アルカ村ダンジョン3層2日目
エロイベントも無く寝てしまったわけだが・・・。
そして目が覚めたら有紀はベッドから居なくなっているわけだが・・・。
いや、残念がるのはおかしいな、これからずっとこの生活なんだ、変なイベント起きるより何も無いほうが良い。
布団から身を起こす。
「あ・・・。」
「え・・・?」
ベッドに背を向けている女の背中が見えた、有紀だ。
ちょうどシャツを着るところだったらしい。
振り向くのと同時にストンと緩めのシャツが落ちる。残念お胸は見れませんでした!
でも、下はまだ下着だけだったのでそのTバックから出るツルツルのお尻はしっかり目に入った。
朝からこれはヤバイ、男にしか分からないだろうけど色々とね、ヤバイんだよ。
「しゅ、修司!ちょっとは遠慮して!」
言われて気づいた。じっくり尻やら股間を見てたわ。
スパっと下も履いて着替えを終わらせた有紀はなんとも居心地悪そうにしている。
何か声をかけてやらねば・・・。
「有紀、大丈夫だ。凄くすべすべしてそうな肌だったぞ。」
「それフォローになってないよ!?」
ちょっと怒られてしまった。
いや、でもさ、男女二人ってなったらいつかは見ちゃうじゃん?仕方ないよね。
有紀としては「チラ見ならいいけどガン見されると恥ずかしい」という考えのようなので、着替えを見たこと自体に何か意見があるわけじゃないみたいだな。
「そりゃね、こういうのはあるだろう、と予想してたわけだから、いいんだけど。けど修司もさ、自分の股間とかめっちゃガン見されたら恥ずかしいでしょう?」
まあ、女性にガン見されたら流石に恥ずかしいね・・・。
でも、有紀なら良いよって言ってみたら無視された。
ごめんって・・・!
隣の居酒屋はもちろん朝・・・いや、今が朝かどうか分からないんだけど、いつでも営業しているのでそこで便宜上朝飯と呼ばれるものを摂る。
「今日は武器屋行くんだよな?やっぱり武器はショートソードでいいのか?」
なんと今摂っているのは魚料理だ。鮎の塩焼きみたいな・・・。
上からもってきたのかな?
「これは上からもってきたものかもしれないね。このダンジョンには魚の類は居ないからね。」
魚については動物型のモンスターと少し違うところがあるらしい。
出現するのは魔力が溜まったところというのは共通だが、ダンジョン以外の河川でも普通に沸くらしい。
ってことは海でも沸いてるんだろうな。
この世界の大半はご都合主義な気がするけど、有紀に言わせれば「世界によりルールが違う」んだそうだ。
そんなものか。
「武器はショートソードでいいと思うよ。盾もやっぱりバックラーのほうが良い。大きな盾・・・例えばスクトゥム型の盾はタンカー向けだし、武器も大きなものとなると防御を必要としない人向けになるし、多人数パーティーをしないならオードソックスな剣盾が良いね。」
有紀は人を増やして行動することを考えてない。
俺達二人で進むなら、臨機応変に行動を変えられるような装備が良い、という考えだ。
俺も別に人を増やすことは考えていない、というより、どの道王都でクラスメイトと合流したらここで仲間が出来てもサヨナラなんだし、それなら二人で良いと考えている。
「果物ナイフ程度じゃバックパックのベルトを切るぐらいしか役立たないから、ショートソードのほかにナイフも欲しいんだけど、予算の問題もあるから、その辺は見てから決めようか。」
なるほど、サブの武器としてナイフって感じで有紀は考えているわけだな。
あくまでも派手な立ち回りをするような装備よりも堅実さを重視しているのが有紀だ。
俺もマルチロールは好きだから、その方向性には異論はない。
武器は防具も同時に取り扱っている。
初心者向けのさまざまな武器・防具が並べられている。
この辺りは見習い鍛冶のものより質が良い、らしい・・・自分には分からないが、有紀の龍眼が魔力の流れ方、流れる量?を見てるようだ。
「複数の鍛冶さんが作ってるね。同じ武器でも質が少し違う。ただどれも普通って感じだよ。素材のコストと手間を考えればあえてこの品質に留めているんだろうね。逆に言えば鍛冶さんの腕は質をコントロールできる程のレベルにあるってことになるし。出来れば地上よりここで購入しておきたい。」
「ん?地上とは作成している人は違うの?」
「そう、みたいだね。地上の武器屋さんはむしろ見習いの育成をするついでに見習いの製作品でグレードが良いものを店頭に並べてたんじゃないかな。親方さんの作品は見かけなかったよ。」
「お嬢ちゃん、地上の武器屋も見てたのか!向こうの親方はオーダーメイド品を専門にしてるから、店頭には並ばないのさ!ここで取り扱ってるのはアルカ村周辺の村の鍛冶師が作った作品だよ!」
でかい声でオジさんが話しかける。凄く・・・うるさいです・・・。
が、そうも言ってられない。
「ショートソードとバックラー、それからナイフの価格を教えてもらえませんか?」
「おう!兄ちゃん、ショートソードは1万コム、ナイフは2千コム、バックラーは1万5千コムだ!全部購入するなら2万5千にしてナイフ代は奢るぞ!」
所持金的にキツイ、キツイが・・・購入は出来る。さて、どうするか。
有紀を見る。彼女も俺を見てた。目が合ってニコリと笑う。
「買おう、コレ、コレ、コレを下さい。それと、冒険者ギルドから支給された武器とか引き取ってもらいたいのですが。」
有紀がご機嫌な様子でどんどん買い物を進めてしまった。
「思い切りが良いな!まいどあり!冒険者ギルドのは品質も良くないからな、買取は無理だが引き取ることはできるぞ!」
有紀がお金を支払う。俺は自分の剣盾をオジさんに渡し、新たに購入した武器を手にする。
ん?おや?なんとなく良い意味で違和感がある。
「まいどあり!二人とも頑張りなよ!」
オジさんに見送られて店を出る。
「良いのか?有紀。あんなに買っちゃって。」
「良いんだよ、価格以上の買い物だよ!」
まだご機嫌だ。もしかして・・・
「そう!ボクの目でちょうど今購入したものが他のものに比べて確実に1~2ランクグレードが高かったんだよ。この質な本来もっとお金かかるようなものなのにね。飛びついちゃったよ、ボク。」
「確かに、前の武器よりもバランス良く感じたんだよなあ。」
「そうだろうね、魔力の流れも均等だから、一流品でなくても十分に使える武器だってボク思ったんだよ。」
これなら3層も余裕だよ、と喜ぶ有紀。
でも、金がきつい。正直残り1泊したらもう金がなくなるからね。
「よし、有紀、ギルド行こう。」
3層には冒険者ギルドの出張所がある。
3層を中心とした依頼がここに掲示されている。
もちろん1層にもあるが、依頼数は3層の出張所のほうが断然多い。
狩猟や採集系の依頼以外にも、商人の荷物もちや護衛の依頼もある。
ここで生活していて分かったことだが・・・猪肉は食料原の一つなので依頼を受ける人は常に居るにも関わらず、キツネの皮のように依頼料が変動することもないようだ。
「お、そういや、キツネの皮の依頼あったぞ。安いな。」
「まあ仕方ないって。でも今皮を持ってても意味がないし、依頼受けてさっさと納品しちゃおう。」
キツネの皮の納品、2000コム。
安い・・でもコレ何に使うんだ?
「キツネの皮・・・って毛皮としてならマフラーとかコートとか、需要はあるんだよ。あとはレザー装備にも使えるかな。恐らく冒険者ギルドで支給された皮装備はこのキツネの皮を加工したんじゃないかな。」
なるほどね、レザー装備も更新したほうがいいかな?
「そうだね、依頼受けて、お金たまったら今度はレザー装備買いなおそうね。」