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外に出る

「取り合えずここ、出たいんだけど、どこにも出口ないな」

俺は隣の女・・・元男だけど、いや、転生っていうのが本当ならこっちが本当の性別か、とりあえず有紀に話かける。

「自分の体が保存されてる場所だから簡単に出入りされたくないからね、ちゃんと魔術で封をしてあるのさ」

でたよ、魔術、ファンタジーかよ!ってファンタジーだった。

有紀は壁に向かって歩く。

少しウェーブのかかった黒い髪がなびく。

もちろん目が行くのは髪だけじゃなくて、軽くゆれる胸にも。

結構大きくない?いや多分クラスにもっと大きい子はいたけど、平均より上じゃないか?

「ちょっと?」

そんな考え事をしながら見てたら有紀がムっとした顔で見てくる。

「流石に見すぎだよ?チラっと見るぐらいにしといてもらわないと・・・」

あ、見るのはいいんだ?

ごめんごめんと謝る。

「それで、その壁に何かあるの?」

有紀が壁の前に立っているが、壁は何の変哲もないただの壁だ。

「いや、ないよ?何も。」

「ええ・・・」

じゃあ何でそこに立ってるんだよ、とツッコもうとして気づいた。

いつの間にか剣・・・サーベルかな?を持っていた。

「これで壁を壊すんだよ」

サラリとおかしなことを言う。

折れるだろ・・・

「折れるだろ、なんて考えたでしょ?」

図星だった。

「大丈夫、この『ビーナ』の世界は向こうとは違うんだよ。魔法とか魔術とかファンタジー要素もあるからね。」

有紀が構える・・・でも、少し距離がある・・・助走でもつけるのかな?

「当然、このサーベルも切る目的じゃないんだよ。ちょっと音うるさいから注意してね。」

有紀が「よっ」と声をかけた瞬間、壁が爆発した。

「まじか・・・」

「びっくりしたでしょ?これがファンタジー要素だよ。」

「ってか、お前本当に有紀?だよね?」

「そうだよ、修司。なんなら小学校のときに君が高校生の従姉妹のお風呂をのぞ・・・」

「ああ、お前は有紀だ、うん間違いない」

くそ、まだ覚えてたのか・・・。

しかしこれは俺たち二人だけしか知らない話だし、この話を出してくるってことは有紀なんだ、と信じるしかない。

そして彼・・・彼女が使った魔法も本物なのだと思うしかない。


果たして壁に穴は空いて、俺たちはそこから出た。

部屋を出ると洞穴になってたようだが距離は短く、すぐに空の下に出ることができた。

空気が美味い、気温も穏やかだし、木々から差し込む光も柔らかい。

なんて詩人みたいなことを考えてたけど、ここはどこなんだろう?

「転生してからここに戻るまで、何年経過してるか分からないんだけど、たぶん100年ぐらいかな・・・?」

「ということは有紀が持っている記憶は今より100年前までってこと?街とか大丈夫なのか、これ」

不安になってきたけど、有紀はニッコリしながら「大丈夫だよ」と言う。

お前、女に転生してれば向こうでも人気のリア充だったと思うぞ・・・。

「ここからまっすぐ進めば『アルカ村』に出るよ」

村か、でも100年前じゃないの?

「アルカ村は近くに『ダンジョン』があるからね、辺境にあるから村規模だけど、冒険者が初心者時代の下積みをするのに適したダンジョンだから周辺の村の出身の冒険者が必ずと言っていいほど滞在する村なんだよ」

「だから大丈夫・・・か・・・でも100年も経てば生活も変わる。ダンジョンを必要としなくなるってことはないのか?」

「生活の変化はあると思う。けれどこの世界はね、ダンジョンという場所が生活から切っても切り離せない存在なんだ」

さらに歩く、静かな雰囲気だな。

そういえば俺は制服だから結構目立つんじゃないか?と思い有紀を見る、もちろん胸はチラっとだけね。

生地は布かな?ハーフパンツとシャツのような組み合わせにブーツを履いただけ。

先ほど使っていたサーベルは見当たらない。あれは空間から出し入れできるみたいで、ますますファンタジーだなと思った。

それにしても、やっぱり制服は目立つかな?

「ああ、制服か、目立つけど大丈夫。さっきも言ったけどいろんな冒険者が集まるから『こういう民族も居るんだな』って認識で見られるだけだよ」

結構寛容な世界だな、って思ったら「皆余裕がないから服装で差別とかしてられないんだよ」だとさ、なるほどね。


ダンジョンというのは俺は「モンスターを討伐し、レベルをあげるところ」というイメージだが、半分正解で半分違った。

モンスターはもちろんダンジョンに現れるけど、地表にもモンスターは存在する。

モンスターからは武器・防具あるいは生活品、食料などの素材が取れるが、それを効率よく集められる場所がダンジョンなんだとか。

地表に居るモンスターからも素材は得られるが、探さないといけないし効率が良くない。

また、薬草も野菜も良質のものはダンジョン産が基本なので農家ですらダンジョンに潜るようだ。

地表で農作業をするのはダンジョンを引退した人らしいが、これも決して「地表で農業をすることが劣っている」わけではないようだ。

ダンジョン産=稀少なので高価なものが多い。

一方で地表で取れる農作物あるいは薬草は質は下がるも豊富に採集できるため、安価で大量に供給することができるというメリットがある。

一部では最初からダンジョンを考えずに地表での生産を重視している人も居るぐらいだ。

そんな話を有紀から聞きながら歩いていると、見えてきた・・・村だ・・・、ちょっと感動。


「あそこがアルカ村だね、ボクが生まれた村だよ。もうずっと昔だけどね。」

「そうか100年前だもんな」

「あ、いや、この世界を離れたのが100年前なだけで、村を出たのは300年前だよ」

「は?300・・・?」

そんなロリバーチャンいるわけないだろ!と言いたくなるのをこらえていたら向こうから切り出してきた。

「ボクは『魔女』に覚醒したからね、14歳だったかな、それ以降は不老不死なんだよ」

でたよ、魔女、不老不死、ファンタジーだなー

「ファンタジーだね、でもボクにとっては現実なんだよ。魔女になってから力を使えるように先輩魔女から鬼のようなシゴ・・・修行を受けてきたし、その間に両親は寿命で亡くなったからね。あ、もちろんちゃんと死に目には村に帰ったよ。」

今シゴキって言おうとしたろ・・・?もし先輩魔女に会ったら伝えてみようかな。

「まあ、でも両親が亡くなったら、やっぱり村に対して執着持つ必要はないでしょ?だから修行が終わったら村を出たんだよ」

最終的に村の近くに自分の体を封じ込め?てたのは村への愛着は残ってたからかもね。

そういいながら有紀は笑った。

少しさびしそうに見えたのは、生まれた村にすでに自分を知るものが居ないからかな?

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