表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/229

ベタの町での休息4

ココアさんと別れたときには丁度良い時間だったので防具屋へ向かう。

「お帰りなさい、出来てますよ。」

防具屋のお姉さんに装備を手渡される。

大半が俺の着ていたレザージャケットで、一部だけ皮が厚くなっている。着てみるとやっぱり馴染んでいて動きやすい。

「胸部の強化ですが、面積を従来より少し減らしました。その代わり首周りを強化してありますから、より致命的な一撃を避けられるはずです。」

胸部の心臓の付近は確かに少し厚めだし、(うなじ)の部分も厚めだ。これなら例えばウルフからの一撃を食らっても首に牙が食い込まない。まあ有紀がダンジョンで、というか対モンスターで無警戒になることはないので、基本的に背後からの奇襲は受けないと思うけどね。

「ありがとうございます」と2万コム支払い、店を出る。

「本当は全体的に新しいものが良かったんだけどね。」

有紀は少し残念そう。思ったよりお金なかったしな。

「いや、これは俺が着慣れた装備だから動きやすいよ。新品だとどうしても馴染むまでツッパリ感とかあるって考えたら馴染む時間が不要なのは大きいと思うんだ。」

「・・・なるほどね。確かにそうだね。」

有紀の表情も明るくなる。実際俺としては新しい武器と盾に慣れるまでは防具に足を引っ張られたくなかったし、今回の強化は正解だと思うわ。


ダンジョンから戻った翌日に普通に一日外にいると疲れる、というのが今日の結論だ。

有紀はわからないが、俺は結構疲れたのか、ベッドにドサっと倒れこんでしまった。

「修司、お疲れかな?」

有紀に声をかけられる。

「ああ、割と疲れちゃったみたいだ。」

あれからまたダンジョンへ潜るための食材を買い足しておいた。

残りの所持金的にも明日も休みって訳にも行かないんだよなあ。

「ボク、ココアさんの紹介受けるって手もあったかもしれないね。」

「いや!それはない!」

有紀、それはダメだろ!俺がモヤモヤするじゃん!

「修司?」

あ、勢い良く起き上がり、声を上げてしまう。有紀も少し驚いてる。

「それを見逃せるほど、俺は出来てないんだよ。なんていうか、親友が売春してましたって、なんかね。」

「でも、この世界では普通だよ?冒険者が食べられないときは体を売る。それは男だって貴族の奥様に体を売ることだってあるんだし・・・。」

「それでも、嫌だな。俺は。」

ちょっと最後のほうは声小さくなってしまった。金の問題っていうのは要するに俺の為に起きてる話だから、何か申し訳なくなってくる。

「うん、ごめん。変なこと言っちゃったね。」

俺の頬を撫でてくれる有紀。あれ?俺なんかそんなにしょんぼりした顔してる?慰められてる気がするんだけど。

「い、いや。それよりごめんな。俺の実力や装備が足りてないから少しずつ進む形をとらせてしまって。」

「大丈夫だよ。ボクがやりたくてやってることだからね。それに、元々修司は・・・ボクの側に居なければ召喚された日はクラスメイトと一緒に居られたんだけどね。ボクに引っ張られる形で皆と離れてしまったわけだから、せめて皆と合流するまでに強くなるのを手伝わせて欲しい。」

有紀、良い子だ。

「ありがとう。俺、クラスメイトと一緒に召喚されるよりも、お前と一緒の場所に飛ばされて良かったと思うぞ。」

「修司・・・。」

つい有紀の頭を撫でる。俺は2段ベッドの上だから、必然的に有紀の頭が目の前にある形になる。

ここに頭があったら、手出すでしょ?出さない?

「それに、俺一人じゃクラスに馴染めないしね。」

慌てて手を引っ込めてごまかす。いや、半分本音だけどね。

クラスで別に孤立するってことは無い。損も得も無いような位置に俺達は居たからね。だから他のやつらと一緒に召喚されたからって俺がハブられることはないけど、俺自身が何となく居心地悪く感じてしまうんだよね。

皆でワイワイしてるのを見ると、俺は皆と同じような笑顔で接することができるのか?作り笑いになってないか?って考えてしまうと、踏み込みたい気持ちが沸かない。

その点有紀は俺が生まれたときから一緒だから変に仮面をかぶって付き合う、なんてことはしない。有紀が魔女になって(戻って)、性別変わってるからエロネタは流石にぶっこまないけどね。

「さて、明日はギルドで依頼受けてそのまま潜ろうぜ。」

俺は布団に横になる。明日からまたダンジョン行って、強くなって金も稼がないとな。


翌日、俺達はダンジョンへ潜るためにギルドへ依頼を受けに行く。

 6層ロックゴーレムから取れる岩の採集

 個数制限なし、1個につき7000コム

って依頼があるので、とりあえず受ける。うーん、安くない?重量効率考えると4層の水汲みのほうが良いような。

「西ダンジョンでも取れるから、これ以上高くすると西から持ってきたほうが安くなるのかもしれないね。」

有紀の推測だが、それもそうか。むしろ4層の湧き水のほうが希少性がある分、高めの依頼なのかな。

てわけで、どうせ通り道なので、4層の依頼も受けておく。

5層の依頼は魔石集めがメインだけど、1個だけ変な依頼があった。

「スライムゼリー?」

「スライム系に共通して魔石以外にたまに落とすアイテムだけど・・・。何に使うんだろう?」

サッパリ分からん。

とりあえず、こちらも個数制限なしで1個2000コムだけど受けとくか。1匹倒せれば依頼満たせるわけだし。

「じゃ、有紀、行こう。」

「うん。今回も無事に帰ろうね。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ