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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
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バリアント2

拠点…という名の小屋には留守番役のクランメンバーも居て、全部で10人のクランだったようだ。


人多くて覚えられない訳だけども。


「さて、改めて…。私がバリアントのマスターをしているランベールだ。よろしく」


「マスターだったんですね」


俺はランベールの差し出した手を握り返し、握手を交わす。


「まあ中に入ってくれ。今案内をさせる」


ランベールに指示された通り俺達は小屋に入り、有紀が食材その他、対価として支払うものを収納魔術により出現させると、留守番役のメンバーの1人、エプロン姿の少女が俺達の元に駆けて来た。


「わあ!こんなに…!!」


俺よりも幼い…と言うか有紀の外見年齢より更に幼い気がするんだけど…。


外見だと12歳ぐらいにしか見えない少女は俺達を満面の笑みで見上げてくる。


「ささ、部屋に案内しますから、ついてきて下さい!」


少女に促され、俺と有紀はゲストルームへ案内される事になった。






少女の名前はニーカ。


俺は12歳ぐらいかな?と思ったが…


「失礼な!こう見えても15歳ですよ!」


「ええ…」


「そのリアクションも失礼ですね!」


15歳と言うのはこの世界では成人として認識される年齢だから、おかしな話ではない。


「…まあ良く同じようなリアクションされますけどね!」


そりゃそうだろうな。


ニーカはこのクランに所属したのはなんと2年前らしい。


「何でまた・・・。成人前だろ?」


ゲストルームに案内してもらったついでにベッドに腰を下ろし、俺と有紀はニーカを見る。


ニーカも話に付き合う意思を示すように、側にあった椅子に腰掛ける。


「良く聞かれる質問ですけどね、私は元々北の王国よりも更に北の小さな国に住んでいたんです」


「北の王国か…最近きな臭い雰囲気の所だな」


「最近と言いますが、私達の国はもっと前から戦火に巻き込まれるのではないかと心配されていましたから、逆に良く今まで戦争になっていないな、と思ってしまいます」


俺達が思ってるより状況は良くないんだな、アラシャク王国とイスト帝国の間は…。


「それで、私は両親に連れられこのダース王国へ逃げる事にしたんですが…その…」


「…両親、もしかして…」


そうか、聞いてはいけない事をまた聞いてしまったか。


しばしの沈黙…。


そしてニーカが口を開く。


「いや、私の両親もバリアントに所属してますよ?」


「あれ?」


居るんか!


「先程戻ってきたジャンは私の父です」


「ええ!?」


マジか…歳そんなに取ってるように見えなかったな…。


「両親はここまで逃げたのは良いのですが…その、故郷を捨てた訳で…」


なるほどね。


同郷の人間から見たら、ニーカもジャンも後母親もか…彼女達は故郷を捨てた裏切り者と言われかねない。ジャンと母親はまあ非難は覚悟してるだろうけど、ニーカまで非難の対象にならないように色々考えた結果、冒険者との関わりが少ないこのエリアを拠点とするバリアントに所属した訳だな。


「ちなみに私はクランには所属していますが、冒険者には登録していないんです。非戦闘員って奴ですね」


「そうなんだ。ニーカは冒険者にはならないの?」


「うーん、なりたい気持ちもあるんですが…ならないかもしれませんね。母も冒険者はこのクランに所属してから引退して、家事仕事をメインに動くようになりましたし、私もその母と同じくクランのサポートに回る形で過ごす事になると思います」


「小さいのにしっかりした考えなんだな」


「もう!私15歳ですって!」


ニーカは頬を膨らませ、そう言いながらも直ぐに笑顔になる。


「さ、そんな訳で今日はゆっくりしてくださいね!」


「ああ、ありがとう、ニーカ」


「また夕飯の時に呼びに来ます!」


そう言ってニーカは部屋を出て行く。


いやあ、元気な娘だった。本当に15歳なのか?と思うような幼さもあったしね。


「まあ年齢はあんまり重要ではないからね。この世界は」


有紀が口を開く。


「あ、そうなんだ?」


「色んな種族が居るし、寿命も人によって違うからね。一応成人は15歳と言ってるけど、そもそも年齢とか自己申告だからね…。もしかしたら本当に年齢詐称してる可能性もあるし」


「なるほどな」


「まあ…仮に年齢詐称しててもさ…」


「ああ、そうだな」


有紀の言いたい事は分かるので俺も頷き返す。


正直俺達には年齢詐称してようがしてまいがどっちでも良い。それで俺の今の状態がどうこうなる訳じゃないしね。






夕食は肉が多目のシチューを頂く事になった。


「美味しい…」


有紀が人前で喋った!!という驚きを隠し俺も同意する。


「美味い!」


「そうだろう、俺の嫁の飯は寒さも吹き飛ばすぞ!」


ジャンがそう叫びながらガツガツと食べて娘のニーカに「もっと行儀良く食べなさい!」と怒られ、その隣で30歳ぐらいに見える女の人が笑っていた。


ニーカに顔が似ているからこの人が母親だろう。そして彼女が俺達の方を向く。


「食料沢山ありがとうございます。私はジャンの妻でニーカの母親でクレマンティーナと言います。少し呼びにくいので『ティーナ』と呼んでください」


「はい、こちらこそ美味しい料理、ありがとうございます」


俺は食事の手を止めて深く礼をする。勿論有紀も同じように。


「いいんですよ。それよりどんどん食べてください。今日の夜も寒いでしょうから」


こうして俺達は暖かい食事と、寝床を確保する事が出来た。


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