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ガマー村への移動7

「さて、ボクがレイヤさんに確認したことはね・・・。」

有紀が話を始める。

「ルカさん、ぶっちゃけてしまうけど、媚薬使ったよね?」

「え!?」

ジャックさんがびっくりする。オジさん運転手は「あ~なるほど」って感じの反応だった。

媚薬かあ、漫画とかで良くでるアレだな。

「注射するタイプの媚薬でね。疲労回復って言われて打たれたんだそうだよ。この媚薬はどっちかって言うと麻薬に近い。凄く気持ちよくなれるけど効果がなくなれば身も心もバランス保てなくなっちゃうぐらい強力な依存性があるんだよ。だから数ある媚薬の中でもこれは反抗的な奴隷を追い詰めて手懐ける用途で使われるんだ。」

有紀が補足してくれる。

「ルカ!君は大事な人にまでそんなものを!!」

ジャックさんが激怒する。冷静さどこいった!?というぐらいに。そりゃそうだ。

そんな強力なものを使用するということは「後のことは考えない」のと同じだからな。

「ジャック、お前に分かるかよ!お前は俺が欲しいもの何でも持ってただろうが!俺が本当に欲しいものを手に入れようとして何が悪い!俺はレイヤを取られたくない、どんな手を使ってでも自分の側においてやる!」

ジャックさんの怒りに呼応して、ルカさんも怒鳴る。

まあ俺から言わせればルカさんもイケメンなんだし、他の女なんていくらでも見つかりそうなもんですけどね!

普通に生きてても顔偏差値で女と無縁なんて俺の世界にはたっぷりいるんだけどな。

でも言わない、横槍入れるような空気でもないし。

「ルカ、何でこんなことしたの?私はルカには正々堂々と告白してくれたとき嬉しかったのよ・・・」

レイヤさんは涙を零しながらルカに語りかける。

「でもよ、レイヤ。村のルール・・・義務を捨ててまで俺についてこようと思ったか?」

ルカは先ほどの怒鳴り声とは一転して静かに語りかける。

「ジャックさん。このまま明日ガマー村に赴き、今回のことを村長に報告いたします。」

オジさん運転手がジャックさんへ話しかける。

「そうですね、報告は必須でしょう。ただ・・・」

ジャックさんが返事をしたときだった。

全員の視線が一瞬ジャックさんと運転手さんに移った時にルカさんが行動を起こした。

俺がたまたまルカさんを見たときには腰に隠し持っていた注射を自分に刺すところだった。


「うお!」

俺が声を上げたことで全員がルカさんを見る。

筋肉ムキムキになったルカさんがそこに居た。

体でかくなったせいで顔とのバランスが崩れて若干キモい。

っていうか、有紀お前一部始終みてただろ!

「ごめんね、修司。実はちょっと思うところがあって。」

よく分からんけどあえて見逃したのか。

だが、まずいな。俺の武器はバスの中で、一方ルカさんは見張りの番があったから両手に武器を持ってる。

ぶっちゃけ俺は戦力外だ。ってか、ジャックさんもかな。

運転手さん達二人はランク3ほどの実力者らしいけど、正直ルカさん達もランク2だけど戦闘能力だけなら運転手さんと同じだ。いや同じだった、か。

ドーピング?でマッチョになったルカさんが運転手へ襲いかかる。

運転手さん、大丈夫かな。

オジさんのほうはまだ魔力が残っているようでハードスキンを使用しながら篭手でルカさんの武器を捌くが・・・ルカさんの二刀流は「攻撃は最大の防御」を体言していて威力の高い攻撃を右、左、と連続で叩き込んでくるためオジさんのほうは完全に防戦一方だ。それでも傷を負わないのはベテランとしての技能だろう。

お姉さんのほうは夕方の運転を担当していたため魔力が殆ど残っていないため、戦闘に臨もうとマジックポーションを取り出している。

「まって、お姉さん。ボクが片付けるよ。」

有紀が前に歩き出す。

「危ないですよ。貴女は魔法か魔術を使うのかもしれませんが、今のルカさんの動きは平時よりも更に上がっています。直ぐに距離をつめられてしまいますよ。」

冷静にお姉さんが止めるが、有紀はそれでも前に進む。

「あれはバーサクポーションの注射タイプだね。もちろん正規品じゃないからあの後は反動でしばらく剣をもてなくなってしまうかもしれない。」

更に歩く有紀、ルカさんが気づく。

「お前がバラさなきゃレイヤは俺を選んで終わりだったんだよお!」

「まずい、逃げてください。」

ルカさんが猛スピードで有紀に迫る。オジさんは止めようとするも丁度魔力切れだったようだ。

「大丈夫だって、皆。ちょっと待ってね。」

ルカさんの右から横薙ぎの攻撃が来る・・・が見えない壁に弾かれる。

ウォールは一発のみのガードだから、右手の攻撃を弾いても次は左の攻撃の前に今のウォールは消えてしまう。

ルカさんも弾かれた瞬間に次の攻撃を放つあたり流石だな。けど、次の攻撃もウォールで弾かれる。

右左の連撃はその勢いで埃が巻き起こるほどの速度と威力だが、有紀はその全てをウォールで弾く。

「なんだよお前!それはなんだよ!」

「ウォールだよ、ボクのほうがルカさんの攻撃より早くウォール構築し終えてるだけの話でね。」

確かにムキムキルカさんに対抗できるのは有紀しか居ないと思うし、もしかしたら最初から対応することも視野にいれてムキムキにさせたのかな。

「お前ただの駆け出しじゃないだろ!くそ!なんでお前は、お前らは俺とレイヤを離そうとするんだよ!」

最後のほうはルカさんが泣きながら攻撃を続けるが無常にも全部ウォールで防がれる。

「ボクが邪魔してるんじゃないよ。ルカさんの選択がルカさんに返ってるだけ。」

必死なルカさんに対して、涼しい顔で攻撃を防ぎ続ける有紀。このまま体力消耗を狙うのかな。

って思ったらルカさんが急にこっちに来た。こっちっていうか狙いはジャックさんか!

「うおおおおおおお!!」

「うっわ、油断した。ジャックさん避けろ!」

いや、これは間に合わないな。

と思ったら地面からツルのようなものが伸びてルカさんに巻きついて、ルカさんは一瞬でその動きを止められた。

更にゴゴゴンとブラストが発動する。ルカさんがそのまま爆風に飲まれる。音の回数からして3連発。

爆風による埃がはれたら、そこにはマッチョではなくて逆にガリガリなルカさんが居た。

え?どういうこと!?さっきのルカさんはどこ行ったの!?

「バーサクポーションの時間切れだね。」

有紀がニヤっと笑う。

今日の有紀、悪役ぽいぞ・・・、どうしちゃったの?

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