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ベタ東ダンジョン3層2

目標となる拠点予定位置に到着するまでにもう1匹ウルフと遭遇した。

が、有紀の中では既に攻撃パターンと対策が寝られてたので楽に倒せた。

ウルフの行動パターンは①ハウリング→②圧し掛かり→③噛み付きのコンボは出会いがしらにやってくるのではないか、というのが有紀の仮定だ。

そしてその通りだった。

ハウリング。コレはあらかじめ「使ってくる」と分かっていれば気を引き締めるだけで身の竦みに対して抵抗が出来る。また2回目以降に使ってこないのは耐性ができて効きづらいことをウルフは本能的に分かってるらしい。恐らく戦闘が長引けばまた使用してくるだろうっていうのが有紀の見立てだ。

次の圧し掛かりは俺が使ったようにウォールで弾けば次の噛み付きも防げる。有紀はそこでブラストを使って吹き飛ばしてたけど同じだね。

「うーん、確かにウルフの毛はブラストのダメージも通らないね・・・。」

ブラスト・・・爆風をぶつける魔術だけどウルフの毛皮はその爆風も吸収してしまい、ウルフへのダメージは軽微だ。有紀が本気で打ち込めば良いんだろうけどダンジョン崩れるしね。

出会い頭のコンボが防がれるとウルフは距離を置き相手の出方を伺うようだが、今回はその前に決着がついた。

ブラストで吹き飛んだウルフが姿勢を戻す前にボウッと毛に火がつき燃え始める。

ウルフはその場で「キャイン!」と鳴きつつ逃げようとするところを更にバインドで縛りつける。

「『フレイム』。炎による直接ダメージを狙った魔術だよ。今日この後修司にも教えるからね。」

毛は凄い勢いで燃え広がり、逃げることも出来ないウルフはそのまま消滅していった。

「どうやら火が弱点だったみたいだね。本当は毛を焼き払ってからサーベルで切りつければ・・・って思ったんだけどね。」

さっきまでの俺の戦闘はなんだったんだろう、と言うぐらいあっさり片付いてしまった。

多分俺の場合はフレイムを習得してもあくまでウルフの体を守るその毛を焼き払うことが目的で、ショートソードで首を狙った一撃までは必須になって来ると思うが、相手の防御の要となるその獣毛を焼き払えるだけで戦闘はぐっと有利になるな。


さて、目標地点に到着した。

2層から3層に降りてきた階段からウルフとの戦闘時間を除けば20分ほど歩くと通路の途中、T字路通路があり曲がると袋小路がある。が、その左側に小さなフロアが存在していた。

複雑すぎる経路って言うわけじゃないけど、地図が大まか過ぎてるのでココを拠点にしつつ、マッピングも行っていこうと思う。

「よし、じゃあここを拠点にするために『清風の杖』を設置するね。」

有紀が杖を取り出し、フロア中央にドン!と突き刺す。

すると杖の上部に施された紺色の宝石が水色の柔らかい光を放ち、この小さなフロアを満たす。

「え?これで終わり?大丈夫なの?」

「これで大丈夫だよ。」

有紀が言うにはこの清風の杖は結界として敵の侵入を阻むほか、「清浄な空気」と「一定の波長の光」を放出する。

「修司の世界でも『水清くして魚住まず』という諺があったでしょう?ダンジョンを満たす空気にはわずかに不純物が含まれてるんだ。ボクらには影響はないけど、モンスターにとっては重要なね。だけどその不純物の無い空気がこの空間を満たすから、結界の効果が消えても数分はこの空間はモンスターにとっては居づらい空間だね。」

まずこれが清浄な空気の話だ。モンスターは捕食のみで食事を賄っているわけではなく、空気中に含まれる不純物を取り入れることで足りないエネルギーや栄養を賄っているらしい。

それが得られないこの空間はモンスターにとっては「毒」とも言える。

「それと一定波長の光っていうのは、そうだね。日光の光は色んな波長が合わさったもの、だよね?」

「確か、そうだったよな。俺も自信がない。」

「まあ、いいか。その中に含まれる波長にモンスターには害となるものがあって、この杖が出してる光はその波長なんだ。仮にモンスターが結界の外で待ち伏せしようにも杖から出る有害な光のせいで消滅しちゃうね。」

まじか、日光に弱いのか。

有紀の解説は「結界+空気+光」の3つの要素でこのエリアの安全を確保した、ってことみたいだ。

でも不安が拭いきれるかっていわれると・・・ねえ?何日か体験しないとどうしても不安出てくるね。

ん?でも待てよ・・・

「そりゃおかしくないか?日光の光に弱いなら、なんで地表にモンスターがいるんだ?」

そう、モンスターはダンジョンだけじゃなくてダンジョンから地表に出ている奴らもいる。

実際に村の食料の一部になってるってことは狩猟対象としてちょくちょく狩られてるとも言えるわけだろう?

「いいところに気づいたね、修司。実はボクも昔同じ疑問を持ってたんだけどね。ボクが生まれるよりも昔に修司の世界から召喚された人が解明をしてたんだよ。」

長い話になるから、と有紀は食事の準備を始める。

火を使っても問題ないのかな?って思ったら大丈夫だそうだ。

有紀も俺も料理得意ではないけど、どうせシカ肉焼いてハーブを刻んだものと胡椒を振りかけて食べるだけなのであんまり上手い・下手は関係なかったりする。

俺は寝床の準備だ。

有紀が収納魔術で仕舞っていたダメになるクッションや枕、それから普通の毛布を数枚取り出したので、1枚の毛布を敷布団として設置。

ダメになる枕は有紀が、クッションは俺が枕の代わりに使用する。

毛布の設置は割と困っちゃって、近すぎても気まずいだろうし、遠すぎると正直俺が怖い。

なので30㎝ぐらい離して設置する。うん、近すぎず遠すぎず・・・かな?わからん。

色々準備が終わったところで夕飯食べつつ、有紀の話を聞くことにした。

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