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vs『腐朽の妖樹』

さて、腐敗の妖樹との戦闘だ。

腐敗って形容詞が付くけど、実際に腐敗してるわけではないようだ。葉は茶色し、幹や枝も枯れてるような見た目だけど「見た目に反してトレントよりも硬い」とラウノさんが言ってたな。

フロアに足を踏み入れた瞬間に、早速妖樹が動き出す。いや移動はしないんだけどね。

ズボっと地面から根が飛び出してくる。

「まじか!!」

足首を掴まれそうになるところで根にフレイムをぶつける。

炎が根を焼くが…。

「む、予想通りか。」

そんなに延焼はせず、フレイムによる炎が落ち着くとそのまま根のほうの火も消えてしまった。

ただそれでも火が弱点なのは確定かな。フレイムの範囲よりも広い範囲で焼けてるし。

が、こいつに火傷のダメージは期待できない。体力もさながら根も枝もまだまだあるわけで、燃えたのは本当に極一部でしかないし。

「あれの弱点は幹の中にある核だ。そこを壊せば倒せるが、そのためにはあの太くて硬い幹を削らないといけない。太くて硬い、な。」

ラウノさんの解説を思い出す。確かにアレは太くて硬いな。それが下ネタの雰囲気だったからヴィヴィさんが嫌な顔してたっけ。


根の攻撃は連続と言うわけじゃないようだ。と言うよりも動かせる範囲に制限があるんだろう。

フロア入り口に立ってる俺を攻撃できるのは先ほどの根しかなかったようで、その根も今は焼かれたことで怯んでるかのように地面に潜っている。

(フレイム!)

俺は幹にフレイム発動するようにしたはずだったが、枝に当たってしまった。

フロアの入り口から幹まで50メートル。俺が問題なく当てられる距離は30メートル…やはりこの距離だと命中が難しい。

枝に当たったフレイムはその枝を焼くが、やはり大きく燃え広がることは無かった。

あの燃え方だと近距離でも大きく燃えるということはなさそうだ。

ブラストは論外…ロックならどうだろう?

50メートルとなるとかする程度しか無理だろうけど、やってみる。

(ロック!)

頭で構築し、発動させる。地面指定のこの魔術は指定した地面から敵に向かって岩を隆起させる。俺が命中させられる射程は30メートルに岩が隆起する分が2メートル。

今回は命中度外視の射程で行う。

指定地点から岩が盛り上がるが…。

「あれ?」

ズン!と飛び出るはずの岩に勢いはなく、1メートルも隆起しなかった。

これは初のケースだ。今まで射程が長くても威力は同じだったが、明らかに威力も弱い。幹に当たったがビクともしなかった。当たり前だけど。

「恐らく、根を張ってるから岩を作り出すような威力が望めなかったのかな。」

確証はないけど、結果としてはロックの高威力は全然期待できなかったわけで、頼れる魔術はフレイムのみとなる。

と、根が復活したのか攻撃を仕掛けてくる。

さっきは捕縛のための動きだったが今回は叩き潰すように根を持ち上げ…振り下ろしてきた。

予備動作が長かったのもあり俺が避けるには造作も無かったのだが、振り下ろした地面から土埃が舞い、俺の視界を奪う。

「うわ、やばい!」

ここに居ると二発目が来てもおかしくないと判断し、意を決して前進する。

残り20メートルのところで別の根が襲ってくる。なるほど、根は近づくほど増えてくるわけだ。

下から襲ってくる根をトップスピードのままジャンプし、かわす…と、更にもう一つの根が襲い掛かってくる。先端が焼けてるので最初に襲ってきた根か。

ジャンプしている俺を狙うような横から襲ってくる。このままなら当たるが…

(アヴォイド)

この魔法は発動するので別に地面に足をつけている必要はない。自動回避の魔法だからね。

空中に居る俺を狙った根をスっと前進してかわす。

これは大ウサギが空中で更にかわしているのを見て俺の中で閃いた使い方だ。

勿論実戦してる人は居るんだろうけど、有紀はそもそも回避しない子だからこのアヴォイドに関してはあんまり使い方が詳しくないんだよな。その結果、ハードスキンに続きまたしても独学で使い方を自分で覚えるハメになったんだけどね。

着地してまたダッシュする。残り10メートルまで近づいてきた。

ここまでくれば!

俺はショートソードに力をこめ、ジャンプする。

俺が使える唯一のアーツ「パワースラッシュ」を幹に叩き込む。

が…ガッという音を立てて刃がめり込むも2センチぐらいしか切れない。

まあ予想通りなんだけどね。

「フレイム!」

刃を指定してフレイムを発動させると、刃が食い込んだ幹から炎が発生する。

「オオォォォ」と妖樹が低い悲鳴をあげた(ような気がする)。

そして枝をざわめかせ葉を複数落とすと、落ちてきた葉が風も無いのに舞い始める。

「っつ!」

痛みを感じて腕を見るとその茶色の葉により俺の腕が切れていた。ハードスキンを維持していたにも関わらずだ。

バックラーで余計な被弾を避けつつ後退する。それでも頬と太ももに1箇所ずつ切創が出来てしまう。

ただどれも浅いので致命傷には程遠いのだけど。

幹に直接当てたフレイムは先ほどよりは燃えてから炎が消えたが、完全に鎮火しているわけではない。

煙を立てて、まだ内部はジンワリ燃えてるのが伺える。

というわけでもう一度チャレンジだ。

長期戦になるものの根の攻撃さえ避けられれば致命的ではないようだしね。

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