチタニウム合金はその程度の熱では装甲に影響することはない。

 全機順調に突入が行われていると思われたが、異変はすぐに起こった。


 ーーーービシュッ!!


「エンジェル5よりエンジェル1、現在高度190km・・・対流圏まであと・・・・・ぐぁぁぁぁぁ!!!」


 大気圏突入によりプラズマ化した大気で輝く機体のうち1機が突如その機体を溶かしながら爆発した。


「エンジェル5応答せよ・・・・くそ! 対空砲撃・・・・しかも結晶体レーザーか!」


 指揮官機に乗るエンジェル1と呼ばれる少女は独り言ちた。


 通常、たとえ防空用の兵器が大気圏突入する高高度の敵目標を捕捉できるとは言っても、それを迎撃するのは困難である。


 それを可能にするのが結晶体レーザーという兵器である。


 高電圧を与えると重力を発生するグラビディウムはその純度により損失電圧が異なる。

 つまりは純度が高いほど少ない電圧で強力な重力を発生することができる。

 この性質を応用して高純度のグラビディウム結晶体を用いた収束レンズに高出力のレーザーを照射することにより、超高熱のレーザーを生み出すことができる。


 この結晶体レンズにより収束されたレーザーはおよそ20000度にも達し、

 命中せずとも掠るだけでこの宇宙に存在するほとんどの物質を蒸発させるほどの威力である。

 また、その性質から超ロングレンジからの攻撃が可能であり、正確に補足されたら最後光速で飛翔するレーザーを回避するのは理論上不可能である。


   そして続けざまに照射されるレーザーにより次々と味方が撃ち落される状況に、革命軍の少女はギリっと歯を食いしばった。


「くそ!! 掠って機体の半分がやられた!! 嫌・・・嫌だ・・・イヤァァァァァ!!」


「死にたくない! 死にたくない! 死に・・・・・・」


 ---ジュワッ!・・・・ドーーーーーン!!!


 その間にも放たれる光条は、次々と突入中の機体を蒸発させていく・・・・。

 しかし、地獄のような時間が過ぎる中、ようやく生き残った機体は対流圏へと到達することができた。


 結晶体レーザーは強力な兵器ではあるが、高電圧を必要とするために照射ごとにカードリッジ式バッテリーとコンデンサをリロードする必要があり、

 なおかつそのあまりもの高温なレーザーは照射中に砲身温度も上昇させ、砲身の冷却が必要である。

 よって連射ができないことが最大の弱点であり、命中しなかった砲撃も含めて打ち尽くした砲台はリロード作業に入った。


 不幸中の幸いであるが、その間に革命軍の機体は間もなく地上へ到達しようとしていた。


 徐々に全方位モニターに投影された地表が大きくなるにつれ、革命軍のパイロットたちの鼓動はさらに高まった。


「・・・・間もなく地上に到達する! 地上に到達次第対空砲台と主要施設へ攻撃を開始せよ!!」


「「「了解」」」


 そして、エンジェル1の機体スクリーンに投影された建物の中庭と思われる場所に人間がいるのが確認できた。

 徐にその人影を拡大すれば、自分とさほど変わらない年齢の男女がこちらを見上げているではないか。


 無意識にエンジェル1の少女は唇を噛む。


 艦隊戦、そして宇宙戦闘が主なこの時代で希な地上戦。


 普段は見えない、敵国に属する人間の顔が拡大されたスクリーンに表示された瞬間・・・少女の息は詰まり鼓動は高まった。


 しかしこちらは既に同胞を何人も殺された。

 どうやら彼らは身なり的に士官候補生らしい。


 だが、容赦はしない。これは戦争なのだ。


 接敵した以上、何人も生かすわけにはいかない。

 皆殺しにしなければ、自分たちが蹂躙されるのだ。


「・・・・・悪く思うな地球人! 私の前に現れたことが運の尽きだ!!! 」


 少女はこちらを見て立ち尽くす少年少女に向かってビームライフルの照準を合わせ、引き金を引いた。








〜設定資料〜


革命軍主力SA ラピスIII


革命軍主力汎用量産型SA ラピスシリーズの第三世代機。

革命軍でもっとも多く生産されている機体で、装備を換装することで多彩な戦場で使用できる。

第三世代機の特徴として、地球圏制圧を目的とした高高度戦闘と航空能力に特化した大気圏戦闘装備がある。

機体太腿部に地球戦闘時用の補助バッテリー接続機構があり、脚部に高速移動用のローラーユニットがついている。


スペック

全高 19.6m

乾燥重量 72.2t (宇宙戦闘用標準フレーム時)

主機関 双発式グラビディウムエンジン

機関定格出力 210,000kw

主電源 (内蔵)液化グラビディウム電池 A型 6本 +拡張6本 (外部)EPS方式

主装甲 ハイチタニウム合金

主兵装 マルチパーパス・ビームライフル ビームブレード 対艦アンチシールド高速ミサイル(雷装時)


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