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月のダンジョンから帰還

ゴーストからはプレート片を手に入れた。

鎧を作る材料となるらしいけど、俺は鎧派じゃないから必要ない。

ただこのプレート片はキャスト系スキルによる攻撃にへの抵抗力があるので高額で売れるらしい。

帰りはモンスターも居らずストレートに帰還できたわけだけども、俺の調子がまたちょっとおかしい。

ちょっと、というか・・・瘴気による魔力の変質、あれと同じ感じだ。

「まさかさっきの特殊?な魔力の影響も出ちゃってるの?これ。」

「ええ・・・またなにかあったの?」

いくつかスキルを試してみる。

烈炎・・・問題なし。むしろ魔力が宿った武器は俺の魔力を良く通し、いつも以上に燃え盛っていた。

ブラスト、フレイム、ロック問題なし・・・というか他も普通に発動した。

うーん?なんだろう・・・違和感は気のせいだったのかな。

「何も異常がないなら良いことだよ。ボクが見えるのは流れだけだけど、そっちも異常はないし。」

とりあえず気のせい・・・と言うことにしとこう。


帰還するとエミリーが出迎えてくれた。

「お帰り、2人とも。お風呂にする?ご飯にする?そ・・・」

「それはちょっと古いよ、エミリー。」

有紀が全部言わせないとばかりに口を挟む。

「そっか、古かったんだね。じゃあお風呂行こうか!」

「どうしてそこで『じゃあ』なのさ。」

有紀はそんな事言いつつも「でも久しぶりだし」とエミリーに従う。

あれ?混浴?

魔女会っていうからには魔女・・・女の集まりだろうし・・・男女別には作らないよな?

どうなんだろう?

「ん?修司君・・・一緒に入りたい?」

エミリーが挑発気味な笑顔で言う。それを聞いて有紀が軽蔑したような目で見てくる。

「い、いや・・・俺は一人で入るよ。」

勿論混浴は大歓迎だ、俺の脳内ではね!

美女2人と一緒に入る・・・とか絶対ない話で、でも俺がもし首を縦に振ってたらその機会もあるわけで。

有紀は軽蔑するだろうけど、エミリーは多分「オッケー!」とか言いながら受け入れそうだし、有紀はなんだかんだで受け入れてしまいそう。

でも俺は拒否した。凄く簡単な話で、俺自身が裸を見られることに慣れてないんだよな。

正直な話、有紀とすら小学校以来一緒に風呂入ってなかったりする。修学旅行とかは大浴場のところが多いだろうけど、俺の学校が泊まったところはそんなもの無かった。

そんな状態なので男同士裸の付き合いしてないのに女に裸を晒せるのか?っていうね・・・。

恥ずかしさで死にそうになるから俺は俺のために断ったのだ。

ただ、エミリーはその拒否に対する返答も想定内だったようだ。

「そう言うと思ってね、ちゃんと男性用のお風呂も用意しておいたよ。」

あるんかーい!

俺の逡巡・・・なんだったんだ・・・。

「いや、だってさ、ここを建築する人だって、魔女会期間中の料理を作る人だって・・・、男性は居るんだよ?彼らが気兼ねなくリフレッシュする空間、必要でしょう?」

「あ、はい・・・ごもっともで。」

良く考えたらそうだった。俺の勘違いは恥ずかしすぎる。

有紀はこちらを見てるだけだけど、俺が何を考えて今どんな気持ちなのか分かってそう。

「全く修司は・・・」て目を向けるの止めて、辛い。


「ふう・・・疲れたな。」

今日一日の疲れを取るためにゆっくり湯船に浸かる。

やっぱり風呂は良い。肉体的な疲労を取るというよりも精神的な疲労回復の意味合いのほうが強い。

あの2人のお風呂はここから離れてる。当然2人のキャッキャウフフな声は聞こえない。

・・・期待しては居なかったけどね!

「熱・・・」

ある程度リフレッシュしてたら今度は湯が熱く感じる。

この風呂場の良い所は熱めの風呂と少し冷たいと感じる風呂の2種類が存在する。

どうも熱めの普通の風呂が良い人と、水風呂が良いという人が居るらしく、その両方のニーズを満たすためにどちらも設置したんだとか。

俺は火照ってきた体を冷ますために今度は水風呂に浸かる。

熱いから水風呂に・・・そして今度は冷えてきたから普通の風呂に・・・というのを交互に繰り返す。

祖父(じい)ちゃんがこういうの好きだったんだよな。

「冷温交代浴・・・だっけか。」

熱い風呂の後に冷たい風呂・・・これを交互に繰り返すことで自律神経の乱れを整え、ストレスの解消を促すことが出来る・・・だっけか。

ググったら確かにそんなことが書いてあってジイちゃん物知りだな、と思ったことがある。

「確か・・・最後は冷水で締めるんだったな。」

俺は水風呂に浸かる・・・。1分ほどで寒さを感じ初めて、止める。

「こんなもんかな?」

実はこの冷温交代浴、一時期妙に眠りづらい時期があったのでジイちゃんに教わった通りにやってみると不思議とぐっすり眠れた記憶がある。

「自律神経が乱れて眠れなかったんだろう」と言われたけど、当時の俺にはサッパリわからなかった。ただ、やっとゆっくり眠れるという安心感があったのは覚えているけど。

そんな風に俺に知識を授けてくれたジイちゃんはまだまだ健在で、今頃両親も含めて心配してるだろうな・・・。そう思うとちょっと寂しくなる。

寂しくなるけど、俺は自分で有紀と居る事を選択したわけだから、有紀がこの世界に留まることになったら当然俺もここに残る。

「まあ、それでも俺達2人が向こうに戻れたほうがハッピーエンドではあるんだけどな・・・。」

あれこれ考えても仕方ない。男の風呂なんて誰得シーンだし、上がろう。

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