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ベタの町での休息2

防具屋についた。

レザー装備も置いてるというか、今俺が着ているものよりも丈夫そうだ。

「2種類のモンスターの皮を合わせて作ってるので、斬・突両方の攻撃に対して防御を発揮しますよ。」

30代ぐらいのお姉さんが教えてくれる。この防具屋は皮・裁縫を中心に扱っていて、彼女が作成をしているようだ。

鎧も置いてあったが、これをつくったのは先ほどの武器屋のおっちゃんだったようだ。

「こっちも質は均一だね。武器も防具もそうだけどここは職人一人で作ってるから差が出ないんだね。」

有紀が教えてくれる。

なるほどねー・・・。でも少し高いな。3万コムというのは俺達の財布にはちょっと辛い。

「けど、質は良いよ。ウルフを基準に考えても今の防具より牙通さないし。」

残り4万コム、次に潜る分の食料を用意するとしてここで買い物をすると宿泊費用差っぴいて・・・かなり残金不安だな。

「ボクの今着ている服、それなりにするから売り払えば・・・。」

いやいや、今そんなことしたら帰りの服ないじゃん。というか、俺としては有紀がお洒落するのは嫌じゃないというかもっと見てみたい。

うーん・・・店内をもうちょっと見てみよう・・・。

一人で作ってるからというのもあるんだろうけど、数は少なめだ。

「あ・・・。そうか。」

有紀が何かに気づき、お姉さんに相談しに行く。たった数秒の話で解決したらしい。有紀が俺を呼ぶ。

「ん?どうしたの?」

「いやね、修司。ここ、修繕も請け負ってくれるんだよ。」

「そうです。村から出た冒険者さんはお金もないですから、今の装備を修繕したり一部だけ強化することも出来ますよ。」

一部強化・・・レザーの一部を別のレザーで張りなおして丈夫にするらしく、手間賃とレザーの材料ぐらいで良い。

「胸部だけ強化するなら2万コムです。この部分だけでも強化しておけば急所へのダメージは防げますし、お勧めですよ。」

なるほど、3万コムの製品を買うよりも安い分、そういう選択をする冒険者が多いんだな。

2万コムなら次のダンジョンアタック準備もできるし良さそうだ。


お姉さんに俺のレザージャケットを渡して、店を出る。夕方には出来上がるとか、早いな。

そういえばベタの町は初日しか歩いてなかったな、直ぐにダンジョン行っちゃったし。

俺はもちろん初めての町だから珍しいんだけど、有紀もキョロキョロしてる。

「ボクはこの町にあんまり滞在してなかったんだよ。用事がなくて、移動のときにここで一泊する、ぐらいだったからさ。」

それに百年以上経ってれば景色もちょっと違うのかもな。

ベタの東部は2階建ての建物はチラホラ見かけるが基本的に1階建ての小ぢんまりした建物が多い。

ただ、木造でも外観はちゃんとしてる。俺達の世界のプレハブ小屋よりはずっと良い。

アルカ村のときも空気が美味しいと思ったが、村より発展しているベタの町でも空気が美味い。

木材は建築だけじゃなくて焚き火でも使用しているわけで、消費量は結構多いはずだが近辺の森林はその姿を維持し続けている。

木が増えるほうが切るよりも早いとか?と自分なりに考えてみたけど「そんなことはないよ」と有紀。

「木は魔力とは関係なく成長するし、種子で繁殖する。それらの成長は修司の世界と同じだと思うよ。」

まあ、俺も有紀も木の成長速度とかはわからんのだけど、だいたい同じくらいなんじゃない?って感じだ。

アルカ村にあった木の大きさから有紀は推測してるのかもしれない。

「ただ、修司の世界より大量生産と大量消費の社会じゃないんだ。だから資源の消費は少ないと思うし、だから消費と再生の釣り合いが取れてるんじゃないかな。」

なるほど、俺達の世界はそういえば大量消費社会だった。不要なものはどんどん捨ててたし。

質素というわけでもないんだけどね、調度品とかも発展してるわけだし。

「丁度良いや、あそこの喫茶店行こうよ。」

有紀に手を引かれて喫茶店へ入る。

「デートみたいだね。」

つい口に出してしまった。

「はは、そう見えるかもね。」

有紀もちょっと笑いながら言う。

「ナンパする人も居ないようなエリアだし、カップルの振りじゃなくてもいいんだけどね。」

と言いつつもそのまま二人で喫茶店へ。嫌がらなくなったな。


町の東部は「これだ!」というのがない。というかダンジョンに来る冒険者が居ないせいなんだけども。

ただ商売は成立するようで、先ほどの武器屋もそうだけど喫茶店も普通に営業している。

夜はバーとして使うみたいだけどね。

俺達はここでコーヒーを飲む。

ぶっちゃけ苦いのでシロップとミルクをたっぷり入れる。有紀はブラック飲めるのかな?と思ったら彼女も同じことしてた。良かった、アイツも子供の舌だな。

「さっきの武器屋で使用されてた素材はロックゴーレムのドロップの岩だね。」

「そう言ってたな、依頼受けるの?」

「うん、実はロックゴーレムが6層に居るらしい。ボクの収納を利用して大量に集めておこうかと思うんだ。」

「重そうだもんな。」

いや、実際重いんだろうけどね。

しかし、そうなると・・・。

「5層はどうするんだ?」

「5層はスライムが居るみたいだけど、正直スケルトンと同じく魔石ぐらいしか旨味がないんだよね。一応、スライム独自のアイテムも落とすけど。」

スライム!服溶かすとかやりそうだな。

「ああ、服溶かさないよ?」

思ったことに返事された気分だぜ・・・。

てか、スライムは物理攻撃効かない気がするんだけど。

「いや、修司ならできるかな。ダッシュして全力で切りつければ弱点の核に届くだけの威力出せるんじゃないかな。」

とりあえず5層はマッピングしつつスライムチャレンジしてみるか。

「それとさ、クラスメイトなんだけど、全然噂でないな。」

「・・・それはね、修司。ボクら全然情報収集してないからだよ。」

そりゃそうだった。うーん、情報収集か。

こんなときどこに行けば良いのか実は分からない。こういう喫茶店にも情報は集まるだろうが、やはり酒が入った夜のほうが情報は良く出回る。アルコールが人を饒舌にするからね。

ただ、その夜の場でも俺達はちょっと他人に話しかけるのが苦手だったりするわけだ。

じゃあ別の場所は?って言うと残念ながら思い浮かばない。有紀もずっとソロだったせいで情報には疎い。

「どうしたもんか。」

って思いながら入り口を見たら・・・丁度ココアさん達が入店してるところだった。

丁度良い、彼女らに聞いてみよう。

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