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ガマー村2日目3

<神城有紀の視点>

宿に戻ったボクは考える。

この衣装は恐らくベタの町の古着屋に売却すれば1万コムになると思う。

購入価格が3万コム、ボクや修司にとっては結構なお金だけど、着用する期間も少なければ綺麗なまま売れるだろうし・・・そのくらいが妥当だろう。

そしたら少しだけ旅の足しになる。

でも「よし!じゃあ売ろう!」とは思うんだけど、今脱ごうって思うと少し躊躇う。

いや、躊躇う理由はないんだけども。ないはずなんだけど。

少しだけ普段着ない格好をしてみるのもいいかも・・・なんて思ってるボクがいる。

修司が見たらどう思うか少し知りたいという気持ちもあるし。


でもボクは知ってる。

昨日のボクの魔女の衣装・・・背中が開いた、普段の格好より露出が増えた服装で悶々としてたことを。

っていうか朝の修司はすっごい疲れてる顔してたのに気分爽やかって態度だったから絶対一人でシてたよね?

昨日は背中と太もも、今日は徹底して胸元が露出してるわけだから、昨日に続き今日も欲求刺激させてしまったら修司はちゃんと休めるんだろうか。一人頑張りすぎて死んじゃわない?って不安になる。

「うん、やっぱり修司にとって良くないな。脱ごう。」

と同時にドアが開いた。

「有紀、買出しできた?」

ぎゃあああ!なんでこのタイミングで戻ってくるかな!

脱ぐって決めた瞬間に!

いや、もちろん見るなら見るでもいいんだけど、せめて心の準備はしたかった。

変な汗が出てくる。絶対顔赤いでしょこれ・・・。

「えええっと、うん、買出し?出来たよ。」

何とか返事する。

「そ、そうか。いや、なんか・・・それ買ったんだな。」

修司もめちゃくちゃ戸惑ってる。

「いや、ど、どう・・かな?」

「うん、まあ・・・」

「あ、ごめんね。口に出されると多分ボク恥ずかしくて死ぬ。言わなくていい・・・。」

「おう・・・」

修司の目線が胸元に行くのが分かる。やっぱり、そりゃそうだよね。

慌てて腕で隠す。ストールどこだ!?って思ったら壁にかけたんだった。

ゴクってのどならされてそれだけで体が熱いぐらい。恥ずかしすぎる。っていうか見すぎじゃない!?

確かに「見たときの反応」は知りたい気持ちあったんだけども、でも何かだんだん怖くなってきた。

「・・・あ・・・の。」

ボクが修司に声をかけようとして失敗した。声、上手く出ない。

でもクラスにも男を「怖い」という女の子いたけど、今なら凄く気持ち分かる。

アレは確か中学校のときだっけか。クラスで一番の巨乳の子で男子の中でも「アイツ体育のときめっちゃ胸揺れてるよな」とか噂されてた子だ。その子が女子達に「エロい目で見てくるときの男子が怖い」と漏らしてた気がする。

多分、そのときの男子の目は今の修司の目と同じケダモノの目だったんだろうね。

「修司、その目怖いよ。襲ってきそうで。」

つい本音を漏らす。いや、大体修司には本音漏らすけども。

「いや、すまん。ああ、それ、どうしたの?」

事情を説明する。

「なるほどね、ララさん、ありがとうございます・・・!」

「修司、何ボソッと感謝の言葉述べてるわけ?」

このやり取りの間に修司は普段のムッツリスケベに戻ってくれた。

エロい目で鼻の下も伸びてるけど、許容できる範囲だから良い。このくらいなら。

なんか、ボクも何時ものムッツリスケベのほうが相手しやすいみたいで、落ち着いてきたところで壁にかけたストールを羽織る。

「あんまりじろじろ見ないでよね、修司。」



<佐野修司の視点>

いやあ、眼福だった。今夜も寝かさないぞ、俺が眠れないだけだが。

でも本当にすごいエロ可愛かったな。俺に度胸があったら今頃襲ってたはず、度胸ないんだけどね。

正直、今の有紀がクラスに居たら見た目だけなら学校1位いけるんじゃない?ってレベルの可愛さなわけで(性格はコミュニケーション取れないからダメなほうに入りそうだけど)、見慣れていたけど改めて女の子らしい格好されると破壊力がやばかった。

ララさん、本当にありがとう。


お互いが落ち着いたところで夕飯を食べに行く。

もちろん有紀はドイツ民族衣装風の服装で。

「修司の視線は慣れたからいいよ、このままで」とのことだったけど、ジッとみると睨まれるので見ないでおく。チラチラ見るのは良いんだってさ。

宿の付近の喫茶店は夜は居酒屋になるようだ。

ガマー・ガードのクラン員のうち、仲間同士で飲んでるグループもあるが、基本的にピーク時間はもっと遅い時間からのようで、まだガラガラの状態なので人ごみ苦手な俺達にはそんなに悪い店内の状況ではない。

昨日の飯でも思ったけどバリエーションはアルカ村よりも多い。

恐らく品質の高いダンジョン産が入手できない分、調理方法を工夫してきた結果だと思う。

「うん、確かに美味しい。」

さっきまでの悶着で微妙に気まずさがあったけど、普通に美味しいものを食べるとそういう気まずさも忘れて喋れるよな。

今日のミランさんとの手合わせの話をしながら食事をしていると、村長から声をかけられた。

「ん?村長さん、こんばんわ。昨日はご馳走様でした。」

「おう、修司君。今日もミランと手合わせしてたみたいだね。筋のよさを褒めておったよ。」

俺と村長で挨拶を交わす。

有紀は・・・すっごい嫌な目で村長を見る。失礼すぎない?

って思ったら違った、後ろにアントンがいたからだ。

「・・・」

有紀は昨日のセクハラ発言を根に持ってるみたいで警戒心を丸出しにしてる。

両腕で自分の体を抱きしめるようにして、自分の露出している肌を隠そうとしてるしね。

「魔女よ。そんなに警戒せんでいい。ほら、アントン!」

「お、おう。魔女さん。す、すみませんでした。」

頭を直角に下げて謝罪するアントン。

昨日のクソみたいな態度とは大違いだ。

「心も折られたみたいでの。昨日目が覚めてから反省したようだ。」

「そ、そうなんだ・・・。」

「俺の言動でかなり不快な思いをさせてしまった。もちろん他のクラン員たちにも謝るべきなんだけど、魔女さんは明日には居なくなってしまうから・・・。」

頭を上げないあたり、誠意を込めてるんだろうな、って分かる。

元々はこういうやつだったのか。

「まあ・・・ボクも結構傷つける目的で挑発的なこと言ったし、お互い様ってことで。」

「魔女さん、ありがとう。」

アントンはやっと顔を上げる。

まあなんていうか、昨日とはちょっと印象違うな。

昨日はふざけた態度が顔にも出てたけど、今日はキリっとしてるし。

アントンは有紀に謝罪したくてやってきただけみたいで、そのまま店を出て行った。

「今回のアントンの件、ミランから出た条件だったんだろう?ただ我々としてもアントンがまた基礎をおろそかにしない真面目な冒険者としてやっていくのは大きなメリットだから、私個人的にお礼をさせてもらおう。」

お礼ってなんだろう?って思ったらベタの町への運賃は村長が出してくれたらしい。既に払い終わってるから明日は乗っていくだけだぞ、とのこと。

ありがてえ・・・ありがてえ・・・。

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