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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
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アトス山護衛依頼

翌日の朝、軽く朝飯を採り俺達はギルド出張所に向かう。


昨日伝えたとおり有紀とエミリーは2人とも普通モードだ。


有紀の格好はちょっとマントを脱ぐと普通に寒そうに見えるのでシャツの下に体にピッチリとフィットした長袖シャツを、そして下にはタイツを履いてもらう。


エミリーはファンタジーに出てくるような魔法使いみたいな格好…ローブを着て露出を減らしたような格好をしてもらった。


有紀と違ってエミリーは普通モードだと金髪になるみたいだけど、これはこれでアリだよな。


と、そんな考えてる場合じゃなかったな。


「よう、おはよう!今丁度依頼人と話をしてたところだ!この方が今回の依頼主な」


ギルドのオッサンは朝からでかい声だ。元気すぎじゃない?


そして隣には俺より2つぐらい上かな?の小太りな男が立っていた。


「君らが依頼人?…ねえ、この人らで大丈夫なんです?」


小太り商人は俺達を信用してないな。いや、まあ俺は実力的に微妙だけどね。ただ有紀達は違うからな。


「まあまあ、この冒険者はランク3だけどシカも仕留められるし、後ろの嬢ちゃんはランク0の魔女だぞ。っと…その横の嬢ちゃんは…?」


そうか、エミリーは昨日も情報収集中でギルドのオッサンは見てないんだった。


「私はこの人の召使いです」


え?この子、俺を指差して何言ってんの!?


オッサンは「は?」って顔してるし、商人は「ほう」て顔してるじゃん!


「嘘ですよ!?」


俺が即否定する。


「ちぇ…。まあ私は冒険者ギルド登録してないね。一応次元の魔女と言えば伝わる?」


「は!?マジか!!」


エミリーの一言で今度は別の意味でオッサンが驚く。


オッサンが有紀のほうを向く。有紀はその視線が意味する問いに対して頷きで返答する。


「そうか…あんたも魔女なんだな。良かったな!アンタ、この依頼料で魔女2人付きの護衛だぞ!」


「は、はあ…。まあ、それはありがたい話ですけどね。いきなり言われても反応しようがないんですよね」


「そりゃそうだな。俺も魔女は見た事がなかったし。でも少なくとも片方は冒険者カードの『ランク0』の表記が証明してるんだからな。まあここは1つ、依頼任せて見たほうが良いんじゃないか?」


「ええ、もう時間も押してますしね。魔女がどのくらい凄いのか私は分かりませんが、お2人のこと信じてみますね」


ん?あれ?俺は?






この小太り商人はライナスと言う名前らしい。正確にはライナス・ハリーズという名前らしい。


年齢は19歳と俺より少し年上だが、商人としては10歳の頃から修行を積んできたので俺よりずっと経験者…って事になる。


初対面での印象が良くなかったライナスだけど、商人としての努力はそれなりにしてるんだな…と感じたのが「収納魔法」を持っていると言う点だ。


商人としての修行を始める傍らで魔法の勉強もして、収納魔法を習得したと言うんだから凄いもんだと思う。


「収納魔法があれば荷台が通れない場所でも行商に行けるでしょう?」


アトス山の内部はバスが走ってる訳じゃないのと、馬の乗り入れも難しい場所も道中に存在しているせいで、荷車を手で引くしかない。だが、それでは進行速度が遅くなる。


その点、収納魔法持ち商人は重い荷物を引く必要はないし、多少険しい道があっても問題はないし、まさに奥地まで行商に行くなら重宝する魔法だ。


だがこの世界で収納魔法…まあ収納魔術もそうだけど、それを習得している人は少ない。


理由は2つある。


1つは覚えるまでの労力が半端ないからだ。


「上級魔法を覚えるぐらいの努力しないと収納魔法は覚えられないんだよ」と有紀。


使用自体は初級魔法のようにサクサク出し入れできるみたいだけど、習得までがやたら大変ってやつだな。


それだけの労力を費すなら、他の魔法を習得したほうが冒険者としてずっと強くなれる。商人だって最初から行商一本でやって行くと決めてなきゃ習得はしないんじゃないだろうか。


要するに彼はもう10歳の頃から行商になる事を考えて収納魔法を習得するまで努力を続けた、という事になる。


小さい頃から目標を持って進んできた、と言うのは尊敬できる。


「まあ収納魔法覚え多分、僕は自衛の魔法は何もありませんから、護衛の仕事しっかりやってくださいね」


…この態度が無ければ、の話だけどね。


「では出発しましょう」


俺は一応依頼人相手なので腰を低くして対応する。






3時間後、まあまあ良いペースで進めている。


モンスターが出てこないのが歩みを進められた要因の1つではあるけども、このライナスという商人も小太りで運動苦手そうなイメージとは裏腹に疲労を感じさせる事なく歩き続けているのも大きい。


「何度もここには来てるんです?」


道中、会話が無いのも…と思い俺が話かける。


「来ていますよ。だから貴方よりも僕の方が道を理解しています」


フン!という感じで言われると何か嫌だな。


まあでも実際道を知ってるのは昔アトス山に一度来た事がある有紀(道忘れてそうだけど)と、このライナスだけだ。


陣形はライナスを先頭に、俺が1歩後ろ、その後ろに有紀とエミリーが歩いてる感じだ。


「有紀、モンスターは?」


「感知できる範囲では居ないかな、まだ」


「オッケー」


「龍眼の能力は良いですね、僕も安心してお2人の前を歩けます」


俺に対する態度と比べライナスが有紀やエミリーに対する態度は柔らかい。


だからと言ってライナスから話しかける事もなく、先ほどのような会話の中でいつの間にか参加してるって感じだ。


あれ?てか、2人って…俺は?


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