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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
201/229

バリアントパーティー3

「俺の話も役立つぞ、聞いていけ!」


ジャン…俺達は一昨日じっくり話をする時間あったのに、そういえばこの職業とスキルについての話は出てないんだよな。


「そうですね、教えてもらいたいです」


俺達はもう昼飯も終わり、茶を飲みながら話をしてる状態だ。


多分ジャンの話が終わったら休憩終了で狩りの再開になると思う。皆の雰囲気から察するに。


「よしよし!俺はモンクって職業なんだ」


「そんな感じに見えました」


武器、ナックル系だもんね。


「ここで大事なんだが、モンクってのは元々由来は神官と同じで、女神を信奉する者なんだ」


うん、修道士って言うもんね。


大抵ゲームとかでも、神官は防御寄りの魔法を習得していくのに対して、モンクは攻撃寄りのスキルを手に入れるイメージだな。イメージと言うか、ャンの話聞いたら俺が持っているそのイメージの通りだったけども。


「まあ俺はもう教会にも所属してないけどな。だが、俺はモンクのコンセプトは未だにちゃんと守っているからモンクを名乗らせてもらうぜ!」


「モンクのコンセプト…」


「ああ、一発一発全力で、だ!」


ドーン!と効果音が聞こえてきそうなぐらい堂々と胸を張り宣言するジャン。


確かに今までの戦闘を見てると一発がとにかく重い。


力を使うペースを考えてないような戦い方だ。


「ジャンの戦い方はソロだとちょっと厳しいかもしれないが、我々のようにパーティーを組むならフォローはいくらでも出来るからね」


ランベールはそう言い添え、ジャンが大きく頷く。


「こいつらが居るからだいぶ楽だぞ!」


「でもソロとか少数で動く事とか無いんです?」


俺はちょっと気になって聞いてみる。


「あー…まあ昔はティーナと2人でダンジョン潜ってたな」


「その時、力配分とか考えてないんですか?」


「ん、いや全然?」


力をセーブするとかありえないかのように平然と答えて来るジャン。


魔力を放ちアーツを用いて攻撃している事もあるはずで、魔力が空になれば暫く休息が必要になるはずで、その時間も2~3分なんて短時間でどうこうなる話ではない。


ところがここでの狩りを見ていて、ジャンは魔力を全部使うような大きな一撃を放った後でも少し休むだけで魔力が全快している。要するに普通よりも何倍も魔力の回復が早い、って事になる。


「よし!本題だ。モンクの使うアーツはどれもこれも魔力消費が大きい変わりに威力も大きいという変り種なんだが、当然魔力切れで何十分も動けないなんてのは情けないよな?」


「そうですね」


「そこで、魔力切れまでアーツを使ったら心を鎮め呼吸を整える。それで一気に回復をして次の戦闘に臨む。ってのがモンクだな」


ジャンの説明によるとこの呼吸を「内丹」と言うらしい。


呼吸により外部の魔力を取り込み自分の魔力に変換する事で魔力の回復をする、という感じか。


なるほどね。


「で、まあこの内丹なら修司、お前もすぐ習得できると思うぞ」


「ほう…!」


この内丹を習得できれば戦闘後に少し休憩するだけで魔力が戻る訳で、力のセーブをせずにダンジョンの戦闘が出来るようになる、非常に便利だ。


「お、教えて欲しいです!」


俺はすかさずジャンにゴマすりを始める。


「おう、勿論教える。が…ランベール!」


「ああ、そろそろ出発の時間だ。その呼吸法は道中にでも教わったらどうだ?」


そんな訳でバリアントパーティーは午後の狩猟を始める事にした。






午後の狩りは午前同様に順調に進んだ。


道中にはジャンが内丹のための呼吸を伝授してくれたが、これは俺にとっては体育の準備運動の時の深呼吸と同じ要領で分かりやすかった。


「後はイメージだ。大気の魔力を自分の体の…そうだな、ヘソの下辺りに通して、そこで自分の魔力に変換するイメージを持って呼吸を行うんだが。これが難しいんだよな」


どうやら他の人はこのイメージが上手く出来ず習得できなかったらしい。


が、俺はこれもすんなりイメージできた。


と言うのも、俺の学校で漢文の教師が丹田について解説していたのを俺は覚えていたからだ。


当時は中二病の影響がしっかりあった時期だったので、勿論丹田なんて興味の対象だったわけで、そんな俺が漢文の教師の解説に興味を持たない訳がない。


ちなみに「怒髪天を衝く」という言葉も中国史がその語源なので、当然漢文の授業で解説されたのを覚えている。何気に漢文で学ぶ内容は中二病の精神をくすぐるものが多かったな。


それはそうと、俺はイメージは出来たし、瞑想を行っていたので呼吸についても把握できていたので、内丹の習得は容易に行えた。


「すげえな!修司の世界では皆出来るのか?」


「いや、分からないですけど…。ただ学校で学ぶ内容ではある…のかな?」


勿論真面目に授業を受けていれば、だけど。


興味ない奴は漢文の授業中寝るだろうし、体育の準備運動も適当な奴も居るからな。受けていれば役立つ話もそもそも耳を傾けもしなければ意味がない。幸い俺は授業に身が入ってないだけで耳には入ってるし。


「あとはその内丹を日々実践していけば徐々に回復量も増えていく。要するに鍛錬を積む必要はあるって話だな」


「なるほど。ありがとうございます」


こうして俺は内丹を習得した。


ただ内丹は面白い事にパッシブスキルのカテゴリに属する。てっきり意識して呼吸をするからアクティブなんじゃない?と思ったけど「まあその辺は曖昧だったりするからな…」とジャンの返答だった。


それもまあそうか。


ゲームならアクティブ・パッシブと明確に切り分けられるけど現実ではそうもいかないしね。


パーティーの各人の話を聞いてると、どうやらアクティブは魔法・魔術・アーツがそれに該当し、それ以外のものはパッシブに分けられてるみたいだ。


「俺達も『どれがパッシブで…』なんて考えてないし、修司もそんなに考えても意味がないぜ」


ジャンは俺に声をかける。


それもそうか。


「さて、陽も落ちてきたし、そろそろ戻ろう」


ランベールの号令で本日の狩猟は終了となった。


この狩りの間に俺はスニークと内丹を習得したわけだけど、あとは実践できるようにしていかないといけないな。


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