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ベタ東ダンジョン3層

やっと3層についた。

最短距離でも1階層あたりの面積が広いのもあって、歩き疲れた。

入り口を出る前に階段に座って一休みしておく。モンスターは階段を渡らないルールがあるのが救いだ。

ただ階段を拠点にするのは座ったまま寝なきゃいけないし疲労が取りにくい。

二人で地図を見て検討した結果、3層入り口から左右に廊下が分かれているが丁度良さそうな位置に袋小路になってる通路があるのでそこを拠点にしよういう結論になった。よく見ると6畳ぐらいのフロアなのかな。

早速向かって・・・5分も歩いたあたりで有紀が唐突に声をかける。トーン下げてるってことは要警戒だ。

「前方、2層(さっき)と違う魔力の流れ・・・ウルフかな。このままだと2分後に当たるよ。」

了解。初戦闘だな。

バックラーよし、ショートソードよし。キープはウォール3回分。

「あ、修司。向こうも気づいた。警戒度上げて。」

流石ウルフ、ニオイでこちらを把握したか。

この薄暗い3層は嗅覚のある向こうが本来は有利だったのだろうけど、こっちも龍眼レーダーがあるから条件は互角。いや、こっちのほうが感知早いか。

少しずつ進むと俺の視界にウルフが映った。

「でかくね・・・!?」

シカを単独で狙えるレベルだもんな。そりゃでかいか。頭の位置が俺の胸元ぐらい、もっと言えば有紀と同じ位置に頭あるし。

戦闘開始、と言うところでウルフが吼える。ガウ!って感じじゃなくてゴウ!という低い鳴き声だ。

「・・・!え!?」

手足の動きが鈍る!まじか、これ!

吼えると同時に圧し掛かりに来たウルフに対してこちらは手足が上手く動かない。

(あかん、リリース・ウォール!)

キープした魔術を発動しウォールが圧し掛かりを弾き返す。ガン!という音により弾かれたウルフだが直ぐに姿勢を建て直した。

直ぐに再攻撃してこないのは賢い証拠だ。

「ハウリング、数秒間体が竦むウルフの特殊能力だね。」

有紀が俺の後ろから観察してる。多分彼女なら余裕で倒せるだろうが・・・、これは俺の戦闘だから自力で倒しきろう。

「ふっ!」

俺はフェイント気味にショートソードを突き刺しにいく。先ずは隙を作らないといけないな。

ウルフも剣先は警戒しつつも峰の部分を前肢を器用に叩き落としにくる。

上手いな、こいつ・・・!

向こうも俺のバックラーで首元隠れているせいで急所が狙えないで居るようだ。

こちらはフェイントの突き、向こうは峰を叩く。それを3回繰り返しただろうか。

そろそろ俺も攻めに行くことにする。

同じように突きをウルフの目元めがけて放つ。と、ウルフは先ほどと同じように峰を叩き落とそうと左前肢を上げる。

「今だ!ブラスト!」

ウルフの前肢根元を狙ってブラストを打ち込む!

今までと違うパターンだったせいもありウルフはバランスを崩しながら後方にジャンプする。

俺も素早くウルフの元に飛び込み、パワースラッシュを放つ。

狙いは当然、首元だ!

「おら!!」

ミサンガの特殊能力で筋力も上げた状態の全力の一撃だ。当然刃にハードスキンもかけてある。

が、トス・・・と手ごたえが無いまま首元で刃が止まった。

「まじか!」

ウルフも即反撃に飛び掛ってくる。今度は俺がアヴォイドで後方に一気に回避。

「っふ・・・こいつ、強いな!」

「首周りの毛が発達してるせいで斬撃通りにくいね。」

あのモコモコの毛は俺の全力の攻撃も抑えきるほどの防御を誇るわけだ。

やばいな、全体的に毛があるせいで俺のメインとなる攻撃が通らないのか。

ただ「初見殺し」のときのような一撃の重さは無いので急所だけしっかりバックラーで狙われないようにすればこちらもウルフの攻撃は然程厳しくない。

いや、嘘だ!

フェイントの突きに対して今度はウルフがサッと交わし、今度は俺の腕を狙って噛み付きに来る。

「うおお!」

慌てて剣を引っ込める。まじで手ごわい。

考える・・・後、攻撃が通るとしたら、アイツの口か?

噛まれる前提でやらなきゃいけないけど、ハードスキンが耐え切れるか・・・。

「有紀。」

「ん?」

有紀は普通の声だけど、後ろから感じる雰囲気から、しっかり見てくれてるな。

「怪我回復できるでしょ?ちょっとそれ前提でリスク冒しにいくわ。」

「・・・わかった・・・」

あんまり歓迎はしてないみたいだけど、背に腹は変えられないしね。

よし、いくぞ。

まずはフェイント、今度は縦切りだ。

ヒュっと剣を下ろすとウルフは左に避け・・・俺の右手首に噛み付こうとする。

「バインド!」

地面から伸びる蔓のようなものがウルフの動きを止める。

「グウ・・・ガゥ!」

何とか噛み切ろうともがいているが、バインドは頭も開いた口も固定してるからどうにもならない。

だけど俺の力量だとやっぱり2秒ぐらいで解除されちゃうな、と分かった。痛みはないけどバインドが千切られる感覚があるからね。

だけど2秒で十分。

「おらあ!!」

俺は全力でウルフの空いた口に剣を刺し込む!

ズブブとウルフの口内の柔らかい部分を貫く感じが手に伝わって来て、そして後頭部まで貫通する。

ギャアアア!と鳴きながらも抵抗するウルフ。こっからは俺のハードスキンとの勝負だ。

絶命するまで俺は剣をグリっとひねったりする。

ウルフも爪で引っかきながら後方に逃げようとするが、俺もそれに合わせて前方に踏み出す。

「逃がすわけないだろ!」

死ぬ直前のバカ力で放たれた爪はハードスキンでガードしきれず、頬や腕に傷をつける。

牙も腕に食い込んで、血が出てきてる。痛い・・・めっちゃ痛いけど離したら俺も終わる。

お互い必死だが、俺はここで指した剣を横に払う。

(パワースラッシュ!)

外側からでは遮られた一撃も、中からなら通るからな!

強力な一撃でウルフの首をはねる。

ズバア!という音・・・そしてドシャ!とウルフの胴が地に落ちて、消えていく。

消えるというのはモンスターを倒した証拠だ。

「ぜえ・・・ぜえ・・・これは、やばいな・・・!」

気が抜けた瞬間呼吸が乱れた。一気に疲れたぞ。

「お疲れ様、修司。」

有紀が魔力を俺に注いでる。すると俺についてた牙・爪の傷が消えていく。

「ありがとう、さくっと回復するんだな。」

「瀕死じゃないからね、良かったよ。」

しかし、この強さだと目標地点行くまでに俺何度もやばい目にあうんじゃないかな・・・。

ってことで有紀を前にして進むことにした。男としては何となくみっともないけど、強さは有紀のほうが全然上だし・・・。

「ボクが修司を守るからね。」

キリっと言われてしまって、俺は顔を覆う。恥ずかしい!

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