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ベタ東ダンジョン3層への道のり

1層は適度に採集して、2層は襲ってくるシカを倒す。

シカは特に気になるような動きは無かったな。イノシシみたいな動きだったからバックラーで逸らして首筋をパワースラッシュでザン!と切り落とすだけで終わる。

アーツを覚えた分、正直イノシシより楽かも。

そんなわけで3層までの道のりは然程苦労しなかった。

「3層も余裕ありそうだね。」

と有紀は言ってるけど、ウルフっていうと集団で襲ってくるんじゃないの?

「そんなことないよ。地表に出たウルフ型は群れを作って群れ単位で行動するけども、ダンジョンは細長い通路もあるから集団行動向けの地形じゃないでしょう?」

確かにそうだ。フロア部分のみならまだしも逃げる相手を追いかけるのに集団行動はしないか。

「だから基本的にウルフは一匹で行動する。その代わり敵が逃げ出したら遠吠えで仲間に知らせるみたい。ダンジョン内で包囲網が敷かれるというわけだね。」

逃げると獲物を追いかけてくる。なら逃げずに戦えばいいのかな。

「そうだと思う。」

有紀はウルフ型のモンスターを倒したことはあるらしいが、東ダンジョンは潜ったことがないそうで、このダンジョンのウルフの行動パターンを理解しているわけじゃないんだとか。

ただ今までの経験で「逃げなければ」吼えてくることは無かったみたいだな。もっとも、一発で終わらせてきたから吼える暇もなかったんじゃない?って気もするけど。


ベタの東にあるこのダンジョンはアルカ村のそれよりも広い。

多分1層も2層も複数の冒険者パーティーが入っても別にココアのクランの利益が落ちるとか、そんなことはないぐらいに。

恐らくあの姫ちゃんが2層までを自分の庭と認識して余所者を入れたくないのかもしれないな。

ただ、1クランがこなす依頼の量ではベタの町の供給は間に合わない気がする。

確かに村から町へ物資の販売する商人もいる。アルカ村だって薬草やらポーションやら売ってるけど、地産地消しきれないしね。

それを踏まえてもこの大きな町を賄うにはもっと大量の依頼を受けてないといけなくない?と思ったが、有紀は別の考えだ。

「もしかしたら西ダンジョンで供給が賄えてるのかもしれないね。向こうでも入手できるなら管理が微妙なこっちよりも向こうに行くほうが冒険者もリスク少ないし。」

「あーそうか、それなら別に東ダンジョンでアレコレクランと依頼の取り合いになるより楽だな。」

要するに向こうで町の大半の需要を満たせれば、東ダンジョンの依頼は東部の需要を満たす量だけで良いし、それなら1クランで何とでもなる。

有紀も憶測だけど、案外そういうことかもしれないな。

2層の昼食時にはそんな話をしてた。

昼の簡単な休憩時間中は有紀がミストを仕掛ける。

正確にはブラインドなど複数の魔術をミックスさせてるらしい。その霧を俺達の周辺に出す。

有紀が出すミストは隠蔽系の魔術を混ぜ込むからニオイも含めて風景に溶け込んでしまってモンスターは「そこには壁があるだけ」と認識するんだとか。

ちなみに有紀から言わせると、結界を張るケースと隠蔽系魔術で隠すケースは使い分けるそうだ。

隠蔽系はそもそもモンスターからの発見を防ぎ無用な戦闘を避ける狙いで使用する。

結界も戦闘を避ける用途は同じだけど、モンスターからの発見を防ぐわけではない。そのため、飽きない限り結界の前に張り込まれるというのが面倒だったりする。

それを避けるために結界使用するときはその階層のモンスターが避けたがるアイテムやスキルも併用するんだとか。

例えばアルカ村2層はキツネが居たけど、あそこにあった簡易休憩所は結界のほか獣避けのニオイを発するアイテムも使用してたそうだ。

こうすることで結界でもって安全エリアを作りつつ、その場にモンスターを留めないようにできるわけだね。ただ、手間を考えると短時間なら隠蔽系の魔術を使用したほうが楽なんだとか。

ちなみに有紀の持つ清風の杖・・・これは結界の代用だけどモンスターを退ける効果もあるそうだ。

が、一つだけ問題点があり最低設置時間があるんだそうだ。

一度設置すると6時間は撤去不可というのがデメリットで、これが原因で有紀も休憩のときに気楽には使えないらしい。

なるほど、有紀のウンチクは為になるなー。

しかし、2層までは楽なら3層も楽かな?って気持ちは少しある。いや、割とある。

そういえばギルドに依頼受注の申し込みをした際に地図をもらった。

古い情報もあるけど10層まで大まかなマップが掲載されている。が、1層と2層はやたら詳しい。

例えば今俺達が居るこの場所は魔術で隠蔽しているけど、そういった魔術を用いなくてもモンスターから発見されにくいスペースだと書いてある。

「ココア冒険者(以下略がマッピングした最新の情報を冒険者ギルドに無償提供してるのかもね。」

有紀が水を手のひらに出して飲む。

なんていうか水を掬うように手のひらをくぼめるとそこに水が沸いてきたような感じ。

俺も水は皮袋に入れてあるけど、ためしに口をあけて飲ませるよう催促してみる。

有紀は何の疑問も持たずに同じように水を手のひらにだしてうえから俺の口に落としていく。

うまい!有紀汁だ!なんて考えてみたけど、うーん、やっぱり普通の水だった。

「ゴク・・・。ふぅ、そうか、あのクランも真面目にやってるにはやってるんだな。」

「そうだね、2層までとは言え、ポイントが的確に記載されてるんだよね、これ。あのクラン高ランク冒険者が居るし、マッピング慣れしてる人がいたのかもしれないね。」

確かにあのクランは少人数の癖に大半がランク中~高位だしなあ。

「それとね、修司」と有紀。

「ボクが出した水は生活用の魔術の一つで大気中の魔力の元を水に変換してるだけだからね?『有紀汁だ』なんて気持ち悪いこと考えてるんじゃないかって思ったから一応付け足しておくね。」

ばれてた。

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