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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
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夜のアトス山

ジャンの話が一通り終わる頃には日も沈み、夜が訪れてからだいぶ経っていた。


イスト帝国は北方においてはアラシャク王国に隣接している国々を残して殆ど合併済みという状況と言うのは分かった。


このまま行けば俺達が予想してた通り、北側は更に険悪な状況になるだろう。


勿論他にも色々と話を聞けたけど、情報の整理もしておきたい。


んー…アトス山降りたら、一度エンドレス・ソウルの支部があるジェラ市に向かって情報の突合せも行っておくか…?


「さて…」


ジャンが立ち上がる。


「俺は話し疲れたし、休憩がてら寝床の設置でもしとくわ!」


「ん?寝床の設置って、余計疲れません?」


「何言ってるんだ修司は。俺にとっては喋るよりも体動かすほうが余程良いんだ!座って会話して…体が固まっちまう」


「はあ…。そんなもんですかね」


「そんなもんだ」


ジャンは自分のバックパックに結わえていたシートを広げ、寝床の作成に取り掛かった。


シートと持参の木の棒を使って三角錐の形をした簡単なテントを作る。てか、手際いいな。


「たまに狩りが立て込んで帰れない時もあるからな。大体は雪風の管理している洞穴を利用させてもらってるが、そこまで行けない時はこうやって簡単な寝床作って凌ぐんだ」


はー、なるほどな。


やっぱりテントとか野宿とか、俺も男としてロマンを感じてしまう。


俺もこういう寝床作りできるようになりたいな…と思うけど、ぶっちゃけダンジョン内の生活だと雨風を凌ぐ必要がないからなあ。


「よし、俺とニーカは先に休ませてもらう。夜中は俺が火の番するから、交代までは頼む。その後はこの寝床で朝までしっかり寝ておけば良いだろう」


「分かりました」


こうしてジャンは作った寝床に入…ろうとして「ちょっと待った」と有紀に止められる。


「寝床にコレ置こう」


「わ、すごい!」


有紀が例の人間をダメにするクッションみたいなものを取り出すとニーカはその柔らかそうな雰囲気に気づく。


「はい、ニーカ」


有紀がそのクッションをニーカに渡すと「すっごい柔らかい!!これはダメになっちゃう!」と興奮していた。


「ジャンさんとニーカで一緒に寝ておきなよ。それ使えば暖かいだろうし」


寝床は1人用って感じだけど、詰めれば2人は入れる。


この狭い空間に2人の体とクッションがあればかなり熱を逃がさずに済むと思う。


「ありがとうございます!おやすみなさい!」


ニーカは俺達にそう挨拶してクッションに沈んでいった。


ちなみにジャンは既にイビキかいてた。早いな…。


「…ニーカは有紀と寝たかったんじゃないか?」


俺はジャン達に配慮して小声で有紀に話しかける。


「んーそうかもしれないけど、見張りの事を考えたらやっぱりこの組み合わせになると思うよ」


「そうか」


「うん、だってジャンさんも修司も敵の気配感知部分はニーカよりも劣ってるでしょ」


「まあ…そうだな」


ジャンは言うまでも無く、俺も気配少しは感じられるとは言え、有紀の能力に頼る事の方が多い。


そしてニーカは道中でもはっきりしてたけど俺よりも敵の気配を察知する能力が高い。


まあこれは恐らく何年もアトス山で過ごしたからこそ、ちょっとした変化に気づきやすいのかもしれないな。


ニーカと有紀がペアを組むと、モンスターへの警戒が全然出来ない俺とジャンのペアが出来てしまい、不適切という事になる。そんな訳でこの組み合わせは必然だったと言える。


「なあ、有紀」


「ん?」


「お前の武器、光ってない?」


ふと焚き火から少し離れた岩に置いた龍牙穿空を見ると、薄っすらと光を放ってるような…。


「本当だね」


有紀も少し驚きの目で見てたので、彼女も見た事がない現象なんだろう。


手入れ…切れ味の回復だけじゃなくて性能を上げるというのはこういう事なのだろう。


「ついでにアリアから貰った酒もお供えしとこ」


有紀がそう言いながら岩に向かい、貰った太陽酒を供える。


そういや旅館でもお供えをしたとき、ビンの中の酒の量が減ってたんだよな…。この世界ではお供え物って食われるのかもしれない。


まあどうせ俺達はそんなに酒を飲むわけじゃないからこのままビンの中の酒が消えても問題はないんだけども。


「ただいま」


「ああ、おかえり。って言っても10メートルだけどな」


ただ焚き火と龍牙穿空(サーベル)の薄っすらとした光だけだと、10メートル先もあんまり見えないから昼間より移動大変だとは思う。


「極龍星というのがあってね」


「ん?」


有紀が語り始めると同時に指で空を示す。


「地域によって見える場所は違うけど、空に光る星と違う挙動をする星があるんだよ」


有紀が示す先に、緑に光ってるように見える星がある。


「あれか」


「太陽も、星も東から上って西に沈むのだけど、あの星はいつの間にか現れていつの間にか消えていく」


「へえ」


「天文学は存在しているけど、結局極龍星については解明されていないんだよ」


「そもそも星じゃないのかもしれない…とかあるかもな」


「それはあるかも」


「でも、不思議な動きをしているのは気になるよな。なんだろうな、あれは」


俺はその極龍星を眺める。


ぼーっと見てると確かに周囲の星が少しずつ動くのにあの星?だけは全く動かないな…。


2人でそのまま見ていると、有紀が思い出したように話を再開する。


「ああ、それでね。あの星は陽光と新月の2人が言うには『龍気を感じる』らしい」


「え?龍気?」


また出たよ新単語。


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