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休息

むに・・・

「ん・・・ん?」

寝返りを打ったら何かやわらかいものに当たった。

あ、これはもしかして!!きたか、ラッキーイベント!

目をクワッと開いたら、そこにあるのは単なる枕だった。

「ええ・・・、普通こういうのはさぁ・・・。というかフカフカだな、これ。」

俺達が普段使ってる枕というのは藁を袋に詰めたようなもので少しごわごわしている。

が、これはなんだろう?水?が入ってるのかな。

もみもみ・・・目をつぶりながら揉むとなんとなく胸に思える、そんな柔らかさだ。

「修司・・・?なにしてるの?」

声がかかり慌ててそちらに目をやるとベッドの側の椅子に座っている有紀が「うわぁ」という目でみてた。

「いやね、この枕普段と違うよな!ってね!」

咄嗟にごまかす。いや、実際中になにが入ってるのか気になってるのは事実だけどね。

「それはね、昔ボクが買ったダンジョン寝泊り用枕だよ。中には粘度の高い液体を入れてあってね、ふんわり感からリラックスして安眠できるから、疲労回復に効果あるんだ。・・・少しでも修司が回復するといいな、って思ったらその枕を思い出して取り出してみたよ。どうかな?」

「ああ、かなり回復してるよ、疲れも取れてるし。」

実際体の倦怠感もなく、目覚めも軽い。

「よかった。そしてそれは決して『おっぱい』じゃないからね?」

ニヤっと言われた。バレてたか、っていうかバレるよなあ。

あの後、俺は魔力も体力も使い果たして気絶した。

5層の結界で起き上がれる程度には体力の回復は出来たし魔力もある程度戻してから3層まで戻ったものの、疲労感がすごくて意識があるとは言い難い状態だった。

宿の部屋に着くなり寝てしまった、というわけだ。


宿のクレスさんの部屋・・・事務室兼用らしいけど、そこで昨日のお礼を伝えにいくと、クレスさんも改めて(なのかな?昨日の記憶がないのだけど)祝ってくれた。

「修司さん、一人で倒せるっていうのはすごい事なんですよ。もちろん倒せないということはないですし、何人も倒していますけどね、それでも基本的に盾が敵の攻撃を受けて回復してもらいながら、他の冒険者が攻撃するというパーティーでの攻略が普通です。異世界から召喚された人は女神の祝福を貰いますが、修司さんは何も特殊なものは持ってませんから、僕らのこの世界の人と同じスタートラインから一気にここまで成長した、ということです。」

そういわれると恥ずかしいけど、長くダンジョンで新人を見てきたクレスさんに祝いの言葉を受けると、この世界でやっていける自信につながるな。

有紀からは魔術の使い方を中心に教わっただけだ。もちろん装備を選ぶ決め手は有紀の冒険者としての経験があってのことだけど。

「ボクは嬉しいよ。防御向けの魔術を教えたけど、防御を攻撃に活用するという発想が出来る人はこの世界ではあんまり居なかったんだ。」

今でこそ応用として防御向けの魔術・魔法を攻撃用に転化する方法は伝わってるらしい。

ただ「攻撃は攻撃用のスキルを使うほうが威力が高い」という事実がある。例えばハードスキンはお手軽に発動できるというメリットがあるが、それよりも多少手間と魔力を消費するが武器に直接コーティングを行うスキルが存在し、そちらのほうが効果は良いのでパーティーでの攻略では魔法使い系の冒険者が用途に応じた魔法を前衛に付与するのが基本となる。

「用途毎の魔術を覚えてたら修司の頭はパンクしちゃうからね。魔法使いにせよ魔術士にせよ、長年の修行は使える数を増やすための処理能力を高めたり魔力を上げたりするために行うんだよ。覚えるだけならボクがやってるような裏技ほどじゃないにせよ専門書を読み込むことで覚えることは誰にでも出来るからね。」

ということは俺は専門の修行をしているわけじゃないから専門職に比べると覚えられる量が少ないってことか。有紀がバンバン魔術を教えてこないのはそれが理由みたいだ。

「魔女様の場合は無限の魔力で大抵のことはゴリ押せますが、修司さんの場合は違いますからね。限られた手段で立ち向かうには、応用する発想力が重要です。魔女様は魔術を教えた際に応用の仕方を教えなかったのは、自ら気づかせるためだったのでしょう。」

そうか・・・ありがたいことだ・・・。有紀、ありが・・・ん?

こいつ、目を逸らしやがった!忘れてたのか!

「イヤ、クレスさんの言うとおりダヨ、ホントホント。」

「結果として俺は応用することを覚えたから、感謝してるよ、()()()()()()。」

「・・・ゴメンね?」

ごまかすことを謝って素直に謝る有紀、こういうところ男として一緒に遊んでたときもそうだけど、素直なところ可愛げがあっていいね!

応用・・・ミストは身を隠したり敵の命中率を落とすという目的で利用しているけど、これはお手軽の割に効果の長さと範囲の広さから重宝するし、どこかで応用できる手段があるといいな。

「そうだ、修司さん。冒険者ギルドに報告に行きましょう。僕もちょうど用事あるんですよ。」



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