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悪女転生

作者: ととと

「じゃあ晶くん、行ってきます」

「気をつけてね、行ってらっしゃい」


今日も行ってきますのキスで暫しの別れを惜しむ我が家のバカップルを横目に、私はもくもくと朝食を食べる。目の前で同じように朝食を頬張る弟妹は生温い眼差しだが、バカップルはお互いを大切にするのと同じように子供達も大事大事と扱ってくれるので失礼な態度にならないようにしている。


「おとうさん、私もそろそろ行くね」

「お弁当持った?今日は実里の好きなアスパラのベーコン巻きが入ってるからね」

「ありがと。行ってきます」

「行ってらっしゃい」


なんの打算もなく親しげに向けられる笑顔がこんなにも温かいものだと知っていたならば、過去の私も幸せを掴めたのだろうか?





私には、前世の記憶というものがある。生まれたその日から持ち合わせているものだ。前世の私は、いわゆる上流階級の家庭に生まれ、表面上はなに不自由なく育てられた。

両親は情などなくお互いに愛人を持ち、着飾ることと享楽にしか興味のない人たちで、私も幼いうちからまるで切り売りされるように扱われていた。

襲ってくる男達やそう仕向ける両親に憎しみを抱くのは当然のことで、やがては私を救ってはくれない世間も嫌悪した。長ずるにつれ、男たちを籠絡し世の中を思うように動かした。私をこんな目に合わせることとなった全ては、壊してしまうのだ、と。

国家転覆、世界戦争を目論んだ前世の私は、あと一息のところで企みが露呈して処刑という形で死んだのでした。


今でこそ過去の出来事として淡々と語れるが、やはり思い出すのには堪える。生まれ変わったばかりの頃は忘れたいとばかり思っていたが、最近は今の幸せを実感して大切に出来るからと、無理に忘れないことにした。過去のことを過去にできたのには、やはりこの世界と過去の世界が大きく異なっているからという点があげられるだろう。


物語の定番中の定番。

前世の私が生きていたのは、異世界である。

お決まりではあろうが書き記しておこう。この世界でいうとヨーロッパの中世?近代?くらい。中世って案外古いらしいので表現に困る。

ドレスを着たりお城があったりお屋敷に住んでたり、お茶会や舞踏会があったり。しかし魔法はなかった。自称魔法使いはいたが。


そう、思いだしついでに思い出話でもしようか。私が唯一忘れられない彼のことを。









彼とは夜会で出会った。当時の私って、結構な美女だったわけで(いや、今の私だってなかなか可愛い顔だけど)、夜会で見初められるなんてしょっちゅうだった。家柄も相まって羽虫のように寄ってくる男どもを利用していたわけだ。(家はほぼ腐ってたけど)


群がる男どもの向こう側。決して私の取り巻きにはならない、離れた位置に彼はいた。

女達の羨望と敵意の混ざる視線ではなく、媚びるような男達の視線とも違う。私自身を見極めようとする王や宰相とも違う。


強い


きっとあの頃から心は奪われていた。




彼は若く優秀な騎士で、王子と年も近いことから王子付きの近衛として仕えていた。

家柄は子爵家とそう高くなく、顔もいいから男爵家、子爵家、伯爵家の令嬢の手の届く優良物件として人気もあった。

それでも、騎士らしい高潔さ…孤高の雰囲気を持っていたことで令嬢たちも恐る恐る近付いては去っていく。


夜会では彼は大概、一人で過ごしていた。



そのころ私が考えていたことといえば

王子は優秀で、きっと将来私の邪魔をする。

そうなって後悔する前に、私は王子を排除しなくてはならない。

ということ。


そうして差し向けた罠に、かかったのは彼だった。



王子じゃなかったのは残念だけど、チャンスはまた作れば良いし、なによりこの男だって将来的に排除しなければならない。



そんなわけでまずは他の男達と同じように籠絡してやるって気合入れて頑張ったけど、見事返り討ちになったんだった。




しっかり拘束してたのにいつのまにかほどけていて

乗っかってたはずが乗っかられていた。


詳しくは語らないけど、ああいうときに泣き叫ぶ以外の理性のなくしかたをしたのははじめてでした。




まぁ、当時の私は復讐こそが人生だったので自分を見つめ直すこともないまま、彼を取り逃がしたあと王家の手が回らないうちにと計画を急いだことでできた綻びから罪が露見し、その後処刑された。



いま思い返せば悪女なりの初恋だなー、本当ならさっさと殺しちゃうもんなー、優しく抱かれちゃって呆然としちゃうとかほんともう、って感じだけど。






今世では平和を享受しつつ、できれば幸せな結婚をして家族を大切にする。

前世の罪を償う?いやいや、処刑されて処罰は受けてるしそもそも今は償う相手もいないし。世間に大きな迷惑を掛けずそれなりに貢献するのが精一杯の償いですよ。








「今日は転校生を紹介するよー」

北森遙斗きたもりはるとです。よろしく」

「ほら女子、イケメンだからって騒がない!北森の席は一番後ろの空いてる所な」


かみさま…これは、どういうこと?


「高野、悪いけど北森の教科書届くの明日だから、今日だけ見せてやってー」

「たかのさん、悪いけどお願いします」


彼がこんなところに


「これが名前?なんて読むの?」


いるなんて


「みのりさんか。よろしく」




「きたもりー、高野がかわいいからって授業中に口説くんじゃないぞ」

死んだ人は忘れられないって言うよね。

ラブストーリーを書きたいなーと思うけど、私の技量だと恐らくギャグ路線になっていくんだろうな。

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