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新たな力

「だ、大丈夫?修司・・・。」

部屋に着くなり有紀は俺を心配してくれている。

というか、部屋まで有紀とエミリーに肩を担がれて運んでもらうという状況だったのが恥ずかしい。

「うーん、ごめんね、修司君。」

あれから俺の魔術の習得について話が移った。

魔女達は魔術大好きっ子だから俺に覚えさせようとしてくれるのは非常に嬉しいのだけど・・・

1個習得するのに頭が疲れるわけで、それを1個ずつ押し付けられたら頭がガンガンするわけだ。

有紀と密着するのは良いけど、他の人とあの形で魔術習得するのは緊張する・・・とか思ってたけども、そんな余裕なかったからね、マジで。

「ああ、いや・・・まだクラクラする。」

俺は今日はソファーで寝るつもりでいたがその気力もなく、2人に促されてベッドに横になる。

「もう、エミリー達が見せて欲しいっていうから見せたのに、なんで皆してやっちゃうかな。」

「ごめんごめん。でもさ、やっぱり私達も誰かに何かを残したいのよ。分かるでしょ?」

「だからって修司じゃなくてもいいと思うんだけども。」

「それは・・・趣味かな!修司君って16歳だから成人してるけど、ちょっと童顔じゃん?だからほら・・・ね。」

「ショタ趣味だったんだ、エミリー。」

「ふふ。で、ついつい修司君に魔術を伝授したくなっちゃった。」

なんか俺を挟んでする話?って言いたくなるのをこらえる。こらえるっていうかそんな余裕ない。

だんだん意識が落ちていく感覚。

頭が疲れすぎて眠ろうとしてるようだ。


有紀からは今日のダンジョンに有効だったかも・・・ということで「アシッド」という魔術を教わった。

アシッドは「酸による腐食」をさせる魔術で、今回のような金属系のモンスターに対する防御ダウンが基本となるが、モンスターに対して使用すると火傷に似たようなダメージを与えることが出来る。

エミリーからは「ウーンズ」・・・これは無数の傷を負わせる魔術で、一見すると使えるの?って感じだが、負わせた裂傷は回復系の魔法を使用しても治りが悪い特殊な傷なんだとか。ちょうど妖樹を相手にしたときに受けた葉のダメージと同じようなもんか。

大樹の魔女からは「アブソーブ」。文字通り吸収の魔術だけど、これは魔力・体力を吸収する。魔法の場合はターゲットした人やモンスター単体に対する魔法だが、魔術は地面設置系なのでその範囲内なら複数の対象に効果がある。

新芽の魔女は今更ながらも「サイレンス」を教えてもらった。ていうか有紀が教え忘れてた魔術だったわけだけどね。

どれもファーストチョイスとして使用するには難しい魔法な気がする。それを4つ学べばそりゃ頭爆発するよな…。

最近魔術も増えたりアーツも使ってるし、そのうち使用しない魔術とかも出てくるだろう…。もったいないから()()()()()()()()()()()()。なんて考えながら俺は眠ってしまった。


翌日、俺は昨日教わった魔術をすっかり忘れてしまった。正確には忘れたというわけじゃなくて、昨晩願ったとおり上手く纏まった感じがする。

「ん~?ど、どういうことかな?」

有紀とエミリーが首を傾げる。

2人ともどうやら俺の両サイドで寝てたみたいだけど、俺が襲われるとかはなかったようだ。多分有紀が牽制してたんだろうけども。

「まあ見ててくれ。」

俺はミストを展開する。

「へぇ、修司君。これはキミの能力なのかな?」

俺のミストにはブラインド、サイレンス、ウーンズ、アシッド、アブソーブの効果が付与されていた。

要するにただ霧を出す魔法じゃなくて、霧の中に居る対象に別の効果も与えることになる。

ちなみにこのミスト、めちゃくちゃ都合が良い。

暗闇、静寂、傷、酸、吸収・・・これら5つの効果全て乗せることも出来るし、選択することも出来る。

もっと言うとミストの中にいる敵にだけこれらの効果を付与するということも可能だ。

「ボクもミストと別の魔術は一緒に使うというのはあるけど。これはちょっと便利機能だね。」

以前から有紀はミストを展開するときに別の魔術も同時に展開したり組み込んだりというのはやってた。

ただ対象を指定するなんてことは出来ないから、傷を負わせたり酸で焼くような効果は味方も巻き込むため、彼女はそれらの組み合わせをしてこなかったわけだ。

しかし俺はそれが出来るわけだから、俺のミストは有紀よりも自由度の高い魔術として使えるということになる。

「でも、何でこんなことに…。」

エミリーは首を傾げる。

ただ、俺と有紀は思い当たる節があった。

「昨日のダンジョンのあと、俺何となく違和感があったんだよ。ヒルメルの瘴気の中で活動したときみたいな。」

「そうか、修司君は瘴気を取り込んでたね。ということは今回も15層の魔力を取り込んだからかな?」

15層の「特殊魔力」は俺に取り込まれ、瘴気と同じように俺の持つ魔力を変質させた、ということだろうか。

確かに瘴気のときは魔法・魔術で習得していたハードスキン、アヴォイドが魔法しか使用できないようになっていた。今回も似たような現象だな。

「ヴィルヘルムのヒトは私達の世界や他の世界と違って特殊な力がないんだ。その代わりこうやって環境の力を取り込んで自分のものにするのが彼らの能力なのかな。」

エミリーの推測は正しい気がする。瘴気のときは有紀が同じ仮説を立ててたけど、今回も同じことが起きた以上、その線だろうと思う。



※現時点のステータス


佐野修司 ランク2

ステータス

 筋力:80

 敏捷:80

 体力:70

 魔力:90

スキル

 魔術:ブラスト、フレイム、ロック、ウォール、バインド、キープ

    ミスト(暗闇、沈黙、傷、酸、吸収の効果あり)

 魔法:ハードスキン、アヴォイド

 アーツ:パワースラッシュ、烈炎の剣

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