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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
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vs『叩き潰し』

ボスモンスター『叩き潰し(スマッシュアップ)』は縄張り意識があり、その縄張り内に於いて自身が邪魔と感じたものに対して排除の為に襲い掛かってくるらしい。


俺達冒険者も当然、奴から見れば邪魔者なのだけど、先ほどのリスの集団も目障りだったから倒された、と言う事になる。


まあ縄張りが狭ければスルーできるのだけどな…と考えつつも買取所での話を思い返す。


「放置すると徐々に縄張りを広げてくるから厄介なんだ。そのうち拠点の側でソロ活動している冒険者も被害に合う可能性が出てくるので、討伐を奨励しているわけだ」


という事で、被害を出さない為に討伐すべきボスモンスターではある。


そんな訳で俺が前、有紀とエミリーが俺の後方に立ち、ボスから20メートルぐらいまで近づく。


有紀が展開する魔術は俺よりも隠蔽に関しては性能が断然性能が良い。


ジワリ…ジワリと近づき、ついには10メートルまで近づく事も出来た。


「修司、もっと進む?」


「いや、ここでオッケー」


俺達は小声で会話する。いや、普通に喋っても大丈夫なように有紀が魔術使ってくれてるんだけど雰囲気的にね。


じゃ、行こうか。


剣や盾を見つめ「頼むぞ…」と祈る。


壊れたらお手上げだから、壊れないで欲しい。






初撃にロックを放つ。


地面から盛り上がる岩に『叩き潰し』は気づき、背部からの攻撃に対処するために振り返るものの、避けきれず被弾する。


ゴゴンと重い音を立ててヒットし、その隙にミストを展開しておく。


「…あれ?」


ミスとの展開は順調なものの、ロックのダメージを見るために『叩き潰し』の方を見ると…


「無傷か」


傷らしい傷は見当たらない…。うーん、俺の中で高威力の魔術だったんだけどダメージがあまり通らないな。


ゴオオオ!という雄たけびを放ち俺との距離を詰めてくる。


この雄たけびの大きさ自体は十分耐えられるし大したこと無かったが、身がすくみあがる効果があったようだ。


「修司!」


「動けない…!!」


後の有紀達は左右に回避するが俺は足が動かず、『叩き潰し』が俺達の距離を詰め握り締めた手を大きく振り上げる。


アヴォイドで直撃だけは回避できる出来る。だから衝撃によるダメージの緩和を…


「うお!」


思考の途中で俺は大きく横に引っ張られる。


引っ張られた先を見るとエミリーが立っていた。


なるほど…エミリーがバインドで俺を強引に移動させたのか。


そしてドン!という大きな音がする。これは『叩き潰し』による攻撃音なのは見なくても分かる。


少し遅れて俺達に衝撃で発生した風が届く。


「大丈夫?」


エミリーはいつの間にか魔女モードになってたし、心配はしてくれるけど「別にフォローするから大丈夫だよね」という雰囲気も出てる。


これじゃ「無理」と言えない感じなんですが、それは。


しかし、『叩き潰し』の振り下ろした攻撃はまさにこのボスの名付けに由来するのに十分な威力を持ってるな…


バインドで俺が引っ張られた距離は10メートル近くあるにも関わらず生じた風はここまで届く訳だから、仮に直撃自体はアヴォイドで回避しても中心から1~2メートル程の距離だと衝撃ダメージも酷い事になりそうだ。


『叩き潰し』は俺より近い有紀に照準を合わせてしまい、有紀に迫るが彼女も魔女化している。


「さ、頑張ってね修司君」


エミリーに背中をポンと叩かれる。


俺も男だからこんなんされたら頑張るしかないよな。


と、『叩き潰し』は唐突に後方にバックステップする。


直後、奴が居た場所に巨大な炎の柱が生じる。


有紀の中級魔術「フレイムピラー」…と言うらしい。


柱は3秒位で消えたけど周囲に薄く積もっていた雪が溶ける所か蒸発して消えるのを見ると結構な熱量だったんだろう。ていうか俺達にまで沸き起こった熱風届いたしね。


と、見てる場合じゃない。


『叩き潰し』のバックステップにあわせて俺は駆け出す。


狙うのは着地点。


俺の駆け出しもタイミングは良く、まさに地面に足をつける直前に俺はアーツの射程に入る事ができた。


(パワーストライク!)


この刺突技は距離を詰めるにも向いていて使いやすいと改めて思う。


『叩き潰し』も炎柱に意識を向けていたため俺の事は見ておらず、思わぬ方向からの攻撃で今度は回避も防御も出来ず、直撃する。


ズ…っと剣先が右背部に刺さり、手ごたえを感じる。


そのまま俺は烈炎の剣を発動させ、切っ先から『叩き潰し』を燃やす。


「まだ!」


俺はそう叫び、パワースラッシュを発動させる。炎を纏いながら刺さった切っ先を更に付き入れ、横に一閃する。


ガアアア!と明らかに苦悶の声を上げる所からして今度はダメージがあったようだ。


が、俺の右側から『叩き潰し』による平手打ちが飛んできていたのを俺は奴の左手が視界に入って気づく。


ダメだな、気づくの遅いわ。


咄嗟に身を捻り盾を突き出す。


バチン…どころかバキンと音を立て俺は大きく吹き飛び、後方の木に叩きつけられる。


「ガハ!」


ガハ…なんて漫画だけの表現だと思うけど実際にこういう衝撃来ると肺から空気が漏れてこう声が出ちゃうんだな。


・・・なんて意識飛びかけながら考えてしまった。いかんいかん。


だけどダメージは与えられた。


ロックのような打撃に近いダメージは通りにくいけど、剣は多少刺さる。


という事は剣によるダメージは与えられると言う事だから倒せないわけじゃない。


ポジティブに考えよう。


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