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ガマー村の晩餐

晩餐・・・と言ってもクランの一室での夕食だが、そこでは俺達とミランさん、村長と4人での食事となる。

断っても良かったが、夜は宿の1階は酒場として結構人が来るらしく、そこで食べるのもちょっと辛いなってことでお邪魔することにした。

村で取れた作物やたまにうろついている野生のモンスター(野生?)を狩猟した料理が出てくる。

ダンジョン産のほうが栄養豊富で味も良いと言われているが、俺は野性味あって良いなって思うんだけどな。


夕飯食べつつ、ミランさんが言う。

「修司君。今日の手合わせは良かった。もう運転手として長いから、こういうのはあんまりしてなくてね。」

「ミランもルカとレイヤの件が終わったんだ。もっとクランに来て訓練していけば良い。」

村長は言う。

「そうですね、修司君に負けじと私も頑張るかな。」

ルカさんとレイヤさんの件は実家の両親には伝えたらしい。

親御さんは悲しんでいたと同時に、仕方が無いという意見だった。

こういった村では各自の役割・規律を守らないと村全体へ影響が出てしまう。

仮に、もし自由化させれば都市部へ行く人も増える、出生率も減る・・・そうして村の昨日が維持できなくなればシグル村と同じ結末になるか、廃村となるわけだ。

村の存続を第一としているため、個人の犠牲は諦めるしかない。・・・まあルカさんたち生きてるけどね、内緒にしてあるけど。

「修司君、基礎は大事だよ。ルカさんの件もそうだし、アントンの件も、君が見たものは積み重ねてきた基礎を応用させる手がかりになるだろう。」

そうだな。いつか分からないが、もっと強くなれば俺も対応できるようになるはず。

基礎はどこでも大事だな・・・。勉強嫌いだったけど、有紀に基礎は大事だからと言われて一緒に基礎問題集を解いてたし、そのお陰で赤点はなかったな。

応用することが出来れば俺はもっと頭良かったのかもしれないけども。

次は村長が話し始める。

「アントンは・・・今回自分の持つ強さを全部使っても叶わない相手が居るとはっきり自覚できたのは良かった。ヤツも昔は勤勉で簡単な依頼であっても受注していたのだが・・・。増長してからは難しい依頼しか受けなくなってしまってな。基礎を疎かにするもんだから、ランク7とは言え、同ランクの中では弱いほうだろうよ。」

だが、と言葉を続ける。

「ヤツが心を入れ替えれば、まだ20代なんだ。まだまだ強くなるだろう。龍眼の魔女よ、ありがとう。」

有紀に視線を向ける。

「いや、本当はあそこまでやるつもりはなかったんだけど・・・。ちょっと彼はセクハラがすぎないかな?腹立ててしまったよ。」

セクハラっていうと俺もそれに該当しそうだけど、っていうのは言わないどく。

「すまんな、魔女よ。ヤツは見識が狭すぎたんだ。」

「まあ・・・いいけどね、こっちもトドメにブラスト打ち込んじゃったし。」

確かに俺としても有紀がセクハラ受けるのは気持ちよいものではなかった。俺がするならまだしも他人がするのを見るとイラっとするね。

「しかし、有紀さん。ルカさんのときもそうだが、あのウォールは凄いですね。連撃に対して全部再使用していたのでしょう?魔女に勝てる人は居るのだろうか。」

「結構居ると思うよ。ウォールは一定威力の攻撃はガードし切れないで壊れるから、例えばボクが100層のウォールを作ってもそれを全部壊して尚衰えない威力の攻撃が来たらボクは負けてしまうと思う。」

「いや、100枚っていうのがそもそも無理ですよ、我々には。」

ミランさんが「無茶言うな」という顔をする。

「んー・・・あとは対防御壁の武器も存在しているはずだし、そんな武器を持った複数の高ランクの冒険者に囲まれたらボクはダメかも。」

「そんな武器、あるんですか?」

「ある、ミランは王都に行ったことが無いからわからないだろうが、王都の近衛騎士はウォールやバリア、マジックバリアを破壊する特殊な能力がある武器を支給されておる。」

「そう、その通り、村長。」

対防御壁能力のある武器が存在しているならウォールがどれだけ使えても威力に関係なくバリアをバキバキに割って攻撃が届く、というわけか。

近衛騎士しかもって無い・・・逆に言うと一般市場に出回ってない理由は凄く簡単だ。

ハードスキンよりも確実に一撃を防げるという意味ではバリア系は非常に有効なため、貴族や王族は自衛のために身に着けるスキルの一つとなってるらしい。

民衆にこんな武器が流通したら、彼らの持つ防御スキルが意味を成さなくなるわけで、自らの身を危険に晒すような武器の流通を許可するわけがない。

うーん、なるほどなー。あとは対魔女用の能力を持つ者が居る場合も有紀は勝てない可能性もあるんだとか。

ランク0以外には無敵って言ってたような気がするけど意外と天敵もいるんだな。

「う・・・。でも少数でしょう!?」

ちょっと拗ねた、ごめんって。


食事は続く。

「そういえば龍眼の魔女というと、100年前からその噂を聞かなくなったおったが、どうしておったのだ?」

村長が有紀に質問をぶつける。

実は・・・と有紀が説明する。俺の世界に転生していたこと、そして女神の召喚の際に自分もこの世界に戻されたこと。

「そうか、魔女は不老不死ゆえに一時的に転生してその生を楽しむと聞いたが、そういうことだったか。そして、彼と王都を目指して他の者と合流するということですな?」

「そうだよ。女神がどういう理由で呼び出したのか、それも確認しなきゃね。」

「ふむ・・・。龍眼の魔女よ。貴女の性格の変化は何かあったのかな?」

「え!?どういうこと・・・!?」

村長のその発言にむしろ有紀のほうが驚いた様子。ただ、「何言ってんだ?」って感じじゃなくて、心あたりがありそうな、そんな様子だ。

「いえ、私は実は遠い先祖がエルフとの混血だったらしく、寿命が長くての。300年前というと私が生まれたばかりだが、当時の話に聞いていた魔女の性格と、今の魔女の性格に差を感じてしまっての。いや、200年前には既に今の性格と近いのかもしれんが。」

「え・・・?えっと・・・実はですね・・・。」

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