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ベタの町への帰還3

「それじゃ、2人とも。今度は魔女会でね。」

エミリーはギルドから出てから、別れを切り出す。まあ直ぐ会うことになるんだけども。

魔女会の実施日はなんと明後日から1週間とのことで、割と急な話だったりする。

「ごめんね。キミらがダンジョン潜ってから待ってたんだけどね。全然戻ってくる気配が無かったからこっちから向かったんだよ。遅くなっちゃったのはキミらが魔族と遊んでたからってことで!」

いや、遊んでないんだけどね。

ただ明後日からとなると、王都に行くのはその後か。

「修司君!」

思考から意識を戻すと、エミリーは俺の横に立ってた。いつのまに・・・。

「いいんだよ?私と一緒に先に会場いく?始まるまで飽きさせないよー。」

左腕を抱きしめてくる。当たってるって!!感触がやばいって!半端ないって!

それと、エミリーは有紀より背が高いと言っても、俺よりは低いわけで・・・丁度見下ろす位置に谷間があるのもやばいけど、視覚的にも胸の谷間に俺の腕が挟まっているというのが破壊力高い。さすがオフショ。

「ええっと、ええー・・・」

俺は思考がストップして変な返事しかできてなかった。

が、ちらっと気配を感じて右を見ると、有紀がめっちゃふて腐れた顔してる。

というか涙目になってる。

おやおや?有紀ちゃんどうしたのかな??

「ひ、人前でさ!そ、そういうの止めようよ!!」

有紀がエミリーに怒るが、エミリーはむしろ見せ付けるようにして俺の頬にキスするぐらいの距離まで近づく。

「エミリー・・・ダメだよ・・・」

おっと、ついに有紀から涙が流れて来てしまった。何か悪い気持ちになって俺も照れが冷めていく。

エミリーも流石に離れる。彼女も本気じゃなかったんだな、て思うと俺もショックで泣きそうなんですけど!?

「有紀・・・嫉妬しちゃったのかな?」

「分からない・・・嫉妬なのか・・・。でも無性にイライラしてしまったんだ・・・。エミリーごめん、別にキミが修司をどうこうしてもいいはずなのに。」

嫉妬・・・っていうと俺も有紀もそういう感情は全然もったことが無くて、正直俺も嫉妬っていうのがどういうのかサッパリ分からない。だけど、これが嫉妬なのかもな。

「ごめんね、有紀。さっきのは冗談だから。」

今度はエミリーはお姉さんモードで有紀を抱きしめ、頭を撫でる。

「ほう・・・これは尊い・・・。」

あ、つい声が出てしまった。

ジロリと2人から睨まれ、俺は顔を逸らす。


エミリーと別れた後、俺達は若干気まずかったが・・・、有紀から話を切り出す。

「ごめん、修司。彼女が絡むとボクは結構感情を引っ掻き回されてしまって・・・。」

「いや、いいんじゃないの?エミリーもそういう有紀が見れて良かったんだろうし。」

そう、転生する前の有紀は怒ったり悲しむといった感情の表現が無かったようだし、人との関わりを持てずに居たようだし・・・。そんな有紀が今は怒ることも悲しむことも、俺との会話を毎日当たり前のように続けることもかな?エミリーには新鮮に映ったに違いない。

「それよりさ、宿はどうする?金はめちゃくちゃあるけど・・・。」

「うーん、高級なところは人も常に居るイメージで落ち着かないんだよね。」

「となると・・・。」

俺達は以前止まった町のはずれにある宿で一泊することにした。



<神城有紀の視点>

「でも、転生を男にしたのは失敗だったなって私は後悔してるんだよね。」

「へ?何で?」

ダンジョン3層・・・。修司が寝た後にボクと次元の魔女のエミリーは話し込んでいた。

「最初はね。キミを女の子に転生させたらきっと、ナンパされたりとかで良い思い出にならないんじゃないかって思って平凡だけど『自分らしく生を全うできる』男の子に、って転生させたんだけどさ。」

「うん、それでいいじゃない。どうして後悔を?」

「いやあ、キミと修司君を見てればさ。もし女の子に転生してたら2人はお似合いのカップルだよ?」

「ええ!?」

いや、ボクも他の人に絡まれたくないから修司と居ることでカップルの振り出来ていいなって思いはあったんだけどね。

実際ココアさんのクランの男性陣の目線・・・修司は気づかなかったけど、ボクがもし一人だったら恐らくボクは彼らのうちの何人かにめちゃくちゃ絡まれてたと思う。「ぶっちゃけ乗り換えようかな」て目で見られてたし。

けども、本物のカップルは考えてなかったな・・・。

「無理でしょう、女の子に生まれてたら、たぶんボクは修司と出会えたか分からないし、出会えても長い付き合いが出来てたかわからないよ?」

「そう?運命ってのはあるかもしれないのに。」

「ふふ・・・エミリー、そんなこと言ったら、ボクと修司は異世界で同性として出会い仲良くなる運命だったんじゃないかな?」

「うーん、まあそうかもね。」

エミリーは「確かに」という感じで考え・・・、それから背伸びして布団に寝転がる。

「けどね、有紀。たぶんこれからの2人は男女だからね。()()()()()()になってもおかしくないと私は思うよ。」

「それも難しい話だよ。ボクも修司も向こうでは恋愛経験ないからさ、恋人の『好き』って感情、知らない紋。」

「有紀、それは・・・そのうち自分で気づくものだよ。」

そういうものなのかな?

でも、ボクが仮に修司の事を「恋人として好き」って思っても、修司がそういう感情じゃなかったら「すれ違う」し友達として失望させてしまうんじゃないかな?

なら感情を勝手に決め付けてしまうよりも、今のままのほうが余程良い距離感な気がするんだけども。

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