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ベタの町での休息

狭い部屋で男女二人・・・間違いが起こらないはずもなく・・・。

まあ、何も無かったんだけどね。

何も無い、というのは俺にとっては確かにがっかりではあるけども、有紀にとっては良かったことなんだろうなって思う。何もしてこないって分かってれば安心して眠れるだろうし。

「おはよう、修司。」

俺が伸びをしたときにベッドがごそごそしてたんだろう。有紀がまだ布団にいる俺に声をかける。

まだ少し重い目を開けると有紀は既に私服、今日は休みモードだからかな?例のドイツ民族衣装のような格好してた。

「おはよう有紀。やっぱそれいいね!」

いいねといいつつ目線は胸元に行く。寝ぼけ気味だった頭が覚醒していく。

と同時に股間もうずく。男特有のヤツだ、察して欲しい。

「ありがとう。そろそろ朝ご飯だよ。1階のラウンジで食べるみたいだ。行こう?」

俺の今の状態を知らない有紀は普段のノリで俺を起こそうと布団に手をかける。

まずい!!

(ブラインド!)

うっかり魔術を使おうとしたけど、妨害を受けて不発に終わる。

「え・・・?いきなり魔術使うとかどうしたの!?まだ寝ぼけちゃってる?」

「すまん、寝ぼけてたみたいだ。直ぐに行くから先に下に降りててくれ。」

「わかった。でも修司、魔術はむやみに人に撃ったらダメだよ?」

すみません・・・股間がね、見られたら恥ずかしいって一心だったんだ。

俺は心でもう一度謝ってドアを出る有紀を見送る。室外ではストールを羽織るから多少露出隠せるみたいだけども、いやあ目覚めの一撃としては強力だった。

・・・よし!

俺は凄い勢いで儀式を行ってから1階に降りた。


で、朝飯も食ったし今日は何をするか。ダンジョンから戻ってきて1~2日はゆっくりしたいし。

「武器が欲しい。」

有紀が言い出す。

「は?」

「いや、修司の武器を新調したい。」

ああ、そういうことか。俺の武器を新しくしたいのね。

確かに俺の武器はアルカ村の3層ではグレード上のものを購入しているけど、正直なところ「軽い」と感じるようになってきていた。

これは職人の腕とは関係なしに、利用している素材の問題かな。初心者向けのダンジョンということはそこにいる冒険者に合わせた武器だしね。

相変わらず有紀は別に装備を必要としてないので、稼ぎは俺の装備のみに費やせるのがこの二人でダンジョンに潜るメリットだと思う。

「うーん、他には・・・」

と、有紀が俺をじっくり見る。いつもなら「あんまじろじろ見るなよー」て切り返すだろうけど、今は装備をどうするかが問題だ。流石に空気読まないとね。

ちなみに俺としては武器以外にもバックラーやレザーの防具も欲しいが・・・。

「他も買えれば、防具も手をつけておきたいね。」

「そうなんだよな。ていうか、こっち側って廃れてるからさ、武器扱ってる店あるのかな?」

宿の女将さんに聞いてみたら割と近くにあるようだ。

殆どの職人が冒険者の集まる西エリアに店を構える中、ココア冒険者組合の冒険者やここに着たばかりの冒険者を相手にした商売を続けている職人もいる。

寂れたエリアで商売する方針を変えないのは頑固なのかな?と思ったけど女将さんが言うには「私たちと同じで『ここを利用する人もいる』から残してるんですよ」とのこと。

確かに東部に宿も店も無かったら俺達は買出しのたびに別エリア行かなきゃ行けなかったし、それは非常に面倒くさい。

稼ぎは少なくても冒険者の為に残してくれていた、とも言うべきか。ありがたい話だ。


武器屋は宿から出て徒歩20分ほどの、丁度冒険者ギルドと宿の中間あたりにあった。というか防具を扱う店もその隣にあった。

「お、こんにちわ。武器お探しかい?」

おっちゃんが出てきた。なんか、職人っていうとガッシリしてるイメージだったけど、このおっちゃんは層でもない。

というか話し方も覇気がない淡々とした話し方だけど、この武器達は大丈夫なのか・・・?

試しに手に取るとズシっとした手ごたえを感じる。でも重過ぎるわけでもない。

俺はフェイントを織り交ぜるけど基本的にここぞの一撃をガッツリと決める戦い方なので、ショートソードでもある程度威力が出せるほうが良いわけで、この重さなら今の筋力に見合った威力が出せるかな?

「君はショートソードを扱ってるんだね。バックラーも同じく買い換えたほうが良いな。左右の重量に差が出るとバランス取りにくいだろうから。」

おっちゃんが淡々とした喋り方で言う。淡々と・・・だけど的確なアドバイス、なのかな、多分。

左右のバランスの差は慣れればその差を考慮した動きを体が覚えるが、そうなると今度は装備新調したときにその動きが逆に不自然になってしまうとか。

「それを踏まえると、セットで販売することになるから、少し安くしておくよ。」

前回同様有紀の龍眼で武器サーチしてもらったけど元々品が沢山あるわけじゃないし、ショートソード・バックラーはそれぞれ3つずつしか置いてない。

「どれも同じ魔力の流れだから、質は均一だね」とコソコソ有紀から教えてもらう。どれを購入しても同じっぽい。

結局二つあわせて4万コムちょいだったが、今まで使用していたものを買い取ってくれることになったので買取価格を差し引いて、綺麗に4万コムにしてもらった。

この武器と盾の材質はなんだろう?と思いおっちゃんに聞いてみた。

「この武器は、ロックゴーレムの岩から取れる金属を用いて作るんだ。わずかに含まれる金属を精錬によって取り出してね。」

ロックゴーレムは西ダンジョンに居るモンスターだけど、東にも居るらしい。まだ見てないし、5層以降かな?

ちなみに東西でこのロックゴーレムの違いは無いので取れる岩もそこに含まれる金属も同じだけど、東のほうは依頼がこなされないので、専ら素材の調達は西からになってしまっている。

「もし今後も東ダンジョン潜るなら、私が出している調達依頼も受けてもらえると助かる。」

調達コストを考えると東ダンジョンからの供給のほうがいいよな、確かに。


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