表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/229

翡翠の魔女

「お久しぶりです!先輩!!」

「ん?」

俺と有紀が館の中庭でダラダラ過ごしていると、突然声が掛かる。

先輩というのは…まあ当然俺ではなく有紀に向かって声が掛かったわけだけども。

黒いワンピースのような、素材はよく分からないけど、まあドレスを着てる。腰や首周りはシースルーだ。

魔女は基本的に露出好きだよね?そんなことないか?

さて、この声をかけた魔女は金髪に緑の目をキラキラさせながら有紀に近づく。

「あ、ああ…翡翠の魔女、久しぶり。」

今日はやけに有紀の知り合いに会うな。

先ほどの2人よりも更に有紀は彼女が苦手らしくて、雰囲気からしてあんまり関わりたくないって感じだ。

以前教えてもらったけど、有紀はこの翡翠の魔女は「自分の真似ばかりしてくる」ことが嫌で距離を置こうとしてたみたいだ。龍眼レーダーの真似をしても能力が違うから下位相互でしかないし意味が無いことばかり追い求めてるというのは愚痴ってたな。

「先輩、私…『キミの目の能力を生かせ』と言われて、突き放されて…!でも、お陰で私は私の道を見つけました!」

翡翠は目を輝かせながら有紀にお辞儀をする。なんだ、ちゃんとしてる子じゃん…。

と、そう思ってたことがありましたね、はい。

「だから、勝負を申し込みます!私が貴女を越えたことを証明します!」

「えええ!?」

「私のことを突き放した先輩よりも上なんだって、知らしめます!」

ちょっと待て、この子行き成り勝負をしかけてきたぞ。

「え…ま、待って。なんで勝負!?」

有紀も焦る。そりゃそうだ。

出合って40秒で勝負申し込まれるって、唐突過ぎて「はい」と言えるような状況じゃないしね。

「成長した私を見て欲しいんです!ね?お願いします!」

翡翠は更に食らいつく。このお願い攻撃、有紀を押すには良い威力を持ってる。

「う、うーん…」

有紀が悩んでると横からエミリーがひょこっと顔を出してきた。

「おやおや?何やらお困りですネ?」

なんだよその口調…と思いつつもツッコまない。今の状況を説明する。

「いいね!有紀、キミのリハビリにもなるでしょ?やっちゃいなよ。」

「わー、ありがとうございます!次元の魔女様!」

「ええ…」

こうして再会即試合の申し込みが成立した。


試合は有紀が常に押されっぱなしだ。

「先輩、別に私を勝たせようって気を使わなくてもいいんですよ?」

話しながらも翡翠の魔術が有紀を襲う。

「うぐっ…そんなつもりじゃ…ないんだけどね。」

吹っ飛び、転がりながらも有紀が返事をする。

先ほどから有紀は魔術を発動できないで居る。

何故か俺の隣に座っているエミリーが解説してくれるので勝負の内容についていけてる感じだ。

「有紀は今の状態だと出力も強度も処理量も、全部あの翡翠の魔女より下回ってるからね。有紀の魔術構築はどれも『インタラプト』による妨害で発動できないで居る状態だよ。」

なるほど、確か有紀がガマー村で相手に魔法を使わせないために妨害をしていたようだけど、それを逆にやられてる状態か。

「じゃあ、先輩、早く魔女化してください。じゃないと私も本気だせませんよ?」

翡翠がさらに追い立てるように有紀に爆風を巻き起こす。

ただのブラスト…だけど俺が使うものとは待ったく別次元の威力だ。

これが、魔女が使う魔術か…。いや、有紀も使うけど、彼女の場合は魔女の状態でも手加減してたしね。

と、爆風を強引になぎ払うように風が巻き起こる。

銀髪緑眼の魔女化した有紀がそこに居た。

「やっと、本気出してくれるんですね、先輩!」

「別にね、手加減してたわけじゃないんだよ。」

龍牙穿空の振り、飛ぶ斬撃を一発・・・二発と放つ。

さっきまでは同じ攻撃は翡翠の魔女を覆う魔力の膜だけで弾かれていたが、今度はそれよりも手前…ウォールによる見えない障壁でガードされた。

翡翠の魔女が魔力の膜では耐え切れないと判断した証拠だ。


「あれ?」

声を上げたのはこれまた俺の横に座っている陽光の魔女だ。

俺の隣というか、正確にはネコミミ魔女の新月の膝上に座っている。

「龍眼の魔女、弱くなっているね。これはどういうことかな?」

陽光の魔女…彼女はかつて有紀と同じように試合をしあった仲だから、当時の実力と今の実力の差を感じているのかも。

有紀と翡翠はさっきから2人とも立ってるだけだ。ただ、魔力を感知してみると先ほどから構築と妨害の応酬を激しく繰り返しているわけだけども。

その状況を見て、陽光は首を傾げる。

「というより、あの子雰囲気も変わってましたね。」

新月も頷く。この2人、鋭いぞ。

「実は…」とエミリーが説明してくれる。まあ隠す話でもないからね。俺に説明する力がないだけで。

「ほう!転生先から生きて召喚される事例は初めて。凄く興味深い。」

「そうですね。ああ…だから、今の龍眼は前よりも闘争心がないのですね。」

「そのようだね。とは言ってもあの子、昔からそんなに闘争心があったわけじゃないけども。」

この話をしている間も、あの2人はただ立ち続けている。

魔力とか分からない人が見たら「何してるんだ」ってなりそうだけどね。

ただ、剣道でもそうだけど…達人同士の戦いはやたら動かないし、似たようなもんなのかな。


「今何が起きてるか、もっと細かく教えるよ。」

「あふん、って、なんで囁くんですか。」

エミリーが俺に囁くもんだから俺の敏感な耳が反応してしまった。

「へへへ」と笑うエミリー。完全にからかったな。

「まああの2人の戦い、魔術の応酬なのは分かってるでしょう?もっと細かく解説してあげようと思ったのは本当だよ。」

「ん…それはお願いしたいな。」

俺が理解してるのは「魔法の構築」と「妨害」の応酬…というだけだが、実際にはより複雑な戦いが行われていたようだ。

妨害…インタラプトという魔術をぶつけることで魔術の構築を妨害する一方、その対策として「ダミー」という魔術を展開する。

ダミー、文字通り見せ掛けだけの魔術だが、これが厄介なんだとか。

「『ダミー』を無視すると、いざ本命の魔術を狙って妨害しようにもダミーがその邪魔をする仕組みなんだ。だから、ダミー自体を対象にしたインタラプトも使用しないといけない。」

例えば「魔術A」を使おうとするとそれに対するインタラプトを使われてしまうと妨害を受ける。

それを保護するために「ダミー」を構築する。完成したダミーは魔術Aを守る壁としての役割を果たすため、インタラプトを直接魔術Aに使えなくなる、という事みたいだ。

要は壁を作らせないようにするために構築中のダミーも含めて潰していかないとダメ、ってことだな。

「普通の人との戦いではまずこんなことしないよ。魔力量の時点で段違いだから、こんなことしなくてもゴリ押せてしまうんだ。言ってしまえばこれは魔女やそれに匹敵する魔術・魔法の使い手を想定した専用の戦い方だよ、修司君。」

「あ、ついでに私のように魔力強度が高い魔女にはインタラプトが通用しないのも付け加えておいて、次元の魔女。」

何気に陽光の魔女が横からアピールしてくる。

「ヴィルヘルムから来た異邦人」ということで陽光の魔女は俺にも興味持ってくれてるらしい。

なんか、女の子に囲まれてモテ期でも来たのかな?って気分になる。

けど実際体験して分かったわ。これ心の覚悟がないと結構緊張するわ…。

俺はズボンで手汗を拭う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ