表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/229

ベタ東ダンジョン7層

魔族の使う技は「テクニカ」と呼ばれている。

他にも火を起こす魔法のような技もあるようだが、アーツ・魔法のように区別はしない。

そして魔術のように離れた場所を発動地点とするようなスキルは存在しない。

彼らの戦い方は自分の中の気を操るものが全てなので、自分自身の体を媒体として行使するスキルは使えるが、体から離れた場所に効果を及ぼすスキルはそもそもその概念自体がなかったようだ。


俺は長老に10層のボスを倒せるまでここに留まらせてもらいたい旨を伝え、了解を貰った。

6層までは普通に戦えるが、7層からはどうか?モンスターによって行動が違うので

「多分負けることはないと思うけど」とは有紀の感想だ。

確かに6層もそうだけど、基本的にノーダメージで倒せてたりするんだよね。

能力的には7層も行けるだろうというのが有紀の見立てだけど、同時に俺に足りてないのは戦闘経験だ。

「修司は色んなモンスターとの戦闘経験を見につけておいたほうがいいね。キミの良い所は限られたカードでそれ以上の成果を挙げる応用力にあるし、場数を踏むことで修司は更に伸びるんじゃないかな?」

有紀は俺がここに篭ると決めた時点で既に賛成してくれてたし、気兼ねなく滞在できる。


そんなわけで今俺は7層に居るわけだが…

付き添いにヤミがいる。彼は同年代の狩人(と言うらしい)の中では最も実力がある。

「瘴気の外での戦闘訓練は地表と交流持てばする機会もある。それより今はシュウジさんの実力アップに協力したほうが良いだろう。」

とラウノさんが気を利かせてくれたわけだ。

「同年代なら良い刺激になるだろうし、良いだろう。私からも長老命令としてヤミにはシュウジさんの付き添いを命ずる。」

長老も援護してくれたしね。

俺、有紀、ヤミの3人で7層で狩りをすることにした。

大ウサギを追い立てるため、ヤミは奥のほうに居る。

しばらくの沈黙…そして。

「そっちに行ったよ!シュウジ!」

ヤミの声が聞こえる。声だけだと男か女か分からない、声変わりしてないんだろうけども。

まあ着替えで男確定なんだけどね。紫の肌に程よく筋肉がついてて戦闘に必要な筋肉だけを作ってる感じだった。

俺も多分結構戦闘用の筋肉の付き方してると思うが、戦闘スタイルが違うと違うんだよね、筋肉が。

ヤミの戦闘スタイルは一撃必殺タイプだけど、力任せの一撃ではなくて体全体をしならせて振り下ろす一撃だから、筋肉モリモリである必要はない。

俺は敵の攻撃をガードする必要もあるから足腰も筋肉が付いてる感じ。

っと、大ウサギが来てるんだった。

大ウサギが来る方向へバックラーを構え待機する。

ここは細長い通路になってるから左右への回避は無理なので、大ウサギの突進だけ凌げば…。

「来たよ、修司!」

後方で有紀が言い、数秒後に大ウサギを俺の視界に捕らえる。

大ウサギも俺を視界に収め、突進…はせずに高くジャンプをする。

俺は衝撃に備え重心低くしていたとは言え、飛び越えられそうになる。

こちらも右手にあるショートソードを刺すように伸ばす。

「うっそだろ…!?」

俺のショートソードは確実に切っ先が大ウサギを引っ掛けるはずだったが、ヤツは更に空中でもう一段ジャンプをしてそれを飛び越えていった。

「って、ヤバイ!」

フロアに出られると左右の素早い動きに俺は目で追いきれない。

慣れれば対応できるが、現時点では無理だ。

だが、その前に有紀が居る。

有紀が魔力を込め(ような気がする)、大ウサギが着地したところで魔術を発動させる。

ズン!という音と共に大ウサギが地面にへばりつく。勿論ヤツが好きでやってるわけじゃないんだろうけどね。

周囲の空気ごと押しつぶしてる感じの魔術だと俺が迂闊に攻撃しに行くと巻き添え食らうな…と躊躇ったが「攻撃できるよっ」と有紀が言うままに俺は潰れてもがいている大ウサギにパワースラッシュを見舞う。

ズバン!と首を刎ねて、大ウサギは消滅した。

ただ一発目は首筋を狙ったのに体をよじられてしまい、外してしまったため、二発目で倒したことになる。

「ふう…やばいな。」

空中でもう一回ジャンプできる点とフロアのような広めのところでは左右の動きが激しくて俺の目で追いきれない点。

この2点が7層のモンスター狩りに対して俺が乗り越えるべき課題かな。

前者はまあ、着地を狙ってバインドを使うなりまだその後の対応策はあるが…、後者は完全に俺が目を慣らさないと厳しいな。

「シュウジ、やったか?」

ヤミが奥から現れる。

「ああ、でもこれは俺一人じゃなくて有紀にもやってもらったんだ。…まだまだ対応出来てないからもっと狩らないといけないな。」

俺はショックは受けてない。ラウノさんと大ウサギの戦いを見て「早すぎて分からなかった」と認識できていたしね。

ただ、一発で落せる首を体よじらせてかわされたのはなあ…。

ヤミやラウノさんのテクニカは一撃必殺となるだけの火力があるが、俺の攻撃にはそれだけの火力がない分、狙う場所を絞らなきゃいけない。

「狙いもまだ甘いか。」

この点だけは反省しなきゃいけない。決めるべきときに1回で決められなかったし。


その後も大ウサギ狩りをして、1日目が終わる頃には大ウサギの着地にあわせてバインドからのパワースラッシュのコンボを打ち込めるようになっていた。

ただ、まだパワースラッシュ一発で倒せないパターンもあったが、そのときは有紀がバインドの使いなおしをしてくれて俺は急所を的確に打ち込みなおしたけど。

「集落での肉はそのくらいかな。今日はここまでにしておこう。」

とヤミが終了を宣言し、俺達は8層へ帰還した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ