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ベタ東ダンジョン6層2

6層の大フロアには多数の鍾乳洞や石筍が生えている。

ゴーレムたちはそれらを避けて移動する。

当たっても大したことは無いんだろうけど、奴らの中では壁と同じような認識なんだろうか。


ロックゴーレム…正式にはそう呼ばれるこのゴーレムとの戦闘。

動きだけならウルフのほうが早く、スライムよりは早いかな?という感じ。

しかし3メートルの巨体のお陰でゆっくり動いているが歩幅が大きいし、手を伸ばしてきたときもそのリーチの長さから決して油断は出来ない。捕まれば終わりだな。

まだゴーレムとの距離が十分あるときに習得したばかりの魔術「ロック」を使用する。

この魔術は指定した地面から岩を隆起させ敵にぶつけるスキルだ。使ってみて分かったけど、俺の魔力でも十分に大ダメージを与えることが出来る。

これをゴーレムの胸部に当てるとゴオオン!と言う重い音と共に核を覆っていた岩が壊れ、核が見える。

ゴーレムには予想していた通り痛覚はないようで被弾しても呻いだり、転げまわる、というのはないようだ。

目に当たる部分にブラインドを使って視覚を奪い、接近。そのままパワースラッシュで核を切る。

核はかなりサクっと割れ、ゴーレムはその場に崩れ落ちた。

「捕まらないようにアヴォイドもかけておいたし、常に1対1にもっていければウルフよりも楽だな。」

「それでもパーティーだとその防御力の高さからなかなか倒せないんだ。倒す時間が増えれば増える程ミスってダメージを受ける人が増えたりするし、ゴーレムは油断ならないんだよ、()()()()。」

俺がこれだけサクっと倒せてる理由は、なんでだろうね?

「修司のステータスだけならランク2上位からランク3ぐらいあるからね、今。」

マジで?そんなに上がってるのか。

他人と比較したことがないから分からないけど、これがほぼ一人で戦闘してきた結果なのね。

「一人だとどうしてもどこかで行き詰ることはあるけど、そのときにはボクが居るから安心してね。」

今は戦闘は基本俺一人でやって有紀は保護者のような位置だけど、俺がもっと成長した後は対等に「冒険者」として動くようになるだろう。

一人じゃないから俺は思い切って行動できる。


しかしこのロックという魔術。

威力は大きいが、デメリットも存在している。

ブラストやフレイムに比べて魔術の発動地点は「地面指定」であることが一つ。要するに空中では発動しない。

もう一つは大味で細かい狙いは定めにくい点。核を狙うっていうのはムリだった。これが出来たらロック2回で近づかないで倒すことも出来たんだけどな。

ただ攻撃の魔術はこれで3つ。

①ブラストは威力はそこそこだけどノックバックさせることが出来る。

②フレイムは威力はブラストと同じ程度だが火傷によるダメージも負わせられる。

③ロックは威力が大きい。ブラスト・フレイムと違い空中発動は不可。

この3つをモンスターやシチュエーションにより使い分けて行けば戦闘は大分優位に持っていくことが出来そうだ。

ちなみに、有紀がロックを使うと…ゴーレム一匹分の隆起が起きて核ごと破壊する。

「でも地形への影響も大きいからダメだね、これは。」

と、有紀。パワーセーブしてこれだから確かにダメだな。

隆起した岩は時間経過で消滅するものの、一発がでか過ぎて鍾乳石や石筍まで破壊してしまう。

有紀の持つサーベル「龍牙穿空」で放つ斬撃はゴーレムをスパン!と胴を真っ二つにするだけの威力を持っている。まあこの子は一撃で倒せるってのは分かった。

ただ有紀としては俺が倒すことを第一に考えているから複数を相手にするときぐらいかな?彼女が手を貸すとしたら。


馬鹿でかいフロアにゴーレムがわんさか居るわけでもなく、壁伝いに歩くと5分に1匹の割合で発見する程度だ。勿論有紀のレーダー圏内なので基本的に先手が取れるとうのはでかい。

たまに2匹居ることもあるが、ゴーレムは機敏に動くわけじゃないのでヒットアンドアウェイの戦い方が十分に使える。

ロックゴーレムの岩は5匹に1個の割合で落とすようだ。500グラムぐらいかな?一つ持つだけなら然程重たいとは思わないが、3個…4個…と溜まるうちに徐々に重さを感じてくる。

「うん、有紀やっぱり収納しちゃって。」

「ダヨネー。」

有紀の収納があって助かった。

今俺たちは昼休みを取ってる。朝のうちに作っておいたスープを有紀が魔術で温めなおしてくれたので、それを一口飲み喉を軽く潤す。

更に有紀がパンを一切れ渡してきたので、それを千切ってスープに浸して食べる。そのまま食べたら口の中がパサパサになってしまうからね。

「そういや、こういう重量あるアイテムなんかは、収納のないパーティーはどうするの?」

俺は疑問を口にする。仮に100個集めたりしたら50kg…結構な重さだし。

「荷物持ちを雇うのが一番多いかな。それでも持ち運び切れないこともあるんだけどね。」

荷物持ち専門を雇うことで冒険者の持ち運ぶアイテムが減って身軽に行動できるらしい。

あとはドロップアイテムの稼ぎを中心にダンジョンに潜る場合は、荷物持ちが所持量に限界来たら数人が護衛についてダンジョンの中間地点(クランが運営してる場合)や地表に戻ってアイテムの売却や保管を行ってから再度潜り、留守番している人たちと合流する。

「それってさ、持ち逃げされたりしないの?」

「勿論そういう危険があるから、冒険者が被害に合った場合は冒険者クランと商人クランが合同でその荷物持ちを探し出してケジメをつけさせるらしいよ。もう二度と荷物持ちで稼げなくなるぐらいには酷いことになるんだとか。」

商人ギルド、冒険者ギルド…この二つは怒らせないようにしないと、俺もひねり潰されちゃうな。

「いやいや、悪いことしなきゃ大丈夫だよ。」

有紀がクスクスと笑う。

俺達はノンビリ昼休憩を取って、腹のほうも程よく消化してから午後の狩りを開始することにした。

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