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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
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お疲れの夜

<神城有紀の視点>


『叩き潰し』はボクやエミリーの思っていた以上の脅威だったので、結局ボクらもサポートだけでなく攻撃にも防御にも参加する形になってしまったけど、それでも修司は良くやったとボクは思う。


討伐の証拠となるドロップアイテムを買取所に提出し、5万コム受け取る。


その他の収集品も含めて売り払うとかなりの金額となった。


「俺はちょっと休んでおくわ」


修司は気を使い果たしフラフラだったので、夕食もそこそこに宿へ戻ってもらったけど、ボクとエミリーは翌日からの食料を買い込む事にした。


「あ、でもね、有紀」


「ん?」


「私、明日から王都戻るよ」


「へ?」


「ちょっと王様と話をね。それに修司君の成長も見れたし満足かな」


「ふうん」


「あ、寂しい?」


「どうだろう、エミリーとは直ぐに連絡取れる分、また会うだろうしそうでもないかな」


「言われると、そうだね」


「修司君は、多分ランク5ぐらいはあるんじゃないかな?私が求めるのは覇者の塔を登れるだけの実力だけども、それでも地道に成長しているって感じてなんだか自分の子供の成長を感じてる気分になるね」


「子供居ないのにね」


「ものの例えだよ」


ボクらが宿に戻ると、修司は既に疲れから寝ていた。


「…寝てるね」


エミリーもボクもそれは予想済みだったから「ああやっぱり」という感じではあるけども。


「さーて」


もぞもぞとエミリーは修司の毛布に潜り込む。


「エミリーは何時変な事するか気が気じゃないよ」


ボクも毛布に潜り込むけど。


でも決して何かやましい事を考えている訳じゃない。暖房を使わずに毛布をかけるだけじゃ修司は凍るような寒さに耐え切れないだろうという配慮からだし、そもそもエミリーのように修司を狙ってる痴女が何かしないように監視しなきゃいけない。いや、修司はボクに寄り添ってくれてるのは分かってるのだけども、彼には自分が本当に好きになった人と付き合って幸せになって欲しいと言う気持ちもある。でもそれは少なくともエミリーじゃないとボクは思う。ああでも、そうだ…、もう1人のボクが修司にベタベタしちゃってたから好意とかは修司も分かってるかもしれないけど。修司の方もボクの事好きになってるのかな?と思う事もある。いやしかしそれでも修司がボクを好いてるのは確定ではない以上、決め付けは良くない。


「ねえ、有紀」


「は!」


エミリーに呼びかけられてボクは思考を中断する。修司もこういう所あるけど、ボクも人のこと言えないなあ。


「な、なにかな?」


「修司君の唇、若さを感じるよね」


「いきなり何を言ってるの?」


ちょっとボクの声が大きくなってしまい、エミリーが指を口に当てて「しー」とジェスチャーをする。


「いや、実際何言ってるの…」


「んー、単純に有紀は修司にキスの1つでもしたのかな?って思ってね」


「…する訳ないじゃん」


うん、する訳がない。人によって「ここまでは恋人じゃなくても良い」というラインがあると思うけど、ボクの場合はキスはダメなラインだと思う。


手で処理手伝った事はあるけど、でもそこは仕方ないなと思う。ボクも男の体で過ごしていた訳だから、性欲も盛んな年頃なのは分かってるしね。


勿論修司も1人で処理しようと気を使ってくれてるけど、正直それで時間かかってしまうぐらいならボクがある程度オカズを提供した方が効率が良い。勿論そんな話をエミリーにしたら「自分を使って」とか言い出しそうだからボクは絶対彼女の前では言わないけども。


「ふーん」


エミリーはそう言いながらもぞもぞと動き出す。


修司の上に跨るように上に乗ろうとしてる。


「ちょっと待つんだエミリー」


ボクは思わず手でエミリーを押しのける。


「明日には王都戻るんだから少しぐらい良くない?」


「良くないよ」


「でも有紀…君は修司にキスしようって思わないのかな?」


「それは…」


思わなくはない。


好きという感情自体は持っている。少なくとも昔の様に親友として好きと言う感情を超えてる自覚もない訳じゃない。


正直に言えば時々襲いたくなる事はある。でもボクから行くのってはしたなくないか?と思うと難しいよね。


修司の方がボクをどう思ってるか分かりづらい。彼もボクを親友としてのラインを超えて好意持ってるとボクは考える事があるけど、そうじゃないかもしれない。


「ハッキリさせろ、とは言わないけどさ」


エミリーが小声でボクに話し出す。


「仮の話だけど、修司君が君を好きではないとしよう」


「仮・・・」


「私の目には相思相愛に見えるからね、まあ取りあえず続けよう」


「…うん」


「修司君にキスをしたら、彼は君を嫌いになると思う?」


「うーん、ならないかな」


多分ならない。ボクと修司は17年の付き合いがある。しかもほぼ毎日。


だからこそ分かるけど、修司は多分ボクが暴走してやってしまった事とか、気まずさは最初のうちはあるにせよ、それも直ぐに忘れられて何時も通りの付き合いになるのは予想できる。


「じゃあ、やる事やっちゃおう」


「うーん。…本音は?」


「最初は譲るから次やらせて」


「却下だね」


「冗談だよ。でも有紀はもしこのまま生きていく事になったら…、君は不死だけど修司君の持っている時間は有限だよ」


「そう…だね」


改めてそれを考えると苦しいな。ボクらは2人だけど、そのうちまた1人になってしまうわけだ。…その時にボクはどうなってしまうのか…。


「後悔しないためにもやっぱり行動じゃないかな」


「…うん」


「頷いたね。ささ…やってごらん、お姉さんが見ててあげるから」


ニヤリと笑い、エミリーがボクにそう呼びかける。


上手く乗せられた!と思うけど、一方でボクも嫌じゃないというか、今なら修司も寝てるし、言われてみればチャンスと言えばチャンスだよね。


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