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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
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有紀の留守番2

<神城有紀の視点>


「実はですね…。私付き合ってる人が居るんですよ」


「うん」


前振りから予想はついてたけども。


「クランの人なんですけどね」


「うんうん」


これも予想はついてた。問題は誰か、だよね。


…まあ大体分かる。


「サモロンさんかな?」


「え!?な、な…なんで分かるんですか!?」


「いや、だって年齢近い男の人って彼しか居ないじゃない」


「あー、そうでしたね。バレバレでしたか」


「バレバレだねえ」


確かにこれはクランの人には言えないね。言えばジャンあたりが暴れそう。


それからニーカの惚気話を聞いてて、ボクはほっこりした。


ウザいと感じる人も居るのかもしれないけど、ボクは少なくともずっと人を好きになるっていうのが無かったし、他の人の恋愛話を聞くことも無かったから、ニーカが話す内容はボクにとっては興味あるものだった。


「笑顔がですね…。あ、彼は滅多に笑わないんですよ。口元も大体隠してますし、皆の前で笑顔を見せた事が無いんです。けど、私と話してる時に初めて笑顔を見せてくれた時に私は落ちましたね、恋に」


ニーカはテンション高めに、でも部屋から声が漏れない程度の音量で話を続ける。


きっかけは本当に些細な事だったりするんだなって思う。


彼女の場合は見せてくれた笑顔に。


「青春だねえ」


ボクは感想を漏らす。というか漏らしてしまった。


これがいけなかった。


「で!で!有紀さんの話行きましょうよ!」


と、ニーカが目を光らせてボクの腕を取り、ベッドまで引く。


「さあ有紀さん、寝るまでじっくり…ね!」


「ええ…」


確かにニーカの恋バナを聞いて、それからボクも色々話すと約束したけども、いざ話すときには緊張する…。


でも、まあ結局話はするんだけどね。






「そう言えば有紀さん。昨日は良い雰囲気の所、ごめんなさい」


「あ、あれはね、別に修司が暴走しただけでボクは別に何も思うところはないよ、うん」


修司にガッツリ抱きつかれたし耳元で囁かれたわけだけど、ことごとくボクの弱い所を突かれた感じで恥ずかしい。嫌じゃないだけに抵抗しづらいし。


「けど今の様子から察するに、普段は2人の時でもあんな雰囲気で過ごす訳ではなさそうですね」


「その通りだよ。ボクと修司は親友だからね。友達同士でイチャイチャする訳ないし」


そう、親友だ。修司が生まれた時にボクも向こうで生まれ変わって、それからずっと一緒だったんだ。


だからボクらはお互いに親友としての距離は守ったつもりだけど。


ニーカにもボクと修司の出会いから今までの事を伝える。


「で、昨日遂に修司さんの口から好きって言われたんでしょう?」


「うん」


「じゃあ修司さんも有紀さんの事を親友を超えて恋愛対象として見てますよね」


「なのかな?」


「そう思いますけど…」


「うーん、そうなんだね」


「嬉しそうですね、有紀さん」


「へ!?な、何も言ってないよボクは」


「顔に出てますよ。口元緩んでるじゃないですか」


慌てて手で口を覆う。


正直、嬉しい。だけど、安心した、と言うのもある。


ボクが修司に対して持つようになった好意と、修司が昨日告げたボクへの好意は同質のものだから、少なくとも「は?何言ってんだ有紀、マジ引くわ…」と反応される恐れがなくなったし。


「明日にでも話し合ってみたらどうですか?」


「そ、そうしよう、うん」


でも色々吐き出せたかな?多分。


あ、でもボクはまだ言葉にはしてなかったからね、ちゃんとそこは自分の気持ちを言わないといけない。修司だけに言わせてるのはフェアではないし。


「あの…でも、1つだけいいですか?」


ニーカがおずおずとボクに聞いてくる。


「どうしたの?」


「いえ…うーん、どうしよう…」


聞こうとして聞けないって感じなのかな?1人でブツブツ言い出してるけど…。


あれ?ボク何か変な事言ってたっけ?


「ニーカ、何悩んでるのかな?ボクも打ち明けて心落ち着いたし、ニーカの方こそ悩んでるなら吐き出してしまいなよ」


ボクはニーカに微笑む。この子のお陰でボクは清々しい気分だからね。


「やっぱりあれですか?男の人って興奮すると大きくなるんですか?」


「…へ?」


「だから、その…」


「あ!そういう話か」


「…はい」


ニーカは顔を赤らめてそう返事をする。


まあ、そうだよね。年頃だしね。


ボクは一応男の体で過ごしていた頃の話をもっと細かく教えてあげる事にした。


「興奮すれば大きくなるし、発散すればまた元に戻るよ」


「なるほど。それで修司さんにもしてあげてるんですね」


「ふぁ!?」


「だ、だって有紀さん行ってたじゃないですか…。確かにダンジョンで野宿するならノンビリ妄想に浸ってる暇ないですし、してあげる方が効率的ですよね」


「あああ…」


そうだった。ボクはこんな純粋な子に何教えてるんだ…。


「あれはね、わ、忘れてて欲しいな!」


「ええ…もう聞いちゃいましたよ。参考になりました!」


ニーカがニコっと笑うけど、今のボクにはダメージでしかない。


そもそも月で過ごしていた時に、ボクの方から親友の性処理を手伝うよって迫った訳だから、あれ?もしかして修司の目にはボクは痴女に映ってるの?


いやいや、流石にボクが誰にでもしてる訳じゃないのは分かってると思うし。うん、大丈夫だ、大丈夫だ。


「ニーカ」


「はい?」


「その、確かに効率的ではあるんだけど、自分からサモロンさんには言い出さないようにね」


「え?でも、狩猟に行く前にすっきりした方が良くないです?もし1人でしてるなら手伝ってあげた方が…」


「そうなんだけど、恥じらいとかさ…あるでしょ?」


「まあ…そうですけど」


でもニーカは「彼の為に出来る事をしてあげたい」って言うのがあるみたいで、その気持ちは分かる。


だからボクから男の体について質問したんだろう。このクランの誰かに聞く訳にもいかないだろうし。


そう考えるとボクとしてはサモロンさんとの今後について応援してあげたいけども…。


「その今持っている恥じらいは大事にしよう。こっちから『性欲の発散を手伝うよ』なんて言ったら引かれるかもしれないじゃん」


「あー…引かれちゃいます?やっぱり」


「うん。いや、効率的って言うのあるけど、やっぱりそれってニーカらしくないから、やっぱり変な事になっちゃわないかな?」


「なるほど。確かに有紀さんと修司さんは2人の付き合いで自然と…って感じでしょうしね」


まあ自然だったかどうかで言うと微妙だけど、そこは言わないようにした。


とは言え、ボクも修司がトイレに駆け込んでナニをしてるか、経験上分かってたから、必然ではあったのかな。


「分かりました!機を見て攻めてみます」


「攻めるんだ…?」


攻めるんだ…、案外ニーカは肉食女子?


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