表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/229

アルカ村ダンジョン5層

翌日、薬草採集の依頼を受ける。

5層に関しては死亡率が上がることから冒険者ギルドでも「クランの許可の下」受注することとしている。

要するに3層の施設利用料を払っていない冒険者の受注は出来ないわけだ。

それでも無許可で5層に降りる人はいるし、亡くなる人も居る。

運が良ければクランの人が通りかかって蘇生をもらえることがあるけども・・・。

5層の薬草の採集は実質『初見殺し』を討伐するのと同義だったりする。

「僕らが立会います。万が一でしょうけど瀕死になるようでしたら、その時点で救出しますから。」

人に見られながら戦うのは結構恥ずかしいものがあるな。


昨日の夜、有紀に魔術を一つ教えてもらった。

「バインド」・・・拘束させるスキルだ。

魔術の場合は地面もしくは壁から相手の一部を拘束するツルが出てくる。

効果時間は5秒以下、相手の腕力次第で減少する。

今の俺が『初見殺し』に使っても1秒以下だそうだ。

魔法の場合だと手から放出するため片手が使えなくなるデメリットがあるが魔力が持つ限り拘束できる。

ただこちらも相手の力次第で減少する魔力量が変わってくる。

「ちなみに効果時間短い魔術も連続でかけなおしすることで魔法と同じく持続させることはできるよ。」

と有紀は言う。()()()()と呼ぶ使い方らしい。

例えばハードスキンもアヴォイドもバインドも効果時間は短いが、2~3秒毎に使いなおすことで常に効果が出ているように見せかけることが出来る。

まあ、今回のバインドの場合は1秒以下の拘束だから1秒以下で何度も連発しないと常時拘束は無理だし、魔力切れのほうが早い。

魔力量も踏まえて連続使用するか考えないといけないけど、少なくとも今の俺は魔術の連続使用は厳しい。


ウォールはキープで即時発動できるようにしておく。3回分・・・。

5層の依頼は常に1件のみで初心者冒険者は受注しないときはラッキリップスのメンバーが受注する。

言い換えれば今日は俺が受注したわけだから、この5層には他所の冒険者は居ない。

俺、そして有紀、クレスさんとクランメンバーが2名・・・タンクと神官が付き添う形で5層に向かう。

「ちゃんと眠れた?ポーションは持った?剣と盾はお手入れした?」

朝からこんな感じでハラハラドキドキの有紀・・・お前はママか!

心配するのはわかるし、ありがたいけど当事者の俺より心配してない?

「してあるよ、大丈夫。それに、クランの人たちや有紀が居るなら死ぬことはないんだし、全力でぶつかるさ。」

4層は体力温存を目的にクレスさん達が倒してくれる、ありがたい。

「しかし、魔女様の感知能力はすごいですね。我々も音や振動で感知出来るようになりましたが、確度が断然違う。初手で終わらせられるのでこちらも体力温存して5層まで連れて行けますよ。」

龍眼の「魔力の流れを見る力」はレーダーとして優秀らしいが、音・振動で感知できるようになるというのも相当だと思うんだよなぁ。

4層のスケルトンは骨を動かすたびに音が鳴るから「近づいてきている」と感知するのは可能かもしれない。

ただ彼らの言う感知というのは「どのタイプか」まで言い当てられるレベルの話で、やはり俺には無理だな。


5層・・・まず入り口に神官のクラン員が結界を張る。神官さん、ごめん・・・名乗ってくれてたけど覚えられなかったんだ。

この5層最初のフロアを拠点として、万が一俺がやられたらここで3層まで戻れるぐらいまで回復する。倒すことが出来てもここでひと休憩いれる、という寸法でもあるらしい。

結界は使い手の熟練度によって強度が異なっていて、初心者が使えば精々1層を耐えられる程度だし、この神官・・・髭の立派なおじーさんはかなりの腕前でここの『初見殺し』には破れないんだとか。

「ただいま。『初見殺し』はちょうどこっちに向かって来てるところだったよ。あと10分ほどで隣のフロアに到着するだろうから、そこで戦闘かな。」

有紀が偵察から戻ってくる。彼女のレーダーはかなりの範囲だけど、この1番目のフロアからだと隅まで感知しきれなかったようだ。

俺の隣に有紀が座る。確か14歳で魔女になってるから、そのときのままか。俺の肩の辺りに頭がある。

しかも、しかもだよ?顔を下に向けて弱々しいオーラ出てたらさ・・・、なんていうか「守ってやるぜ」じゃないけど、何かしてやりたくなる。

「・・・修司・・・。」

有紀がこちらを見る。

「この、肩に乗せた手はどうしたの?」

あ、やばい、つい手を出してしまったようだ。

「ああ、いや・・・、気合入れてやってんだよ!」

ごまかす・・・、ごまかせてる・・・?

「ははは!修司、頑張るのは君でしょう?気合入れられる側じゃないか!」

いつもより少し弱い声だけど、明るい雰囲気で応えてくれる。変な空気よりはそっちほうが良い。

「そうだったな。と、有紀・・・倒せたら触媒くれるんだっけ?」

「そうだよ。楽しみにしてくれてるんだね。・・・なら、倒してきてね。」

ニコリと笑顔・・・優しい笑顔を向けてくれた。

男は単純だな・・・この笑顔一つで気合入ってしまうんだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ