火種
初投稿になります。
注意
この作品に登場する教師達はフィクションであり、なお、現在の教職課程や服務義務を全て違反した表現(多少控えめに暴力・暴言等も含む)が含まれます。
大丈夫な方は、お進みください
学校が長い休みに入って何日かたったとき職員全員の会議があった。
(怖い・・・)
僕は机に足をあげ腕を組ながら隣に座る遠黒先生と妙にピリピリとしている吉若先生に挟まれた形で座っていた。コの字型に職員室全体を使って座っている。一番職員玄関に近い方に三年生の先生、黒板を背に座る教頭、国木先生、二年の学年主任の伊勢先生、そして三年の学年主任は欠席。窓側には二年の先生陣営が座り、廊下側が一年生の先生陣営だった。
(会議ってこんなにピリピリしすぎてるのー!?)
重苦しい雰囲気の中で口を開いたのは教頭だった。
「最近、生徒が怠けぎみ・・・というのは皆さんご存じですよね?そこで、教師である私たちから変えていくべきだと・・・」
「主な原因は一年生担当の先生方じゃないですかね」
教頭の言葉を遮ったのは葉巻煙草を吸う、二年の学年主任・伊勢先生だった。ギろっと隣に座る国木先生を見た。国木先生は腕を組ながらじっとそれを聞いていたが、咥ていた煙草の灰をトントンと小刻みよく灰皿に落としさらにまた咥えながら言った。
「そうですかねぇ。一ヶ月もハワイにとんずらかましてた、アメリカ被れが今更日本に帰ってきて、時差にも困るでしょうな」
「あぁ、そうだな。こうも時差に困らされるのも考え物だ」
同じタイミングで二人は煙草のふぅーと煙を吐き出し、同じタイミングで灰皿に煙草を押し付けた。
一瞬静かになったが・・・
「んだとこの若造がぁああああああ!」
「うるせぇんだよエビじじいぃいいい!」
バンっと机を叩き、互いの胸ぐらを勢いよく掴みあげる。
「黙って聞いていれば、アメリカ被れだと!?」
「なんか間違ってんのか?!ザリガニ野郎!ロブスターのほうがまだ高級だボケ!」
(そこ!?)
殺気だつ二人の先生。教頭が止めに入ろうとするが、
「勉強のし直しでもしてこい、小僧が!」
「勝てるとでも思ってんのか、老いぼれ!」
にらみ合う両者。
「伊勢先生、落ち着いて!国木君も!ね!」
教頭が間に割り込むようにする。互いの胸ぐらを掴んでいた手が緩み落ち着いたかと思ったが、次の瞬間に机が軽く飛ばされた。がしゃんと派手な音をたて転がる。
ポッケに両手を突っ込み、煙草を吹かす国木先生。
「宣戦布告だ」
国木先生は職員室の奥にいる一年生担当の教師陣営があるところまでゆっくりと歩きながら言った。僕や、田沼先生、吉若先生以外の一年生の教師陣営はそれが合図のように立ち上がった。
「勝てると思うか?二年と三年。上級生の強さを見くびるな」
その質問に煙草を咥えながらニッと嗤う。
「勝てると思う・・・?はっ、勝つね。なにせ・・・」
国木先生は三年と二年の教師陣営、そして、伊勢先生に向かって振り向く。
「躾が悪いんでね」