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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
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帰り道

翌朝、目が覚めると既に友紀は居なかった。


ただ、暖かさを感じるから起きたのは少し前か。


「おはようございます」


俺はシートから出てジャンに挨拶する。


「おう!おはよう!」


ジャンは普通の様子だ。昨夜の事はなかったかのような振る舞いだ。


まあ、話を引きずられても面倒だから助けるけどね。


「おはよう修司。休めた?」


「おはようございます、修司さん!」


友紀やニーカも集まってきた。


2人とも普段通りだ。やっぱり皆で「なかった事」にしてくれてるのかも。


と言うか、当事者の友紀も普通に出来るのは切り替えが早いからかな。


「おはよう、クッションはすごいな。疲労回復したわ」


「なら、よかったよ」


友紀の手にはサーベルが握られていた。


「どう?」


俺達が山頂来たのはこの武器を強化させるためで、何も変わらなかったら意味がない。


が、友紀の回答は「わからない」との事。


「魔力の流れに変化はないかな。もしかしたら龍気が漲ってたりするのかな?」


「うーん、俺も龍気はまだ常時感じられる程の鍛練は積んでないからなあ…」


まあ、戦闘になれば分かるんだけどね。


さて、帰りの準備も出来たし、戻るか。


「そうだ、修司達は帰りにまたうちに泊まって行くだろ?」


「そうですね。って、そうか、宿泊には対価が必要でしたね」


「いや、今回は良い…という訳にも行かないか。そうだな…じゃあ、往復の道中の狩猟品貰っていいか?」


「それは構いませんが…対価として不十分では?」


「まあ別に対価なんて『どの位必要か』と言うのは曖昧なんだよ」


ジャンは「ほら」と前を歩いている有紀とニーカを指差す。


「ニーカがこんなに親しげに話してるのを見れば、親としては『同行して良かった』と思うわけよ」


「はい」


「ま、それが対価の一部って事さ」


なるほど。対価って言うのは何も物である必要ではなく、ニーカと似たような年齢の子と話す機会を設ける事が出来たのも対価として考えられる訳だ。


実質一泊分は無料で泊まれるんだし、俺も助かる訳だけど。


「修司」


敵の警戒をしていた有紀に声をかけられる。それはつまり…


「モンスターの気配がするよ」


「あ、本当だ」


有紀に続きニーカも反応する。


俺とジャンはまだ感知してない訳だけど…。


「あ、有紀、あれ使ってみたら?龍牙穿空」


「そうだった」


俺に言われて有紀も思い出したようにサーベルを出現させる。


俺も盾を剣を取りだし、構える。


最初に飛ぶ斬撃を放ち、俺が直ちに接近してシールドバッシュで動きを止める…という流れで行こう。


と、そう思っていたんですけどね、はい。


「うーん、一発か」


「一発だね…」


俺の出番、なし。


威力は上がってるよな~と期待はしてたけど、まさか飛び出てきたシカのツノを斬り、更に首まで切り落とすのはやりすぎじゃないだろうか。


「なあ、有紀。昔はこんな感じの威力だったの?」


「うーん、確かにこの位威力があったような…」


有紀も記憶を探るけど、この子の記憶はあんまり当てにならないな。


まあとにかく、有紀の武器は性能アップしたし、目的を達する事が出来たわけだ。






バリアントの拠点としている小屋ではランベールが迎えてくれた。


「良く戻ったな。修司君も有紀さんも怪我が無くて何よりだ」


「ありがとうございます。ジャンさんとニーカのお陰で安全に行き来できましたよ」


俺は彼にお礼を伝える。


ランベールはジャンと同じ考えだったのか「今日はここに泊まって行きなさい」との事で、俺達はお言葉に甘える事にした。


ゲストルームに荷物を置き、ベッドに寝転がる。


「ふう…」


何ていうか有紀の出してくれるクッションも柔らかくてしっかり休めるんだけど、やはり建物の中は精神的に落ち着くし、気持ちがリラックスするから格別だと思う。


「これで目的は済ませた訳だけど」


と、有紀がベッドに腰かけながら話をしだした。


ベッドと言っても俺が倒れこんでるのと違うベッドに、だけどね。


「この後どこ行こうか」


「んー…どうすっかな」


有紀の提案に対して俺は悩む。


そもそも北に来たのは千葉さんと山本さんという(正直俺達は関わりが薄い)2人の女子を追いかけてきたからだが、彼女達は更に北に向かってしまったしな…。


正直、更に追いかけてアラシャク王国に行くか?となると答えはノーだ。


イスト帝国と戦争しそうな雰囲気の中、アラシャク王国に行くのは儲けを考えている人か、あるいはアラシャク王国に対する愛国心溢れる人か…。


俺達はそのどちらでも無いので、態々火種が転がっている場所を目指すつもりは無いし、千葉さん達も俺達がそこまでしなきゃいけない相手でもない。


なので、北に行くのは無しだ。


となると…王都に戻る?


いや、それもどうだろう。


王都にはエンドレス・ソウルの本部があるので、王都への異邦人の出入りは本部が把握していると思うが、その情報を入手するだけなら態々本部に行く必要は無い。


となれば…。


「一度ジェラ市に寄る?」


「ジェラ市?ここから西北西にある所だよね?」


「そう。エンドレス・ソウルの支部があるし、一旦俺達のクラスメイトの情報有無を確認しておくのは良いんじゃないか?」


「ああ、そっか。そうだね」


有紀も賛成してくれたし、とりあえずジェラ市に向かう事にしよう。






えー…と、そんな訳で昨日の続き…という事になる流れだと思うじゃん?俺はそう思ってた。


「修司、ごめん。今日はニーカと寝る」


とサラリと言い残して有紀はニーカの部屋にお呼ばれしたからね。


俺はゲストルームに1人な訳です、はい。


ま、まあ俺も期待してた訳じゃないし?


「でも、取りあえず冷静になるには良い時間か」


有紀とは昨日の夜の後から何でもないように振舞ってたけど、俺は内心気持ちが落ち着かなかった。


だから今夜1人でゆっくり休みながらいろいろ考えようと思う。


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