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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
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アトス山東部エリア

東部エリアは南部…冒険者ギルド出張所があった所に比べると夜は寒いが日中は逆に冷え込まない。


まあ、全体的に寒いんだけども。


「じゃあ、狩り…どこでやろうか?」


「んー…これから頂上目指すなら少し登ったところで狩りでもしてみようか」


有紀の質問に対して俺が答える。


エミリーは「暇だしついていくよ」との事で、特にどこで狩りするかっていうのは興味ないみたいだ。


そんな訳で今回は東部エリアでの狩りとなる。


ちなみに昨日採集したツワブキ…あれは買取は格安だったらしい。


「素材として使われるケースもあるけど、そのレシピは全然流行ってないんだって」


エミリーが残念そうに言う。


ただ食用として使えるので需要はそこそこあるみたいだ。


でも正直「食用の草拾ってきて」と言われてツワブキが直ぐ頭に浮かぶかって言われたら、まあ無いよね。


食用と言えば、ふきのとう…だっけ?これもぽつぽつ見かけてて昨日も採集してたんだけど、今日見たら買取の項目にちゃんと掲載されていた。


「じゃあ、探索しつつ採集すれば金策にも良い感じだね」


有紀の言うとおりだな。


というか、野草は意外と食えるものも多いようで、買取リストには色々と掲載されていた。


まあ、大半が俺が「名前は聞いた事あるけど実物見た事がないや」というようなものだったけども。


アトス山はこの寒さの割に食物も自生してるし、雪風の拠点では栽培も行われてたから、ある程度食料の供給が滞っても何とかなるみたいだ。


ただ小麦とか米とか…主食になりそうなものがかえって不足していて、これをライナスなどの商人経由で購入しているらしい。他には…酒などの嗜好品かな?分からんけど。


逆に拠点で買い取った素材(食料関連は自分たちで使ってるけど)をライナスに引き取ってもらい、別の地域に卸すという感じなのかな。


「ん~モンスター居ないな」


拠点を出発して10分ちょっと経過したが、モンスターの気配はない。


「まだ冒険者の気配も多いから近づいてこないのかも」


エミリーが言う通り、確かにチラホラ冒険者の姿が確認できる。


彼らは採集をメインにしてるのかな。動きがモンスターを探すよりも動かないもの…植物を探してるような動き方をしてる。


冒険者と言っても常にパーティーを組むわけじゃないしね。


モンスターを狩る時は臨時のパーティで、1人で過ごすときは最終で…と言う冒険者も多いらしい。


こういう自由度の高さが冒険者の良い点なのかも。






出発から1時間。


山頂まではまだ遠いものの、この辺りになると冒険者もパーティーを組んで行動しているのを見かける。


「もう少し行った所に洞穴があるから、休憩はそこで取ると良い」


と4人組の冒険者に教えてもらった。


この4人組、多分男だけのパーティーなら有紀達はナンパされるんだろうけど、男1人女3人のアンバランスなパーティーだった。この構成ならナンパされようが無いよな。


あの4人も宿で同室なんだろうな…やっぱ俺達と同じように固まって寝るんだろうか。


まあ、それはどうでも良い話なんだけど、どうも歩いてると余計な思考が始まってしまうな。


だがその思考は有紀の「あ、居る」と発言した事で終了する事が出来た。


「居る?」


「うん、モンスターね」


おっしゃ、何が出るかな!


少しワクワクしつつ武器を取り出し、構える。


盾…シュマルクを持った左側を前に出してシュマルドと名づけられた剣を引いて剣先を向ける、刺突の構えを取る。


丁度俺の構え方だと正面からバックラーが剣を隠すような形になるのと、初手にパワーストライクが使いやすい。


「来るよ、突進系!」


有紀が声を上げる。


彼女は周囲の魔力の流れを見て敵の動きを感知しており、その敵の姿を見る前に行動の推測が出来る。


流石…と、思考してる暇は無かった。


ガサガサと茂みが揺れて何かが俺に向かって一気に飛び出してくる。


「でかっ」


シカよりは小さいけど、やっぱりダンジョンにしては大型なソレは一気に俺に向かって突進してくる。


だが俺も対策済みだ。


(アヴォイド!)


回避の魔法は既に使用しており、そのナニか認識できていないものの、そいつの右側へ避け…


あ、避けきれずに掠る奴だ。


直感的に俺は悟り、咄嗟に盾によるカウンターシールドを発動させる。


直感の通り、俺は避けきれず、しかし突き出した盾に当たりアーツが発動する。


俺も姿勢の都合で軽く吹き飛ぶが、飛び出してきたナニかも巨体が大きくぐらつく。


「ふう」


一発目の攻撃は失敗だけど、こちらも咄嗟の対応が上手くかみ合ったから余裕あったな。


しかしこれは、ブタか?


「イノシシ…かな」


イノシシ!


下の歯の牙が口から出ていて、ブタよりも凶悪そうに見える。


フゴッと唸るような声を上げて、また突進しようとしてる。


この突進はシカと違う点がいくつかある。


そのうちの1つがこの速さだ。


再度突進、俺はアヴォイドを使いつつ盾で逸らす。


シカのときでも回避が結構ギリギリだったが、更に速いとなると俺の力では回避しきれないので盾も併用していく事になる。


「っち!」


盾を使っても、アーツなしでは威力を殺しきれず俺は先ほどよりも大きく吹き飛ぶ。


着地…は何とかできたけども。


あの巨体とスピードで、一発の強さはシカよりも大きいな。


クルっとイノシシが振り返り、続けざまに突進を始める。


シカよりも攻撃手段が乏しいのかな?と思うが、ただ次の攻撃までのインターバルが短いというのも特徴か?


だが、今度は俺もやられる側ではない。というかこの程度のモンスターなら前より余裕かも。


俺がそう思ってるだけじゃなくて、有紀やエミリーもそう思ってるのか、先ほどから一切の手助けが無い。


モンスターが強敵なら、有紀が「大丈夫?」と言いそうなもんだけど、それもないしね。


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