ベタ東ダンジョン5層2
マッピングしながら、見つけ次第スライムを倒す。スライムスレイヤーになれそうだわ。
サクサクと倒しつつ、マップを埋めていく。
恐らく3層から先はかなり昔のマップメモぐらいしかなかったけど、ココアさん達はこの階層の依頼は受けてなかったのかな。
「受けてる、とは思うけどね。基本的にギルドに出された依頼こなしてないとギルド的にもこのダンジョンの占拠を許さないでしょ?初心者向けのダンジョンなのに1・2層封鎖してるようなもんだし。」
恐らく彼らは自分達用に別にマッピングしてあるのかもしれないな。
冒険者ギルドがクランによる運営を認めるのは、他の冒険者への貢献やダンジョンを所有する市町村による評価を考慮に入れられてるらしい。
始めはそういった評価が得られないので、村とクランの間での契約となるが、その後の更新には評価を元にギルドが継続可能かどうか判断するんだとか。
例えばラッキーリップスは冒険者支援を特に力入れていて、ボスモンスターの被害を抑えるための措置も講じている他、3層の施設運営のための治安維持活動も行っているため村からの評価も非常に高い。
こういった優等生クランは無条件で継続が可能なので、アルカ村としても新しいクランとの契約を考えずに済むしWin-Winだ。
逆にココア冒険者同盟はというと、冒険者への貢献は非常に悪い。ギルドからしたら「お前らのせいでこのダンジョンの活気がないんだよ!」と言いたいところだろう。
それでもココアさん達がここの管理を出来ている理由は・・・
まず、売春で東部のお偉いさんたちを丸め込んでるのが一つ。そうすれば別のクランとの契約がそもそも発生しない。別のクランに鞍替えしようとすれば自分達の買春が明るみになる。
もちろん合法だから俺たちの世界より騒がれるとは思えないが「強引にやられた」という発言されたら、恐らく事実無根でもスキャンダルとして騒がれるだろう。この世界の人も人の不幸な噂話が好きなのだ。
それともう一つは最低限の依頼をこなしている、と言うこと。
1・2層は当然毎日受注しているだろうし、3・4層の依頼もたまに受けているらしいしね。この分だと5層も受注してるだろう。
6層・・・は分からないな。ロックゴーレムの岩とか収納が無い限りそれなりの人数で遠征かけないと効率悪そうだし。
ともかく、新規でクランの参入がない(東部エリアの偉い人がそもそも希望してない)上に依頼もある程度消化されてるので冒険者ギルドとしても運営を認めざるを得ない、というところかな。
「あと、たちが悪い、というのかな・・・。ココアさんのクランは個人個人が強いから、正面切って喧嘩を売れるクランがないんだよ。そんなことできるクランがあっても、彼らは中級ダンジョンの運営に噛んだほうがお金的にも人員補充も含めて有益だしね。」
と、スライムを倒してたら、魔石に混じってゼリーが落ちてた。
多分これが「スライムゼリー」かな?
触ってみると、モンスターの時よりも硬さがない。ぷるんっとしてる。握ると潰れるけど弾けたりはしない。何か面白いな。
つい揉んでしまう。俺の世界でもこんな感じのがあったよな。揉んでストレス発散できるような玩具。
でも・・・あれ?この感触・・・
「有紀、ちょっと。」
「ん?」
「これ揉んでみ。」
有紀にスライムゼリーを渡す。
有紀も揉んでみる。「こんな玩具あったよねぇ」なんて俺と同じ感想言いながら。
「あれ?でもこれ・・・この世界でも同じ感触のものがあったような。」
そうだ、気づいたか!!
有紀が手を自分の胸に当て、揉み始める。が、エロくねえ・・・!もっとこう喘いだりとかさ!AVは演技してるんだっけか?AV女優の人は凄いよな、エロく見せるために努力してるんだから。
この子はこう、無感情に手で揉んでみてるってだけで、なんだろう?見てる俺が興奮しない。
いや、嘘です。じっと見てると服の上から大きめな胸が動いてるのが分かるっていうのは感動です。ありがとう有紀。
「・・・なるほど・・・、つまり修司はこれを揉んで変なことを想像してたわけだね。」
ジト目で見つめられて、俺も焦る。
「いやいや、これはほら、今後のためにな。」
「今後ってなに?うわー修司、変態だ!」
止めてくれええ。
俺は溜まらず自分の頭を掻く。居たたまれなくなってしまったときに出る癖なんだけどね。
でも、掻き始めたところで有紀が俺の手を握り、止める。
「ふふ、冗談だよ。いや、冗談じゃないけど。ボクも揉んで同じこと考えたし、お互い様だよ。」
ニッコリしながら言う。
最近の有紀は前よりも肌の触れあいを嫌がらないというか避けなくなってきてると思うけど、気のせいかな?
ともあれ可愛い子にこんなことされたらさ、俺も照れてしまう。照れるよね?
慌ててごまかすことにした。
「でもこのゼリー、何に使うと思う?」
有紀が手に持つゼリーを揉みながら考える。
「うーん、おっぱい以外に考えられるとしたら・・・。」
普通におっぱい言ったな、と思うけど言わない。ここで話を戻さないが紳士なのだ。
「あ、そうか、有紀。依頼人は?」
「ええっと、家具・・・家具屋かな?」
家具でゼリーか。本当なんだろうな。
「あ!!わかった!」
有紀が唐突に声を上げ、収納で仕舞っていた枕を取り出す。
「これだよ、修司。」
俺は渡された枕を揉んでみる。揉み揉み・・・。
「ああ、これだ、これだったのか。」
完全に同じ揉み心地ではないけど非常に近い!これだ!
「そっかー、正直枕作ったときの材料とか忘れてたけど、スライムゼリーかー。」
有紀も俺もモヤモヤが晴れてスッキリした顔になってる。
しかし、有紀自作の枕が商品化してたんだなー。
「いや、ボクは確かに自作したけど、レシピ自体は冒険者には広まってたし、自作してた人は他にも居るんだよ。」
と言うことは、冒険者で広まった枕が商品化されたって感じなのかな。戦場のアイディアが民間向け商品化するっていうのは割とある話だけど、まさか枕もこんな感じで商品化するとは・・・。
「ボクもびっくりだよ。」
有紀も関心してる。いや、俺も関心してるけどね。