開戦と呑気
「なんせ、躾がなってなくてね」
国木先生が二・三年生の教師陣営を挑発する。
「おお、やってやろうじゃねぇか。けちょんけちょんにしてやろう」
「吉若」
「は~い?」
気だるそうな吉若先生。反対に遠黒理緒先生や吉若博刻先生、その他の先生も鋭い眼光を放ち、今にも飛びかからんとする雰囲気だった。
二・三年生の教師陣営を前に国木先生は煙草に火をつけふぅーと煙を吐き出した。
「・・・やれ」
その声に月見先生はやれやれと言うように立ち入り口に向かった。
「え、ちょ・・・!月見先生・・・・?」
ドアに手をかけた・・・ように見えたが、ドアノブではなく鍵をしたに下ろし施錠した。ガシャンと音がたつ。その音に空気が一変した。
「これでいいかな?せ・ん・せ」
咥えていた煙草を外し、大きく息を吸った。
「死にさらせぇえええええええええ!!!!!!!」
国木先生の大声。それをきっかけに乱闘が始まる。
「ひ・・・ひぇえええ!」
その勢いに場外に押し出される。
(どんだけ、昼間にうっぷんがたまってんのさー!!!)
俺は内心叫んだが、声にしたところでおさまるはずがない。いや、おさまるのか・・・・これ!?
教室の片隅で転がされたままになっていると、椅子をガシッと置く音が聞こえた。見上げると
「な~にしてんの?白火先生」
月見先生が椅子に座りながら言った。
(あんたは動揺しないんかい!)
月見先生の足元で、俺は上半身を起こした。
「よ・・・吉若先生は怖くないんですか・・・・?」
おずおずと聞いてみた。いつ淹れたのか、お茶をマグカップで飲み足を組み観戦してる。
「まぁ、慣れてるって言い方も変だけどさ案外平気になるよこういうの」
黒い上着のポッケからお菓子を取りだしムグムグと食べ始める。
(観戦のしかたがテレビでスポーツ観戦してる勢い・・・)
「それに、あのなかにはいると色々面倒そうだし」
「めんどうって・・・」
「ただじゃおかれなさそうだし~」
(言えてるかも・・・)
「それにさ・・・」
「それに?」
お兄ちゃんが怖すぎて止めるの無理!・・・と言う言葉が来ると俺は思っていた、が、
「私参加すると段位取り上げられるから!」
ピシッ、バリッ、ガシャーンと理想というかなんというかわからないものが音をたてて割れた。
(そこ!?)
「今、そこ!?っておもったしょ」
ガックリと肩を落とした。ここは誰かが止めなくちゃ・・・意を決して立ち上がろうとした時だった。
「いや、やめとけ、やめとけ。オタクのキレイな顔にキズ作りたくないっしょ?」
隣にどかっと座り俺の肩に円陣を組むように腕をあてがいながら都川先生が言った。
「そうだぜ?止めに行ったとこで弾き出されるだけだし」
月見先生との少しの間に入って座る鶴尾先生。都川先生のように俺の肩に腕をやりながら言った。
(のんき!!)