ガマー村2日目
いやあ、清々しい朝だ。
人は何故異性を求めるのか・・・うん、悟りを開いた気分だ!
疲労感もあるけど、何か頭はすっきりしてる。
まあ、それは良いとして。
今日は俺と有紀は別行動となる。
というのも俺はミランさんと手合わせしてもらう為にクランに赴くからね。
有紀は「明日からの食料買って置くよ」とのことで別行動となる。
明日のバスはミランさんの運転じゃないからここでお別れになるし、ミランさんの持つ戦闘技術を教わる。
有紀は技術面は全然だからしかたないね。
「昨日よりも手数を増やしてこれるようになってるね、修司君。」
「ミランさんこそ、ブランク埋まってきてません?」
手合わせのあとの一服中、二人での会話を楽しむ。
これでもクラスで友達が殆どいないんだぜ?
分かるだろうか、こういう一定の距離を置いた付き合いならちゃんと喋れるけど「これ以上親しくなる可能性がある」人とは話せなくなるような、そういうタイプなんだよ、俺。
手合わせは昨日よりも引き出しが増えた気がする。
魔法・魔術・・・キャスト系スキルと言われるものと、アーツは魔力を用いるが相違点がある。
キャスト系スキルは発動までに構築時間がある。だから妨害系のスキルで阻害される。
アーツはそれが無い。ただその代わり技を出し切るまで行動は止まらないので使用後に即行動とはならず、少し硬直する。硬直による隙を狙われるというデメリットもある、ということだ。
ただ、ルカさんの場合は左右別の手でアーツを連打することで硬直を打ち消すという裏技を使用していた。
と言っても結構難しいらくてミランさんでも左右で交互体術アーツの破岩を連打というのは左右1回ずつが限界で、アーツを魔力の限りだし続けるルカさんはミランさんから言わせると「あれのセンスは異常」らしい。あのまま冒険者として続けていれば30代でアントンを越える可能性もあるとか。
ちなみにアントンの使用したブラッドバーストは左右合計20連撃するアーツなので、ルカさんのようなセンスによるものではない。ただ、あんなアーツを普通に使用できるって意味ではアントンもセンスの塊なんだろうけども。
さて、とにかくアーツには使用後のディレイが存在するため、俺も安易に使用することは出来ない。
そのために通常の攻撃に織り交ぜながら使用する。そうすることで「どの攻撃がアーツなのか」警戒させることが出来る分、相手の消耗を誘うことが出来る。
今回はミランさんがハードスキンを耐えず意識して使用させ魔力切れを狙ってみたが・・・流石バス運転手。魔力量が尽きる前に俺の魔力が底を尽きてしまった。
後半は魔術も組み込んだことで一撃入れることは出来たが、魔力切れが早まってしまった。
「いやあ、でも魔術もちゃんと組み込んで私の消耗を誘うというのは良い作戦だと思う。あとは基礎力の差だからね。」
「そうですね。まだまだ魔力が足りてないのと、あとミランさんのハードスキンを突破する筋力も欲しいですね。」
やはり俺に足りないのは基礎なんだと思う。野球部が基礎練に力入れてたけど、そういうことなんだな。
「おや、修司さん、ミランさん。こんにちは。」
俺達が喫茶店で寛いでいるとジャックさんが通りがかった。
そのまま3人で男子会をする。・・・まあ全然華やかじゃないね。
「ベタの町は明日バス出ますね。そうなると修司さんとはお別れですね。」
「そうですね。ジャックさんはまたアルカ村へ?」
「そう、ミランさんとあとはアルカ村に出稼ぎする冒険者も一緒ですね。」
アルカ村にはルカさん、レイヤさんが護衛兼任しながら冒険者ギルドの依頼をこなして稼ぎを得ていたはず。
「あの二人の代わりに見習いを連れて行きます。アルカ村で冒険者登録させるためにね。」
道中、盗賊いたら大丈夫なのか?って思ったけどジャックさんが更に付け足す。
「もちろん見習いとは言え、この村の警備担当したこともありますし、狩猟でモンスターを倒したりもしていますから、完全な初心者というわけじゃないんですよ、戦闘は。」
「それに、私も修司君のお陰で少しブランク埋まったしな。」
そうか、ミランさんも居るし護衛としては問題ないのか。
「念のためマジックポーションは私のポケットマネーで購入してあります。これでミランさんは護衛も運転もバッチリですね。」
「これは酷い雇い主ですな。まあでもお任せください。」
ミランさんは笑いながら言う。
うーん、この二人はオフのときは結構話をするのかも。運転手のお姉さんは放置されてる感じなのかな、て思ったら、お姉さんは既婚者らしく帰る度に旦那さんとイチャイチャするらしい。
クールなイメージだけどそのイメージとは真逆なんだとか。イイネ!!
「ちなみにベタの町へ行くクラン員は多いですよ、やはり中級ダンジョンの稼ぎが良いんですよね。」
人多いバスに乗るってことか・・・ただ、会話はしなくて良さそうだな。
「そうですね、運転手も完全に外部の人ですし、クラン員はクラン員同士で会話したりすると思いますからね。逆に修司さん達は退屈するかも。」
「いやいや、俺結構人が多いところで話をするの苦手なんですよ。俺だけじゃなくて有紀もだけど。だから逆に存在感薄いほうが助かるかな。」
こうして日が暮れてから宿へ戻り有紀の部屋を開ける。
「有紀。買出しは出来た?」
と開けてから気づいた。ノックしてなかった!!
ああ、これはラッキースケベかな?かな?
「ちょ、ちょっと修司!!見ないで!!」
「す、すまん!って・・・あれ?」
下着じゃなかった、ッチ!
でも普段の格好とも違ってた。
「え・・・?どういうこと?」